『コッペリア』の内容は?
特徴は?
見どころは?
バレエダンサーが人形を演じる『コッペリア』。
ダンサーが人形になりきるため、まばたきをしないことも!
プロ根性が試されるバレエ作品です。
元劇団四季、テーマパークダンサー。舞台、特にバレエを観に行くのが大好きで、年間100公演観に行った記録があります。
今回は、『コッペリア』の作品解説です。
※ 3分ほどで読み終わります。
フレッシュなキャストを楽しむバレエ
『白鳥の湖』を大規模なバレエとするならば、『コッペリア』は中規模のバレエです。
登場人物が多いわけではなく、ストーリーも複雑ではありません。
コメディ要素の多い楽しい作品で、ストーリーを追うというより踊りを楽しむバレエです。
こうしたこともあり、若手のスターダンサー候補が主役に配役されることも多いです。
制作
パリ・オペラ座バレエ団(フランス)
振付:アルテュール・サン・レオン
音楽:レオ・ドリーブ
原作:E.T.A. ホフマン『砂男』
最後の「ロマンティック・バレエ」と呼ばれます。
ロマンティック・バレエ:理想の世界、幻想の世界を視覚化したバレエ
当時、絵画の世界では「現実をそのまま捉える写実主義」が広がり、機械文明が急速に発展していきます。
1867年、「パリの万国博覧会」では新たな機械の展示が来場者の興味を引きました。
時代の変化により、妖精物語の「ロマンティック・バレエ」は飽きられはじめていました。
ダンサーが人形に
『コッペリア』はこの時代背景を反映し、等身大の機械人形が豊かに動きます。
ダンサーが人形を演じるというアイディアが大好評でした。
カクカクとした直線的な動きでありながら「ロマンティック・バレエ」に分類されています。
さらに詳しい歴史はこちらからどうぞ。
ここからはストーリーを紹介していきます。
登場人物
スワニルダ:活発で美しい村の少女
フランツ:スワニルダの恋人。気のイイお調子者の青年
コッペリウス博士:村の変わり者の発明家
コッペリア:等身大の美しい人形。コッペリウス博士がつくった
コッペリアが主役ではなく、あくまでスワニルダとフランツが主役です。
バーミンガム・ロイヤル・バレエ団より。
第1幕
ポーランドの田舎。
変わり者のコッペリウス博士。博士の家は広場に面している。2階の窓辺にはいつも美しい少女コッペリアが座って本を読んでいる。
広場ではスワニルダやフランツ、仲間たちが楽しく過ごしている。
みんなコッペリアに興味津々。だけど、コッペリアはそっけない。
スワニルダはコッペリアに手を振るが、まるで無視。なんともおもしろくない。
しかも恋人のフランツは、コッペリアが気になる様子。ますます気に入らないスワニルダ。
日が暮れるとコッペリウス博士が出かけていく。しかし、博士は家のカギを落としてしまう。それに気づいたスワニルダがカギを拾う。
謎多きコッペリウス博士の家が気になるスワニルダ。友達を連れ、家に入っていく。
フランツがはしごを持ってやってくる。コッペリアが気になるフランツも博士の家に侵入してしまう。
しばらくして、カギがないことに気づいたコッペリウス博士。
家のドアが開いていることに気づき慌てて家に入っていく。
第1幕のポイント
主役のダンサーから周りを固めるダンサーまで若手のダンサーが多めなのが『コッペリア』の特徴です。
若い恋がテーマとなっています。
スピーディーでパワフルな振付が多く、若手ダンサーが大活躍する作品です。
もちろんベテランダンサーが登場することもありますが、若手が多く配役される傾向があります。
とくに主役のスワニルダは大抜擢もよくあります。
バレエ団がどのダンサーを推しているかわかる作品となっています。
スワニルダのバリエーション
コンクールでよく登場するバリエーションです。
舞台版では演劇的な内容になっています。
英国ロイヤル・バレエ団より。マリアネラ・ヌニュスです。
コンクールではこのように踊られます。
日系のダンサーのミコ・フォガティさん。2012年 公開のドキュメンタリー映画『ファースト・ポジション』に出演し、大きな話題を集めました。現在は、お医者さんとしても活躍しています。
「麦の穂の踊り」
麦の穂を振ったときに音が鳴ると、「恋人の変わらぬ気持ちが証明される」という恋占いがあります。
この占いをモチーフにスワニルダとフランツの主役カップルによる踊り(パ・ド・ドゥ:「 2人の踊り」という意味)があります。
麦の穂を振っても音が聞こえない 2人。
恋の行方がわからない不安な気持ちがうまく表現されています。
英国ロイヤル・バレエ団より。マリアネラ・ヌニェスとワディム・ムンタギロフです。
第2幕
コッペリウス博士の家に侵入したスワニルダたち。なんとも不気味な雰囲気だが、家の中には機械じかけの人形がたくさん並んでいる。スワニルダたちは好奇心旺盛にいろいろいじってしまう。
たまたまレバーを触ったとき、カーテンが勢いよく開く。
そこに座るコッペリア。
ぎこちなく動き出し、スワニルダに手を振ったと思ったら、また座って本を読む。
スワニルダがコッペリアに話しかけても反応がない。不思議に思ったスワニルダが心臓に耳を当ててみると何も音が聞こえない。
コッペリアが人形だと気づく。
そこにコッペリウス博士が戻ってくる。驚くスワニルダたち。全員逃げるように家を飛び出していく。
しかし、スワニルダが逃げ遅れてしまい、コッペリアがしまわれているカーテンの中に逃げ込む。
そんな中、フランツが窓から侵入する。気づいたコッペリウス博士がフランツをつかまえ、眠り薬を盛る。
コッペリウス博士は黒魔術を使い、フランツの魂をコッペリアに入れてしまおうと企む。
黒魔術をためすコッペリウス博士。
最初ぎこちなかったコッペリアの動きがどんどん滑らかになっていく。
実はコッペリアは人形ではなく、スワニルダがなりすましている。
眠っているフランツをどうにか助け出そうとがんばるスワニルダ。
ついにフランツが起き、スワニルダと一緒に逃げ出すことに成功。
真相を知ったコッペリウス博士は落胆する。
最後に残ったのは服を脱がされバラバラとなったコッペリアの人形。
コッペリアを抱きしめる姿に悲しみが漂うのであった。
第2幕:ポイント
人形がたくさん登場する 第2幕。
ダンサーが機械仕掛けの人形を演じます。
こちらはスワニルダたちがコッペリウス博士の家に迷い込み、人形を動かしてしまうシーンです。
英国ロイヤル・バレエ団より。
そして、スワニルダがコッペリアに化けるシーンが見どころです。
最初は人形に徹していますが、だんだん素が出てくるコミカルなシーンです。
英国ロイヤル・バレエ団より。マリアネラ・ヌニュスです。
第3幕
結婚式のシーンです。
ここからは物語と関係のない踊りが数多く登場します。
・時の踊り
・
・祈りの踊り
・麦刈りの踊り
・花嫁花婿の踊り
印象的なタイトルがついています。
祈りの踊り
英国ロイヤルバレエ団より。ゼナイダ・ヤノウスキーです。
こちらはボリショイ・バレエ団です。
アントニーナ・チャプキナです。
グラン・パ・ド・ドゥ
最後の踊り(グラン・パ・ド・ドゥ)が人気です。
主役ダンサーによる、男女の踊りのことで、流れが決まっています。
・アダージョ(2人の踊り)
・ヴァリエーション(男性のソロ)
・ヴァリエーション(女性のソロ)
・コーダ(高いテクニックが必要な2人の踊り。一番盛り上がります。)
クライマックスで踊られるのが「グラン・パ・ド・ドゥ」です。
ボリショイ・バレエ団より。ナターリヤ・オシポワとヴャチェスラフ・ロパーチンによるコーダです。
オススメDVD
『コッペリア』は全幕作品の中でもあまり映像が発売されていません。
最新の映像として英国ロイヤル・バレエ団のDVDを紹介します。
4,000円ほど。
映像作品としては一番オススメです。
今回は、バレエ『コッペリア』についてでした。
ありがとうございました。
バレエ作品に関してはこちらにまとめています。ぜひご覧ください。
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