jazz

「ザ・チェリスト」の振付の特徴は?
脚本で重視していることは?
リハーサル映像が見られる?

英国ロイヤル・バレエ団はyoutubeを活用し、制作の裏側を公開しています。

2020年の新作バレエ「ザ・チェリスト」でも多くの動画が公開されていました。とくに振付師キャシー・マーストンの動画はおすすめです。

記事を書いているのは…

元劇団四季、テーマパークダンサー。舞台、特にバレエを観に行くのが大好きで、年間100公演観に行った記録があります。

Amazon Prime 30日間無料トライアル

kazu

今回は「ザ・チェリスト」制作の裏側です。

※3分ほどで読み終わる記事です。映像で予習できるようになっています。

脚本をつくるにあたり

まずは「ザ・チェリスト」の作品を知らない場合はこちらの記事で解説しています。

「ザ・チェリスト」の振付はキャシー・マーストン、脚本はキャシー・マーストンとエドワード・ケンプの共作です。

キャシー・マーストンは「ザ・チェリスト」をつくりにあたり、ジャクリーヌ・デュ・プレのドキュメンタリーや演奏の映像、伝記など、ありとあらゆる作品を脚本家のエドワード・ケンプと調べています。

また、ジャクリーヌ・デュ・プレの夫であったバレンボイムにもインタビューをおこないました。

実は、ジャクリーヌ・デュ・プレとバレンボイムの関係はなかなかにスキャンダラスなものでした。ジャクリーヌ・デュ・プレが病気で苦しむなか、バレンボイムはパリで別の家庭を持っていました。いわゆる2重結婚です。

今回の「ザ・チェリスト」ではこうした描写は一切排除されているので、バレンボイムはバレエ作品にはかなり前向きだったそうです。

病気は当事者から

作品の核となるのが「多発性硬化症(MS)」に苦しむシーンです。

この場面を表現するに当たりキャシー・マーストンは彼女自身のお母さんに体験談を聞いています。キャシー・マーストンのお母さんが多発性硬化症ということで、かなり参考にしたと語っています。

そして尊敬を持って振付したとも語っています。

多発性硬化症の身体的な障害の部分に焦点をあてるのではなく、「多発性硬化症であることの感覚」に焦点をあてて表現しているとのことです。

リハーサル映像

ダンサーと振付家が一緒に創作する過程が見れます。古典の作品からはなかなか生まれない、現代的なアプローチによって作品が完成していきます。

振付のキャシー・マーストンがかなり語ってくれていて、説得力があります。

9:13~

ジャクリーヌ・デュ・プレの最初のコンサートを描いた場面です。はじめて彼女が観客と心を通じ合わせることができたシーンです。

50:00~

20番目のシーン。ジャクリーヌ・デュ・プレがコンサートで多発性硬化症を発症してしまう場面です。キャシー・マーストンがローレン・カスバートソンにどう演じるかを聞くと、ローレン・カスバートソンは感極まって涙をみせます。ローレン・カスバートソンが伯に入り込んでいるのがアリアリとわかるリハーサルです。

キャシー・マーストンの振付

振付はアクロバティックで、スリリングです。ライブ配信でリハーサル映像を流していた時、ローレン・カスバートソンとマシュー・ボールの頭と頭がぶつかってしまうということがありました。


(13:40~、ぶつかってしまいます)

女性と男性が一緒に踊るパ・ド・ドゥは、基本的に「男性が女性をいかに美しく見せるか」に重きがおかれます。ですが、この「ザ・チェリスト」では普段サポートされる側のローレン・カスバートソンが土台となるリフトもあり、男性を美しく見せる部分があります。このような振付は、女性ならではかもしれません。

キャシー・マーストンは英国ロイヤル・バレエ団付属のロイヤル・バレエ学校の卒業生です。その彼女が古巣ふるすに戻って振付をしました。最近、ロイヤル・バレエ団は女性振付家を起用するようになっています。「フライト・パターン」を振り付けたクリスタル・パイトも素晴らしかったです。僕は女性振付家の作品ももっと見たいと思っています。

キャシー・マーストンの振付は、空間をただよう水を見ているかのようです。振付はなめらかで、音に合わせて流れるように進行していきます。激しい振り付けと、優しい振付。緩急かんきゅうある素晴らしい才能をみることができます。

DVD

実際の舞台の感想はこちらからどうぞ。

Amazon Prime 30日間無料トライアル

kazu

以上、「ザ・チェリスト」の作品の成り立ちとジャクリーヌ・デュ・プレについてでした。
ありがとうございました。