
男でバレエ鑑賞の敷居は高い?
初心者でも楽しめる?
気をつけることは?
劇場に行くと、男性客は驚くほど少ないです。90%以上が女性客ということもあります。
その証拠に劇場の男性トイレが女性トイレに変更されてしまうことがあるくらいで、肩身の狭い思いをしてしまうかもしれません。
ですが、実際に行ってみると敷居の低さにびっくりするかもしれません。
元劇団四季、テーマパークダンサー。舞台、特にバレエを観に行くのが大好きで、年間100公演観に行った記録があります
今回は初心者でもバレエ鑑賞を楽しむ方法です。
※3分ほどで読み終わります。
一緒に行く人がいなくても大丈夫?
よく聞く悩みです。
知らない場所にひとりで行く心細さ……、わかります。
バレエ公演のお客さんは、90%以上が女性です。
男性のアウェー感は半端ないです。ですが心配は無用です。ひとりで行って何も問題ありません。
女性が90%という話をしましたが、男性でもまったく気後れする必要はありません。というのも、女性もひとりで来ている方が多くいます。
なにより皆さん、舞台に集中しています。
昔は劇場が社交場の役割を果たしていたこともあります。ですが現代の日本では純粋に舞台を観る空間になっていると思います。
なので、堂々としていれば何も問題ありません。
どのバレエ団を観る?
僕の友人で、初めてバレエに行ったのが娘さんのバレエの発表会で「娘を見ているのは楽しかったが他は退屈だった」と言っていたのを思い出します。
最初のバレエ鑑賞が発表会だったので、バレエにあまり興味を持てなかったと語っていました。
残念ながらバレエの発表会はバレエの公演としては不十分です。ダンサー、スタッフ、美術、オーケストラ、会場、といったトータルの力が合わさり公演が成立します。
日本はバレエのレッスン人口が世界で1番と言われています。そのため、バレエの発表会がとても多く、初めて行ったバレエ公演が友人の発表会だったという人は多いと思います。
ですが、バレエの発表会とプロのバレエ団の公演は、まったく違います。
ひとつの基準として「東京文化会館」「新国立劇場オペラパレス」「オーチャードホール」で行われるバレエ公演は間違いが少ないです。
海外のバレエ団でもこの3つの劇場を使用している公演がオススメです。
日本では「新国立劇場バレエ団」「東京バレエ団」「Kバレエカンパニー」がオススメです。
海外旅行
海外旅行のついでに観に行くのもオススメです。
ニューヨークやロンドンに行くと、とりあえずブロードウェイやウエストエンドに「ミュージカル観に行くか」ということがあると思います。
これと同じ感覚で行ってみると、特別な体験ができると思います。
ロシア:マリインスキー・バレエ団
ロシア:ボリショイ・バレエ団
イギリス:英国ロイヤル・バレエ団
イギリス:バーミンガム・ロイヤル・バレエ団
フランス:パリ・オペラ座バレエ団
アメリカ:アメリカン・バレエ・シアター
アメリカ:ニューヨーク・シティ・バレエ団
アメリカ:サンフランシスコ・バレエ団
ドイツ:シュツットガルト・バレエ団
ドイツ:ハンブルク・バレエ団
ドイツ:ベルリン国立バレエ団
モナコ:モンテカルロ・バレエ団
イタリア:ミラノ・スカラ座バレエ団
デンマーク:デンマーク王立バレエ団
オーストラリア:オーストラリア・バレエ団
実はこれらのバレエ団は日本によく来日しています。
世界中から多くのバレエ団が来日する恵まれた国が日本です。たぶん一番バレエ団が来日する国じゃないか、と思います。
上記のバレエ団は数年に一度来日します。来日公演は少し値段が高くなってしまいますが、ほぼ間違いないと思います。
どの作品から見る?
次の問題は「どの作品から観るか」です。
僕は「ガラ公演」をオススメします。
ガラ(gala):特別行事(仏語)
有名な作品の一番盛り上がるシーンだけをいくつも上演する良いとこ取りの公演。海外では格式が高くドレスアップが求められるが、日本ではかなり気軽に観ることができる
新国立劇場バレエ団より。
実力と人気を兼ね備えた花形ダンサーが集まります。海外から外国人ダンサーが来日することも多いです。まずは海外のダンサーが出演する公演がオススメです。
ただ舞台セットがなかったり、オーケストラでなく事前収録の音源を使用することも多いです。
とはいえ、1回の公演で何作品も観ることができるので、お得感があり、かつ飽きづらいです。
服装の注意点:そこまで気を遣わなくてOK
そして気になる服装について。
バレエの場合はオペラと違って、服装の敷居はそこまで高くありません。タキシードの人はほぼいません。スーツの人も少なめです。
バレエはどちらかというとミュージカルを観に行く感覚に近いと思います。バッチリ決めている人もいればラフな人もいます。
ただ傾向とすると、1階席など値段の高い席ではオシャレをしている人が多いです。座席の値段が低くなるほど、ラフになっていきます。

せっかくなので少しおしゃれをするといいと思います。
もし男性で迷ったらセミカジュアルがオススメです。
ジャケットとジーパンでもオシャレに演出できると思います。
周りの雰囲気を楽しむのもバレエ鑑賞の醍醐味
舞台鑑賞は、開演前や休憩時間、会場の雰囲気も含めて「舞台鑑賞」です。
「映画館のように作品だけ観る」という場所ではないかもしれません。
休憩が長いのでひとりで行くとけっこうヒマになってしまうこともあります。でもロビーの雰囲気はとても特別で、こうした雰囲気を楽しむこともバレエ鑑賞の一部です。
まわりの様子をみながら探り探り楽しんでください。
ホワイエで軽食
幕間は「ホワイエ(仏:foyer)」でゆったり過ごすのも手です。ホワイエとは英語でいうロビーのことで、入り口から劇場までの広い通路のことです。
ほとんどの劇場にビュッフェがあります。ビュッフェでは軽食やドリンク(アルコールも)を楽しむことができます。
少し値段は張りますが、贅沢な気分が味わえるのでおススメです。
えっ!! そのタイミングで拍手??
バレエの公演で一番ビックリするのが拍手のタイミングかもしれません。演劇やミュージカルの舞台では「最後のカーテンコール(出演者の挨拶)だけ拍手する」というパターンが多いです。
ですがバレエの場合、特に「白鳥の湖」のような古典の作品は、ダンサーが踊り終えるごとに拍手が起こります。主役が登場するときにも拍手が起こります。盛り上がった踊りのあとでも拍手が起こります。指揮者にも拍手をおくります。

ただ、無理に拍手をする必要はありません。
拍手は感動したときにすればいいので、無理に拍手する必要はありません。最初は周りに合わせて探り探り拍手していきましょう。
すべてに拍手しようとすると疲れちゃうので注意です。
オペラグラス
舞台に近い席では必要ありませんが、持っておくと便利なアイテムがオペラグラスです。オペラグラスとはミニ双眼鏡のことです。
2,000円ほどで質のいいオペラグラスが買えます。
会場でも500円~1,000円ほどで貸りることができますが、保証料を5,000円ほど預けることになります(返却時に保証料は全額返ってきます)。
最近はコロナの流行により、貸出をしていない劇場も多いので、ひとつ持っておくと観劇の質が上がります。
栄養ドリンク
舞台は慣れていないと、体力配分を間違ってしまうことがあります。
バレエの公演は休憩時間を入れると3時間弱の公演が多いです。
そのため途中で眠くなってしまうこともあります。
そんなときは栄養ドリンクがおススメです。シャキッとします。
すべてを超える感動がある!
ダンサーの身体表現を目の当たりにすると、本当に感動します。
テクニックを存分に楽しめる作品はもちろん、「ロミオとジュリエット」のようなストーリーがしっかりある物語バレエも感動します。

バレエは言葉がありません。言葉がないことで感覚が研ぎ澄まされるかもしれません。
これがバレエの良さです。
僕は「ダンサーのジャンプ力がスゴイ!」「何回転もする!」といったテクニックも好きですが、感情表現を大事にする演劇的な作品も大好きです。そして、「生」で観る良さを味わってほしいです。
「生」じゃないと感じられない感覚が間違いなくバレエにはあります。
全幕バレエ
先ほど「ガラ公演」をオススメしましたが、1つの作品(「全幕バレエ」と言う)を観るのもオススメです。
いきなり生で観に行くのは緊張するという場合は、ネットで予習もオススメです。ダンス映像がたくさん配信されています。
舞台公演をそのまま放送していることが多いので拍手のタイミングなどよくわかります。
オススメ3選
個人的にオススメする作品を3つ紹介します。
「ドン・キホーテ」
誰もが楽しめる「ドン・キホーテ」は初めての鑑賞としてオススメです。
超絶技巧のオンパレード、かつ太陽のように明るい作品です。「夢の場」といって、バレエの王道である女性ダンサーの群舞のシーンもあります。バレエといえば、というシーンが全部入っているような作品です。
アメリカン・バレエ・シアターより。イザベル・ボイルストンとダニール・シムキンのリハーサル映像です。
みどころたくさんの明るいバレエです。一番最初に見る作品としては最適で、さらにいうとガラ公演で一番最初にみるとバレエが好きになると思います。
「ロミオとジュリエット」
超絶技巧がたくさん出てくるわけではないですが、物語を堪能できる「ロミオとジュリエット」。
英国ロイヤル・バレエ団の映画版の予告より。
マクミラン版はジョン・クランコ、フランコ・ゼフィレッリの影響を受けています。リン・シーモアがマーゴ・フォンテインとルドルフ・ヌレエフに入れ替わってしまった裏話、プロコフィエフの音楽もご紹介します。
「白鳥の湖」
王道の「白鳥の湖」は日本で一番上演されているので、チケットを入手しやすいです。そして絶対に避けては通れない作品です。
女性ダンサーが白鳥を演じるというアイディアは廃れることはありません。
イングリッシュ・ナショナル・バレエ団より。
初演で大失敗したチャイコフスキー作曲の名作。マリウス・プティパとレフ・イワーノフによる振付で復活し、傑作となりました。ハッピーエンド、バッドエンド、さまざまなバージョンがありますが、すべての元となるバージョンの紹介です。
ぜひ面白そう!と思った作品があれば、チケットを取ってみてください。

今回はバレエ鑑賞初心者が劇場に行く方法でした。
ありがとうございます。
おススメの席などはこちらにまとめていますので、ぜひご覧ください。
舞台鑑賞好きの僕が劇場に行くときに知っておくとちょっと得する話をのせています。バレエを中心に紹介しています。