『センターステージ』(2000年)の内容は?
オススメの理由は?
見どころは?
『センターステージ』(2000年)は、名門バレエ団への入団を目指す若者たちの夢と挫折を描いた青春映画です。この映画は、僕自身がダンサーを志すきっかけとなった特別な映画です。バレエ映画のオススメを尋ねられたら、真っ先に挙げるのが、この青春バチバチ映画です。
・ダンスのクオリティが高い:プロのバレエダンサーが多数出演し、圧巻のパフォーマンスを披露
・リアルな描写:バレエ団やバレエ学校の裏側をリアルに描き、ダンサーたちの葛藤や成長がリアルに伝わる
今回は、『センターステージ』(2000年)の内容・感想・特徴についてご紹介します。
元劇団四季、テーマパークダンサー。社割を使えたときは週2回 映画館へ行っていました。最近はネットで映画をたっぷり。
※ 5分ほどで読み終わります。
バレエ学校の裏側
ダンス映画『センターステージ』は、バレエの美しさだけでなく、その裏にある厳しさや葛藤が描かれます。
バレエ団やバレエ学校の裏側を垣間見ることができるのが作品の魅力です。2000年当時、バレエ団やバレエ学校の内部事情は謎に包まれていました。今ではYouTubeなどでその様子を知ることができますが、僕はこの映画のおかげで、ダンサーという仕事をリアルに考えるようになりました。
この映画の魅力は、華やかなバレエ学校の裏側をリアルに描写している点です。厳格な体型管理、クラスのレベル分け、一目でわかる技術の差。若きダンサーたちが直面する現実がリアルに伝わってきます。さらに、実際のプロダンサーたちが高いクオリティのパフォーマンスを披露しているので、ダンスシーンは臨場感にあふれます。
ストーリー
ニューヨークにある名門バレエ団ABC(アメリカン・バレエ・カンパニー)。全世界でABCバレエ団付属のバレエ学校の編入オーディションが開かれます。入学できるのはわずか12人。
登場人物
・ジョディ(Jody Sawyer):主人公の若きバレリーナ。名門バレエ団「アメリカン・バレエ・カンパニー(ABC)」の付属アカデミーに入学し、プロのダンサーを目指す。
・エヴァ(Eva Rodriguez):ジョディのルームメイト。才能あるダンサーだが反抗的。
・モーリーン(Maureen Cummings):もう一人のルームメイト。幼少期から学校でトップを維持してきた優等生。
・クーパー(Cooper Nielson):ABCのスター・ダンサー。ジョディと関係を持つ。
・チャーリー(Charlie):ジョディの同級生。若き才能にあふれるダンサー。ジョディに好意を寄せる。
・ジョナサン(Jonathan Reeves):ABCの芸術監督。学生たちを厳しく指導する。
・セルゲイ(Sergei):ロシア出身の留学生。ジョディのクラスメイト。
・エリック(Erik):ジョディのクラスメイト。意気投合する。
・ジム(Jim):モーリーンに気持ちを寄せる医学生。
・ジュリエット(Juliette Simone):ABCの教師。元トップダンサーで、学生たちを熱心に指導する。
・ナンシー(Nancy Cummings):モーリーンの母親。娘に高い期待を寄せる。
ジョディは決してバレエ向きの体型ではないものの、華やかさを見出され合格します。最終学年に編入し、ニューヨークでバレエ漬けの日々、3人部屋での寮生活がスタートします。同じ部屋の仲間は、抜群のスタイルを持つが反抗的なエヴァ、幼少期から学校でトップに居続けるも人を寄せつけないモーリーン。バレエ学校の生徒たちの目標は、ABCバレエ団への入団。しかし、入団できるのは毎年男女各3人ずつ。仲間でありながら、全員がライバルという厳しい環境で日々を過ごします。
地元のバレエスクールでトップだったジョディも、世界の広さを痛感します。欠点を指摘され続け、落ち込む日々。ある日、芸術監督から学年末のスカウトを兼ねた公演に、「このままでは出演することすら難しい」と言われてしまいます。「退学して別の道を進むべきでは?」と最後通告を受けてしまいます。
落ち込んだジョディを見かねたエヴァが外に連れ出し、同級生のチャーリー、エリック、セルゲイと共にサルサ・クラブで楽しい時間を過ごします。久しぶりに解放されたジョディは、新たな気持ちで学校生活に戻ります。しかし、バレエ学校では思うようにいかず、ジョディは自分を解放するため、禁止されているバレエ学校以外のレッスンに参加するようになります。
ジャズダンスのレッスンに、バレエ団のトップダンサーであるクーパーがたまたま参加していました。自由でイキイキとしたジョディの姿に惹かれたクーパーは、彼女を自宅に招きます。クーパーは学年末の公演で振付家デビューする予定。ジョディのジャズダンスのスキルに魅了されたクーパーは、自分の振付作品の主役に彼女を抜擢します。恋にバレエに充実するジョディ。しかし、クーパーにとってはただの遊びでした。
卒業公演が近づくにつれ、生徒たちの緊張感は高まっていきます。それぞれが挫折し、悩み、プレッシャーに押し潰されそうになる中、公演の幕が開きます。
制作
監督:ニコラス・ハイトナー
ニコラス・ハイトナー監督は、映画と舞台の両方で活躍するイギリスの演出家です。
・1994年:『英国万歳!』(The Madness of King George)
・1996年:『クルーシブル』(The Crucible)
・1998年:『私の愛情の対象』(The Object of My Affection)
・2006年:『ヒストリーボーイズ』(The History Boys)
・2015年:『ミス・シェパードをお手本に』(The Lady in the Van)
舞台演出家としても知られ、以下の作品を手掛けています。
・『ミス・サイゴン』
・『回転木馬』
・『十二夜』
・『成功の甘き香り』
・『ヒストリーボーイズ』
振付:スーザン・ストローマン
振付:クリストファー・ウィールドン
ダンスシーンは、著名な振付師スーザン・ストローマンとクリストファー・ウィールドンが担当しています。ストローマンはミュージカル界で数々の賞を受賞しており、ウィールドンは現代バレエ界を代表する振付家として知られています。
キャスト
・ジョディ:アマンダ・シュール(吹替:冬馬由美)
・クーパー:イーサン・スティーフェル(吹替:松本保典)
・チャーリー:サシャ・ラデッキー(吹替:小野塚貴志)
・エヴァ:ゾーイ・サルダナ
・モーリーン:スーザン・メイ・プラット
・セルゲイ:イリヤ・クーリック(吹替:水島大宙)
・エリック:シャキーム・エバンス
・キャスリーン:ジュリー・ケント
・ジョナサン:ピーター・ギャラガー(吹替:内田直哉)
・ジュリエット:ドナ・マーフィ
実際のプロバレエダンサーが主要キャストとして出演しています。アメリカン・バレエ・シアター(ABT)でプリンシパルを務めたイーサン・スティーフェルとジュリー・ケント、同じくABTのソリストだったサシャ・ラデッキーです。また、元フィギュアスケーターで長野オリンピック金メダリストのイリヤ・クーリックが出演している点も注目されました。
ダンスシーン(※ネタバレあり)
『センターステージ』のハイライトは、マイケル・ジャクソン、レッド・ホット・チリ・ペッパーズ、ジャミロクワイといった豪華アーティストの楽曲に合わせ、バレエとジャズダンスが融合した迫力あるパフォーマンスです。劇場公演という設定ながら、映画ならではの手法がふんだんに盛り込まれています。
例えば、舞台上の大胆なカメラワーク、舞台裏のリアルなカット、そして実際の舞台では実現不可能な「早替え」シーンなど、映像マジックがシーンの迫力を一層引き立てています。
一流のダンサーと振付家
『センターステージ』のダンスシーンは、実力派のダンサーと振付家によって支えられています。
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スーザン・ストローマン振付:マイケル・ジャクソン「The Way You Make Me Feel」やジャミロクワイ「Canned Heat」に合わせた現代バレエ、さらにレッド・ホット・チリ・ペッパーズ「Higher Ground」に合わせたジャズダンスクラス
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クリストファー・ウィールドン振付:ラフマニノフの楽曲に合わせたクラシックバレエ
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ケネス・マクミラン振付:『ロミオとジュリエット』
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ジョージ・バランシン振付:『スターズ・アンド・ストライプス』
スーザン・ストローマンの振付
振付を担当したスーザン・ストローマンは、アメリカを代表する振付家です。ミュージカル界で数々のトニー賞を受賞しており、バレエの基礎を活かしながらも、スピード感と生き生きとしたジャズダンスの振付で観客を魅了します。彼女のこだわりは、ウォーミングアップのシーンにも色濃く表れており、かつての古き良きジャズダンスのスタイルを再現しています。
代表作:
・1992年:『クレイジー・フォー・ユー (Crazy for You)』
・1999年:『コンタクト (Contact)』演出家デビュー
・1999年:『ザ・プロデューサーズ (The Producers)』白血病で亡くなった夫マイク・オクレントに代わり演出を担当。2005年映画版では監督を務める。
レッスンシーン
舞台経験を持つ熟練のダンサーたちが、パワフルに動きます。ウォーミングアップでは、当時のポップスター、マンディ・ムーア『Candy』が流れます。また、レッド・ホット・チリ・ペッパーズの『Higher Ground』がエネルギッシュに流れ、ダイナミックなシーンへと加速します。
マンディ・ムーアは主題歌『I Wanna Be with You』も担当しています。
最終公演シーンの迫力
クライマックスとなる最終公演シーンでは、振付が際立ちます。使用されている楽曲はこちらです。
・マイケル・ジャクソン『The Way You Make Me Feel』
・ラフ・エンズ『If I Was The One』
・ジャミロクワイ『Canned Heat』
チャイコフスキー作曲『くるみ割り人形|葦笛(あしぶえ)の踊り』からロック調へ展開します。
特に先ほど紹介したジャミロクワイの『Canned Heat』のシーンでは、映像マジックが多用され、ジョディの衣装早替えやフェッテ(連続回転)がダイナミックに表現されます。群舞シーンでは20人規模の豪華な構成で、アマンダ・シュルの魅力的なジャズダンスが強い印象を残します。
ジョディ最後の見せ場であるフェッテでは、映像編集で回転数が追加されています。また、フィニッシュはあえて少し回転がブレている様子を映しリアルな表現となっています。
さらに、リハーサルシーンも重要です。楽曲がネタバレしないようドラムのビートのみでリハーサルを行っています。ちなみに、実際のアメリカのモダンダンスやコンテンポラリーダンスのレッスンでは、生でドラムを叩くパーカッショニストが存在します。僕自身も留学中、ドラマーに合わせてレッスンを受けていました。リズム感が磨かれるのでオススメのレッスンです。
クリストファー・ウィールドン|クラシックバレエの振付
クラシックバレエシーンは、現代を代表するバレエ振付家クリストファー・ウィールドンが担当。彼の手がけた作品は、新国立劇場バレエ団の『不思議の国のアリス』や劇団四季の『パリのアメリカ人』などで高い評価を受けており、映画でもその実力が遺憾なく発揮されています。
ケネス・マクミラン振付|『ロミオとジュリエット』
劇中では、ケネス・マクミラン振付によるクラシックバレエの名作『ロミオとジュリエット』のバルコニーシーンが再現されています。アメリカン・バレエ・シアターのプリンシパル(最高位)であったジュリー・ケントとイーサン・スティーフェルが本物の美しさを表現します。背景には美しい舞台美術、遠近法を巧みに用いた建物と大きな月が印象的に浮かび上がります。実際の舞台では、涙を誘う感動的なシーンです。映画では、反抗的なエヴァが涙を流すことで、深い感受性を感じさせます。
マクミラン版『ロミオとジュリエット』に関してはこちらで紹介しています。
ジョージ・バランシン振付|『スターズ・アンド・ストライプス』
ジョージ・バランシン振付の『スターズ・アンド・ストライプス』では、ジュリー・ケントとイーサン・スティーフェルがパ・ド・ドゥを披露。おもちゃの兵隊のような可愛らしいシーンが展開。アメリカを象徴するバレエです。
ジョディが舞台袖から出演者に話しかけるなど、現実ではありえないシチュエーションも描かれています。ですが、これがかえってジョディの情熱を表しています。
また、ジョディがクーパーに振られるシーン。ステージドア(裏口)からイーサン・スティーフェルとともに現れるのは、実際の結婚相手であるジリアン・マーフィーです。アメリカン・バレエ・シアターのプリンシパルとして長年活躍しています。
バランシン振付『スターズ・アンド・ストライプス』についてはこちらで紹介しています。
ロケ地
映画『センターステージ』の主要なロケ地であるリンカーン・センターは、マンハッタンのアッパーウエストに位置し、オペラやバレエの劇場、クラシックやジャズのコンサートホール、名門ジュリアード音楽院など、11の芸術団体の施設が集まった世界有数の舞台芸術施設です。 中央のレブソン噴水は、多くの映画で印象的なシーンの舞台となっています。
メインの劇場として、ニューヨークのリンカーン・センター内にある「デイヴィッド・H・コーク劇場」が使用されています。この劇場は、ニューヨーク・シティ・バレエ団の本拠地であり、モダンな建築が特徴です。
左にある建物が、ニューヨーク・シティ・バレエ団。正面がアメリカン・バレエ・シアター( ABT )とメトロポリタン・オペラ。右側がニューヨーク・フィル・ハーモニックの本拠地です。また、ジュリアード音楽院の建物にCGで階数を追加し、架空のバレエ学校としています。
僕の人生を変えた作品
『センターステージ』は、僕の人生を変えた作品です。映画館で観ることはできませんでしたが、DVDが発売されてからすぐに購入しました。バレエがテーマであるものの、ジャズダンスのシーンが盛りだくさん。僕はジャズダンスに完全にハマってしまいました。
DVDには、イーサン・スティーフェルの来日バレエ公演のチケットが当たるプレゼント応募券が入っていました。残念ながら当選はしませんでしたが、どうしても見たくなり自分でチケットを買いました。2005年7月29日、(公開は2000年だけどなぜか2005年のこと。自分でも記憶が曖昧です…)初めて自分で購入したバレエ公演のチケット。演目は『ドン・キホーテ』でした。実はイーサン・スティーフェル主演の公演は売り切れでした。ですが、同じく出演していたジュリー・ケント主演の公演を取ることができました。ちょうどこの頃、アメリカン・バレエ・シアターが絶好調で、盛り上がりが半端なく、カーテンコールが5回以上続くほど。観客の拍手が鳴りやまず、「こんなに楽しい公演があるんだ」と感動しました。
この体験が大きなきっかけとなり、僕はダンスを再開しました。そして、ダンサーとしての道を歩むことになります。
ダンサーになってからしばらく経った2010年。ニューヨークに行き、リンカーン・センター内にあるデイヴィッド・H・コーク劇場へ。映画で観たシーンと同じ場所に足を踏み入れたときの感動は、今でも色あせることなく心に残っています。
DVD
現在もDVDが発売され続けています。バレエシーンのロングバージョンが特典映像として入っているので映像配信よりオススメです。
3,500円ほど。
今回は、『センターステージ』の紹介でした。
エンタメ作品に関してはこちらで紹介しています。ぜひご覧ください。
映画、テレビ、海外ドラマ、アニメ、本などエンターテイメントで感動したものを紹介します。





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