
バレエのレッスンを受けるコツとは?
テクニックの注意点は?
心構えの注意点は?
バレエのレッスンでは考えることがたくさんありすぎて頭がごちゃごちゃしてしまうことがあります。
頭を整理するためにはポイントがあります。
テクニックを磨きつつ、どういう考え方が必要か。ぜひ一緒に考えていきましょう。
元劇団四季、テーマパークダンサー。30分のショーから2時間の舞台まで出演回数は5,000回は軽く超えているんじゃないかと思います。ダンス、ヨガ(RYT200取得)、ピラティス、ジムにも20年ほど通っています
今回は「バレエのレッスンを受けるコツ8選」の解説です。
※3分ほどで読み終わります。
ジャズダンスにバレエは必要?
ジャズダンスは大きく2つに分けることができます。バレエ系のジャズダンスと、ストリート系のジャズダンスです。ストリート系のジャズダンスではバレエのテクニックが必要ないこともありますが、知っている方が踊りの幅が広がります。
僕はアメリカの大学でジャズダンスを専攻していましたが、バレエのレッスンの方がジャズダンスよりも重視されていました。ジャズダンスのレッスンが週4回だったのに対し、バレエのレッスンは週6回ありました。
バレエ系のジャズダンス上達に欠かせないのがバレエのテクニックの理解です。ジャズダンサーはバレエのレッスンに参加すると確実に力がつきます。
重力を理解
バレエのレッスンはアライメントが大事です。
各関節や骨の並びが適切な状態で保たれている
お腹はつねに力が入っている状態で、うすく保ちます。そして下半身はつねに床を押している状態をつくります。このとき重力をうまく利用していきます。
MP関節とカカトを押すことで、土踏まずがアップします。クッション性、バネが強化され、どのスポーツでもパフォーマンスアップにつながります。ケガもしにくくなります。石井久美子さんの動画もご紹介。
また、肩とワキも下げていきます。
アン・バー、アン・ナヴァン、ア・ラ・スゴンド、アン・オーの動きの解説を基本に、目的、トレーニング方法をご紹介。
バレエではつま先だちになったり、できるだけ背を伸ばすような動きが登場するので身体を上へ上へ意識を向けてしまいがちです。ですが実際には、上半身を上げるために、下半身を下に押すことで生じる反発力を利用しています。
重力の方向は身体の部位によって上だったり、下だったりとさまざまです。
どの部位が下方向に向いているかしっかり考えていきます。そして重力をうまく利用してバランスをとっていきます。
そのいい例がつま先立ちになるルルヴェです。下半身を下に押し続け、腕とワキも下に押し続けます。カカトも持ち上げるのではなく下方向に押していきます。こうすることで足の裏までしっかりコントロールできるようになります。
柔らかい動き
バレエは優雅で、柔らかい動きが求められます。しかし、テクニックに集中しすぎると身体がガッチガチに固まってしまいます。実際、下半身と腹筋まわりは基本的に力が入り続けています。
では柔らかい動きはどう表現しているのか…。柔らかい動きは、上半身上部、腕、顔の表情だけで表現しています。背中に関しては柔軟性が必要になりますが、腕と表情は動かし方を工夫するだけで柔らかく見えてきます。
コマ送りの写真のようにカクカクした動きではなく、スムーズな動画のように動かします。ポーズを決めたときも止まっているわけではなく、伸ばし続けている感覚があります。動き続けていると目が錯覚を起こし、柔らかい動きをしているように感じます。
また、顔を硬直したままバーレッスンをしている人もいますが、これだと上達が遅くなってしまいます。顔はリラックスし、どんなに苦しくても口をギュッと結ばないようにしましょう。顔を硬直してしまうと、ピルエットを回るとき首がうまく回らずすごく苦労することになるので気をつけてください。
鏡を活用
ダンスのレッスンスタジオには必ず鏡がついています。この鏡への理解が、ダンス上達に欠かせません。
鏡はありのままの自分を映します。良い姿のときもあれば、悪い姿のときもあります。ダンサーは鏡を見て、自分の悪いクセを直していく地道な作業が求められます。直すことに執着し、とことんこだわっていきましょう。
そして、この作業を自分ひとりでできるようにする必要があります。先生がアドバイスしてくれることもありますが、毎回助言してくれることはありません。自分自身で鋭い目を養っていくことが大事です。そのために、上手なダンサーのバーレッスンを見ることは有益です。
認識
→観察
→修正
この3つのステップを永遠に繰り返していきます。中途半端な位置で写真を撮られたとしても絵になるような質の高い動きを目指しましょう。
先生は鏡越しで
バーレッスンのときは先生を直接見ても問題ないですが、センターレッスンになったら鏡越しで先生を見るようにしましょう。
先生のお手本と自分のお手本が鏡に移っていると、見比べやすくなります。ときどきセンターレッスンでも先生を直接見てしまっている人がいますが、このクセは直したほうがイイです。
鏡の見すぎにも注意
ただし、鏡の見すぎも注意です。見すぎると踊りがおろそかになってしまうことがあります。たとえばレッスン場を横断するようなステップを踏むとき、視線は斜め前を向いていきます。
バレエのレッスンでは視線が正面に向かないことが多いです。そのときに鏡を見てしまうと、動き自体が変になってしまいます。
また、バレエ映画「センターステージ」ではこんなシーンがありました。セルゲイがパートナーとパ・ド・ドゥ(2人で組む踊り)をしているときにパートナーを見ずに鏡で自分を見ていました。「ナルシスティック」と表現されていました…。
目線
バーレッスン中はしっかり顔を上げ、絶対に下は向きません。軽くアゴを引くことで目線を落とすことはあっても、顔自体を下に向けることはありません。また、バランスをとるときも目線が重要です。
バーレッスンではルルヴェがよく登場しますが、まっすぐ一点に視線を集中させます。そしてルルヴェからアテール(足の裏全体を床につける)に戻るときは目線を残したままにすると、引き上がった状態で美しく下りることができます。
イメージ
そしてもうひとつ重要なのがイメージです。
レッスン場を超えて、自分が好きな場所やもの、大切なものをイメージしましょう
これはとても抽象的な話ですが、バレエは自分を表現するための道具です。なぜ筋トレのようなエクササイズではなく、バレエを選ぶのか。
バレエは自分を表現する、ということが常に求められます。これは上級者であろうが、初心者であろうが関係ありません。初心者でテクニックがなかったとしてもとても楽しそうに踊っている人がいると目が行きます。逆に上級者であってもつまらなそうに踊っている人がいるとまったく目が行きません。
とくに目線が重要になります。スタジオという限られた空間に縛られず、例えば大海原をイメージしながら壁よりも遠くを見つめてみると、なぜか踊りが変わってきます。
音楽
聞こえてくる音楽に対し、即座に積極的に反応します。自分の感じた感覚を大事にし、音楽の雰囲気に合わせ表現していきましょう。
これは実際に踊るときもすごく役に立ちます。
最後まで気を抜かない
バーレッスンは思った以上に体力を使い、汗をたくさんかきます。疲れてくると集中力が弱まり、ターンアウトの意識が低くなります。最初は意識できていたはずなのに、動きの最後にターンアウトが甘くなってしまうことがあります。
このもう一歩をがんばると、ターンアウトの可動域が広がっていきます。「5番に戻すときはつま先まで戻す」ということを忘れないでください。
心が大事
なんだかんだいろいろアドバイスを載せましたが、テクニックよりも心がなにより大切です。ダンスは心を伝えることができる芸術です。たとえレッスンだとしても、この気持を忘れてはいけません。
バレエのレッスンは動きが決まっているので、慣れてくるとただのエクササイズになってしまうことがあります。ですが、同じ動きだったとしても、そのときの気分によって表現は何万通りもあります。
先生から言われたとおりに動くだけでなく、自分で考え、どうしたらより美しく表現できるかレッスンのときから心がけていきましょう。
この努力を続けていくことで、演技力がつき、踊りだけで何を言っているかわかる「身体がしゃべる」状態に到達します。
現状の自分に満足する
最後のポイントは、そのときの自分に満足する、ということです。レッスンを受けていると日々課題があることに疲れてしまうこともあります。
目指す理想に向かい長期的な視点でレッスンをとらえると、課題ばかりが見つかってしまいます。ですが、視点をその日1日のレッスンに絞ることも重要です。今日のレッスンの出来はどうだったのか。レッスンをただ受けれるのではなく、1日のレッスンで小さな目標を立て、それができたら素直に受け入れ、喜びましょう。
プロの映像で勉強を
youtubeでバレエのレッスン動画、しかもプロのバレエ団の動画がたくさんアップされています。バレエ団によって踊り方が違うので、自分の好きなバレエ団を見つけ参考にしてみてください。
マリインスキー・バレエ団
厳格なテクニックを守るロシアの名門であるマリインスキー・バレエ団。
パリ・オペラ座バレエ団
粋な雰囲気漂うパリ・オペラ座バレエ団。
英国ロイヤル・バレエ団
細かい足さばきと演技力が特徴の英国ロイヤル・バレエ団。
おすすめの本
日本を代表するバレエダンサーである吉田都さんによるレクチャー本です。DVDつきもあります。すごく丁寧な解説がついているので、ぜひ活用してみてください。
本のみで2,000円弱。DVDつきだと8,000円ほど。
さらに深めたい場合
解剖学のアプローチから科学的にダンステクニックを紹介している本です。かなり詳しく書かれているので一度目を通すのもイイと思います。
2,500円ほどです。
ダンサー体型を目指す筋トレ・体幹トレ
ダンス上達のために身体づくりは欠かせません。身体づくりの知識をつけ、効率的かつ自分独自のメニューを作っていきましょう。
ダンサーのような軽い身体、柔軟性、芯のある機能的な筋肉をつくる基本は、自体重トレーニング・体幹トレーニングです。ケガしづらく、自分の身体に合った筋肉がついていきます。
1日10分、6種類の種目、10ステップ、3レベルに分かれている自体重トレーニングの囚人トレーニング。トレーニング内容を全部紹介しています。
1,500円ほど。
オンラインレッスン
ルーティーンを持つためにプロに頼ることは、時短かつ効率的です。オンラインレッスンはコスパがよく、先生が一流で、内容も充実しています。
筋トレ・ストレッチ・ヨガ・ピラティスを月3,300円ほどでほぼ受け放題できる「SOELU」。
ヨガに特化した業界大手の「LAVA」は月2,000円ほどでほぼ受け放題です。
ダンサー体型を目指すトレーニング情報をまとめていますので、ぜひご覧ください。
ダンス上達のための身体の使い方、トレーニングの方法、体幹トレーニングについてまとめています。ピラティスやヨガもご紹介します。

今回は「バレエのレッスンを受けるコツ8選」についてでした。
ありがとうございました。