ファジェーチェフ版「ドン・キホーテ」ストーリーと解説。新国立劇場バレエ団
jazz

ファジェーチェフ版『ドン・キホーテ』はどんなストーリー?
特徴は?
見どころは?

バレエ作品の中でも人気の高い『ドン・キホーテ』。

底抜けに明るく、バレエダンサーの技術力の高さを感じることができる、楽しいバレエです。

とくに初めてバレエを見る方にも、とても見やすくオススメです。

記事を書いているのは…

元劇団四季、テーマパークダンサー。舞台、特にバレエを観に行くのが大好きで、年間100公演観に行った記録があります

kazu

今回はアレクセイ・ファジェーチェフ版「ドン・キホーテ」の作品解説です。

※3分ほどで読み終わります。

アレクセイ・ファジェーチェフ版「ドン・キホーテ」

日本を代表するバレエ団である新国立劇場バレエ団で踊られている「ドン・キホーテ」がアレクセイ・ファジェーチェフ版です。

通常の「ドン・キホーテ」とは少し話の流れが違うバージョンとなっています。

初演:1999年

ロシア:ボリショイ劇場バレエ団

改定振付:アレクセイ・ファジェーチェフ
原振付:マリウス・プティパ/アレクサンドル・ゴルスキー
音楽:レオン・ミンクス
原作:ミゲル・セルバンテス・サベトラ「才知溢るる郷土ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャ」
美術・衣裳:ヴャチェスラフ・オークネフ

踊り満載の「ドン・キホーテ」

新国立劇場の公式チャンネルから映像が紹介されています。

新国立劇場バレエ団を引っ張るプリンシパル米沢唯さんのグランフェッテ。3回転を当たり前のように入れてくるスゴさ…。最後まできっちりピタッと止める安定感。生で見るとさらに度肝を抜かれます。

あらすじ

舞台はスペインのバルセロナ。

登場人物

キトリ: 宿屋の娘。ドン・キホーテが夢の中で見たドルシネア姫にそっくり
バジル:床屋の青年でキトリの恋人

ドン・キホーテ:自分を騎士と思い込み旅に出る
サンチョ・パンサ:ドン・キホーテの従者
ロレンツォ:宿屋の主人
ガマーシュ:裕福な貴族

ジュアニッタ:キトリの友人
ピッキリア:キトリの友人
エスパーダ:闘牛士
街の踊り子:エスパーダの恋人のひとり
メルセデス:街の踊り子でエスパーダの恋人のひとり
カスタネットの踊り手
ジプシーの頭目:ちょっと危険な流浪の民の長

森の女王:ドン・キホーテの夢の中に登場
キューピッド:ドン・キホーテの夢の中に登場

ボレロ:結婚式で踊りを披露

旅をするドン・キホーテとサンチョ・パンサがバルセロナに到着。そこで若いカップルのキトリとバジルに出会う。キトリの父ロレンツォは、金持ち貴族であるガマーシュと娘を結婚させたがっている。

キトリとバジルが結婚にいたるまでの明るい物語。

さらに詳しい内容に関してはこちらをぜひご覧ください。

物語の流れが違う

ファジェーチェフ版は一般的な「ドン・キホーテ」と流れが入れ替わっています。

「ドン・キホーテ」という作品は、実際にドン・キホーテが登場するのですが、主役ではありません。

主役は、キトリとバジルです。

ですが、ファジェーチェフ版ではドン・キホーテを軸に物語が展開していきます。

ファジェーチェフ版の流れ

第1幕:バルセロナの街
第2幕:バジルの狂言自殺→ロマの野営地→ドン・キホーテの夢
第3幕:キトリとバジルの結婚式

ファジェーチェフ版では、キトリとバジルのストーリーは第2幕の序盤で終わってしまいます。バジルはこのシーンが終わると、第3幕の結婚式まで登場しません。

中盤に主役がいないので、ちょっと舞台に締まりがないように思います。

登場人物の違い

第3幕に父ロレンツォとガマーシュも登場しないので寂しさがあります。

そして、通常メルセデス1人で踊る役を「メルセデス」「街の踊り子」「カスタネットの踊り子」と3人で踊り分けています。3人とも衣裳やメイクがとにかく似ていて、誰が誰だかわかりずらいです…。また第3幕に「ボレロ」というパートが追加されています。ボレロを踊る2人がエスパーダとメルセデスにすごく似ているので、この点も少し混乱してしまうかもしれません。

キトリの友人であるジュアニッタ、ピッキリアも第3幕に登場しません。通常キトリの友人が第3幕でも踊りますが、ファジェーチェフ版では別人が踊る構成になっています。

とはいえ、登場人物が増えているため多くのダンサーの踊りを楽しむことができます。

ファジェーチェフ版「ドン・キホーテ」は多くのダンサーにチャンスを与える構成になっています。

新国立劇場バレエ団版のDVD

新国立劇場版のDVDも発売されています。スヴェトラーナ・ザハーロワとアンドレイ・ウヴァーロフのビッグネームによるキトリとバジルです。

kazu

今回はアレクセイ・ファジェーチェフ版「ドン・キホーテ」のご紹介でした。
ありがとうございました。

バレエ作品に関してはこちらにまとめていますので、ぜひご覧ください。