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「ジゼル」の第1幕のあらすじは?
見どころポイントは?
どんな踊りが見られる?

精霊が登場するバレエで間違いなく1番有名な作品が「ジゼル」です。第1幕ではジゼルが精霊になるまでを描きます。純粋無垢なジゼルと、遊び人アルブレヒトの恋。当然イイ結果になる訳はなく…。

記事を書いているのは…

元劇団四季、テーマパークダンサー。舞台、特にバレエを観に行くのが大好きで、年間100公演観に行った記録あり。

kazu

今回は「ジゼル」の第1幕の見どころポイントです。

※3分ほどで読み終わる記事です。

「ジゼル」について

こちらで「ジゼル」全体の解説、登場人物、歴史など紹介しています。

登場人物

ジゼル:病弱な村娘
アルブレヒト:シレジア伯爵。身分を隠すため村人に変装。(このときロイスと名乗るバージョンもある)
バチルド姫:公爵令嬢
ヒラリオン:森番の青年。ジゼルに思い焦がれる
ベルタ:ジゼルの母親。夫はいない

ぶどうの収穫期を迎えた中世ドイツの山間にある小さな村が舞台です。

第1幕前半のストーリー

夜が明けると狩猟場の番人であるヒラリオンが小さな家にやってくる。ヒラリオンは狩りで獲ったウサギと小さな花を玄関の前に置いていく。というのも、ヒラリオンはこの家に住むジゼルに恋をしている。

美しいマントを着た青年アルブレヒトとその従者が近くの小屋に入っていく。出てくると村人の格好に変装している。腰にさしたままの剣を従者に指摘され、急いで小屋の中に隠す。アルブレヒトはジゼルを家から呼び出し一緒に楽しい時を過ごす。ジゼルが野に咲く花をひとつ摘み、花占いをはじめる。花びらを一枚一枚「好き」「嫌い」と取っていく。しかし残りが少ない花びらから悪い結果になることがわかると花を捨ててしまう。アルブレヒトはその花を拾い、一枚抜き取りイイ結果になるようにする。

ポイント

貴公子アルブレヒトとの関係が初々しいジゼル。花占いのシーンからもわかります。純粋でありながら純朴。ジゼルは村娘なのできらびやかになりすぎてもダメですが、物語の主役なので田舎っぽすぎてもダメな役です。主役の女性ダンサーにはバランス感覚が求められます。

物語冒頭はジゼルとアルブレヒトの幸せなシーンが続きます。2人で踊るとき、ジャンプの高さ、足の角度まで揃っていることがあります。波長が合っていることが表現されます。

ボリショイ・バレエ団、オルガ・スミルノワ(ジゼル)より。花占いから息の合った2人の踊りまでです。アルブレヒトが胸に当てた右手を上に突き上げていますが、これは「愛している」というパントマイムです。

第1幕中盤のストーリー

ヒラリオンがやってきてアルブレヒトに突っかかる。ヒートアップしたヒラリオンが短剣を抜く。するとアルブレヒトが腰にあたかも剣があるかのように手に伸ばす。ないはずの剣を触る動きを見たヒラリオンは、アルブレヒトが本当に村人か疑いはじめる。

ぶどうの収穫を終えた村人たちが帰ってきて、ジゼルたちと楽しく過ごしている。身体の弱いジゼルは途中気分が悪くなってしまう。ただ、胸の苦みが治まるとまた輪に加わっていく。母ベルタが家から出てきて身体の弱いジゼルを心配し、家の中に入れる。すると遠くから角笛の音が聞こえアルブレヒトが逃げるように去っていく。その様子を見たヒラリオンは小屋に侵入しアルブレヒトの秘密を探ろうとする。

狩りに来た貴族たちが休息のため村にやってくる。その中にとても美しいバチルド姫がいる。バチルド姫の美しいドレスに見惚れるジゼルは思わず触ってしまう。驚くバチルド姫だが、ジゼルの持つ愛らしい雰囲気に心を許す。お互いに婚約者がいるとわかると、バチルド姫が胸にかけていたペンダントをジゼルにプレゼントする。そしてバチルド姫は休憩のためにジゼルの家に入っていく。家の前には貴族の紋章が描かれた角笛がかけられる。

しばらくするとジゼルが出てきて、アルブレヒトや村人たちと楽しい時間を過ごす。

ジゼルのバリエーション(ソロの踊り)

バレエコンクールでよく踊られるバリエーションで、観客が期待を持って見つめます。そこまで難しいステップが入っているわけではないですが、観客の目が厳しいのでパーフェクトな踊りが求められる難しい踊りです。

ミラノ・スカラ座バレエ団より、アレッサンドラ・フェリ。

ペザント・パ・ド・ドゥ

村人の踊りのシーンです。このペザント・パ・ド・ドゥでは注目の若手ダンサーが配役されることが多いです。

2人のときもあれば、「パ・ド・カトル(4人構成)」、「パ・ド・シス(6人構成)」、「パ・ド・ユイット(8人構成)」のこともあります。フランス語でカトルは「4」、シスは「6」、ユイットは「8」を意味します。バージョンによって構成が変わるので、注目ポイントです。

パリ・オペラ座バレエ団よりパ・ド・ドゥ。現在エトワールのミリアム・ウルド=ブラームと、エマニュエル・ティボーです。

第1幕後半のストーリー「錯乱の場」

広場では村人たちがぶどうの収穫を祝っている。ジゼルの胸にかけられたペンダントに気づくアルブレヒト。アルブレヒトの顔がなぜか曇る。アルブレヒトの剣を見つけたヒラリオンが戻ってくる。ジゼルの家の玄関にかけられている角笛にある紋章と、剣にある紋章が一致する。みんなの前でアルブレヒトに「お前は貴族だろ」と詰め寄るヒラリオン。ごまかすアルブレヒト。埒が明かないと思ったヒラリオンは角笛を吹く。すると中からバチルド姫たちが出てくる。

アルブレヒトに気づいたバチルド姫が親しげに話しかける。「なんでそんな格好をしているの?」と。アルブレヒトは「ちょっとふざけているだけだよ。」と答え、バチルド姫の手に口づけをする。その様子に驚いたジゼルが無礼に割って入る。ジゼルがバチルド姫にアルブレヒトが婚約者であると告げる。するとバチルド姫もアルブレヒトが婚約者だと一蹴する。

真実を知ったジゼルはショックのあまり様子がおかしくなる。アルブレヒトとの楽しい瞬間を思い出しながら心が壊れていくジゼル。走り回るうちに発作を起こし息絶える。

ポイント

この場面では初々しかったジゼルがツラい現実に直面し、心が壊れていきます。花占いのシーンや、物語前半で踊られた振付が入ってきますが、ニュアンスが全く違います。痛々しく踊るジゼルとそれを見つめる村人たち。観客は村人たちと同じ気持ちになっていきます。

世界バレエフェスティバル特別プログラム、東京バレエ団より。アリーナ・コジョカルがジゼル、マニュエル・ルグリがアルブレヒト、ヒラリオンを木村和夫さんです。本来であればジゼルの髪留めが2つとも外れていなければいけないシーンですが、そこまで気になりません。髪留めが外れることでジゼルの髪がバサバサになり狂乱感が増します。

このときのアルブレヒトが、演じる男性ダンサーによって解釈がまったく違います。この映像はパリ・オペラ座バレエ団のマニュエル・ルグリです。ルグリは最初、貴族であることを優先します。その姿は悲しいまでにクズそのもの…。しかし、ジゼルが死ぬと、自分のやってしまったことに気づきます。

ダンサーによってはジゼルのそばから離れないこともあります。やはりこの時点でジゼルを本気で愛している方が、第2幕がドラマティックになると思います。後味悪く第2幕へと突入します。

おすすめDVD

2006年の映像で主演はアリーナ・コジョカルとヨハン・コボーです。とても評価の高い「ジゼル」のためオススメです。

5,000円ほどです。

kazu

今回は「ジゼル」第1幕のご紹介でした。 ぜひぜひチェックしてみてください。
ありがとうございました。