【筋膜リリース】筋膜とは何なのか。ファシアとの違い・疑問点
jazz

筋膜リリースとは?
筋膜とは?
ファシアとは?

身体のメンテナンスとして注目される「筋膜リリース」。

圧をかけて筋肉を伸ばすことで身体を整える、簡単な方法です。

記事を書いているのは……

元劇団四季、テーマパークダンサー。海外留学でダンスや身体づくりを学びました。ダンス、ヨガ(RYT200取得)、ピラティス、ジムにも20年ほど通っています。

kazu

今回は「筋膜リリースとファシア」についてです。

※3分ほどで読み終わります。

「筋膜」とは

筋肉、骨、内臓器官、血管、神経を包んでいるガーゼ状の膜で、身体全体にはりめぐらされています。

5つの筋膜

浅筋膜せんきんまく:皮下組織にあり全身を包む。血管や神経を皮膚とつなぐ

深筋膜しんきんまく:(腱膜けんまく筋膜)全身の筋肉をボディスーツのようにすっぽりと包む

筋外膜きんがいまく:ひとつひとつの筋肉を包む

筋内膜きんないまく:筋繊維を包む

筋周膜きんしゅうまく:筋内膜を包む

浅筋膜、深筋膜は全身をクモの巣状に覆っていて、大きな1枚の布のようになっていると考えられています。

筋膜は全身をクモの巣状に覆っている

筋肉は筋繊維が集まっています。

筋膜(筋内膜、筋周膜、筋外膜)とは?

この筋繊維を包んでいるのが筋内膜、筋内膜を包む筋周膜、筋周膜を包むのが筋外膜です。

筋肉の中には血管、リンパ管が通っています。

老廃物を排出

リンパ管を通るリンパ液は、余分な脂肪やたんぱく質など、老廃物を含んだ水分です。リンパ管の途中にリンパ節という細菌などの有害物質をさえぎるフィルターがあり、体外に排出していきます。

また、血管にも老廃物を除去する働きがあり、二酸化炭素やアンモニアを排出していきます。

筋肉や筋膜が硬くなると、排出機能が悪くなってしまいます。

筋膜の構造

「筋膜」は、タンパク質である「コラーゲン繊維」と「エラスチン線維」でできています。どちらも通常は、適度にゆるい状態です。

筋膜はコラーゲンとエラスチンから出来ている

コラーゲン線維は、強くしなやかな性質を持ちますが、伸縮性はありません。

エラスチン線維は、弾力があり、伸縮性があります。

筋肉と筋膜の間には、吸水性の高いコットンのような疎性そせい結合組織が広がっています。ヒアルロン酸がたくさん含まれていて、摩擦を防いでいます。ヒアルロン酸 1g で「約6リットル」の水分を保持すると言われます。

癒着ゆちゃく

同じ姿勢を取り続けていたり、無理な姿勢をしたり、ぶつけたり、炎症を起こすと、筋膜は硬くなり縮まります。

使い過ぎだけでなく、使わなさ過ぎても筋膜は硬くなります。

すると全身の筋膜が引っ張られ、本来きれいに広がっている筋膜にヨレが出て、そこで固定されてしまいます。

特にエラスチン線維が硬くなると引っ張られ、ねじれた形になり、固定されてしまいます。

これが癒着ゆちゃくです。

炎症により近くの組織にくっついてしまうことで癒着することもあります。

癒着してしまうとさらに筋肉が硬くなり、コリや痛みにつながります。

しかも、この部位だけでなく、ほかの部位にも影響を与えます。

血流が悪くなり、栄養の供給が不足し、老廃物が除去されにくくなってしまいます。

筋膜はつねに適度に動かし続ける必要があります。

筋膜リリースとは?

筋膜リリースは、筋膜の癒着ゆちゃくを取っていきます。

身体に圧をかけ伸ばしてほぐすのが、筋膜リリースです。

すると筋膜が通常の状態に戻り、筋肉の理想の状態である弾力が戻っていきます。

これが一般的な「筋膜」の説明です。

日本整形内科学研究会による「筋膜」の説明

「筋膜」に関し、日本整形内科学研究会は「筋膜」の定義が広すぎる、と疑問を発しています。

具体的に解説していきます。

筋膜とファシア

筋膜は、英語で「myofascia(ミオファシア)」といいます。

筋膜は、「ファシア(fascia)」に含まれます。

筋膜(myofascia)とファシアの違い

筋膜(myofascia)

日本整形内科学研究会の説明です。

筋膜は、筋線維、筋肉、さらにそれら全体の筋肉群を包む膜です。

筋や関節の動きを滑らかにするだけでなく、制御して位置を保つ役割があります。

ここまでは先ほどの説明と変わりありません。ですが、条件があります。

筋膜は、その名の通り、筋肉だけを包んでいる膜のことを指します。

ファシア(fascia)

続いて、「ファシア」についてです。

筋膜のように全身にある臓器、骨、神経、血管を覆っている線維せんい(糸状のもの)を「ファシア(fascia)」と呼びます。

fasciaの詳細な様子

日本整形内科学研究会ホームページより

ファシアは膜の部分もありますが、上の写真のように立体上の糸で構成されている部分もあります。

そのため「膜」と訳すことができず、そのまま「ファシア」と訳されます。

ファシアは筋肉だけでなく、身体のすべての臓器、骨、神経を覆っています。すべての組織、器官を覆ったあと、さらにそれらを丸ごと全部覆います。そして全部つながっています。

臓器の動きを滑らかにするだけでなく、制御して位置を保ちます。

内蔵の位置が保たれているのはファシアのおかげです。

日本の筋膜の定義

日本ではファシアの部分も「筋膜」とされることが多いです。

そのため「筋膜リリース」をすると、臓器の位置が整うと説明されることもあります。

この説明に日本整形内科学研究会が問題意識を持っています。

というのも、ファシアのリリースは、医療行為となるためです。

「ファシア・リリース」

ファシアも筋膜と同じように、硬くなることがあります。

硬くなり過ぎた場合、「ファシア・リリース」が行われることがあります。

「ファシア・リリース」では、注射を打ちます。

「ハイドロリリース(筋膜リリース注射)」とも呼ばれ、ファシアに生理食塩水を注射し癒着を剥がします。

これはファシアだけでなく、筋膜にも使うことができます。

ですが、筋膜リリースでは「ファシアをリリースする」と、はっきり言えません。

そのため、筋膜リリースで「臓器の位置まで整う」というのは言い過ぎ、というわけです。

「筋膜リリース」での身体の調整

ただ、個人的には日本整形内科学研究会が少し過剰に反応しているようにも思います。

筋膜リリースによって、実際に身体は調整されます。

筋肉の位置を調整すると、結果的に内蔵の位置が本来の位置に戻るということもあります。

kazu

身体がツラいとき、僕も筋膜リリースをします。

すると身体の調子が良くなります。

筋膜リリースの感想を見ると、調子が良くなっている人は多いです。

筋膜は身体全体を包む

筋膜は身体全体を包んでいて、筋膜リリースをすると身体全体が調整できる、という意味も間違いではないと思います。

ただし、これは原因と結果がはっきりとつながっている訳ではありません。

筋膜リリースをしたおかげで、結果的に内蔵の位置が戻った、という訳です。

まとめ

筋膜リリースの疑問点

・筋膜は身体全体を包んでいるわけではない
・筋膜リリースだけで臓器の位置は戻るとは限らない

ただ、先ほども載せたように筋膜が身体全体を包んでいる、という解釈もそこまで問題ないと思っています。

また、筋膜リリースで臓器の位置が戻ることもあると思います。

ファシアを知った上で筋膜の説明をしている人は信用できると思います。

筋膜リリースの方法に関してはこちらで紹介しています。ぜひご覧ください。

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kazu

今回は「筋膜リリースとファシア」についてでした。
ありがとうございました。

ダンサーのような身体を目指すトレーニング情報はこちらにまとめています。