
正しい姿勢・美しい姿勢とは?
チェック方法は?
自分に合った姿勢のつくり方は?
ダンスを踊る上で重要な「姿勢」。
パッと見て「踊りが上手そうな人」は、姿勢が良いです。
グダっとしているヒップホップのダンサーも、上手な人は姿勢が良かったりします。
元劇団四季、テーマパークダンサー。30分のショーから2時間の舞台まで出演回数は5,000回以上。ダンス、ヨガ(RYT200取得)、ピラティス、ジムにも20年ほど通っています。
今回は「正しい姿勢の解説・チェック方法・作り方」についてです。ダンス、ヨガの知識を使い、姿勢を整えていきます。
※ 3分ほどで読み終わります。
正しい姿勢・よくある誤解
姿勢の理想として取り上げられる「 S字カーブ」。
とてもきれいな S字カーブです。
一方、ダンスやヨガを教えていると、おなかに力が入っていない状態で「 S字カーブ」を描いている人がいます。
一見、正しい姿勢に見えますが、おなかの中心(体幹)に力が入っていません。
この状態を「おなかが抜けている」と表現します。
物理法則からみる姿勢( 床反力 )
姿勢の維持に関しては、物理で習った「ニュートンの法則」が関係します。
力の大きさが等しく、互いに反対向きの力を与え続ける
立っている状態では、重力が床方向に働き、床から力が跳ね返っています。
例えば、体重 70kg の人物がいます。
この力を「床反力」と言います。
床から身体にかかる力( 身体にかかる力 = 体重 )
自然に立っているとき 70kg の力が床方向に向かっている(重力)と同時に、床から 70kg の力がかかっています(床反力)。
静止状態では、重力と床反力のバランスが保たれています。
通常、重力は「おなかの中心」にあります。これが「おなかで支える」状態です。
ですが、おなかに力が入っていないと、上半身のどこかの部位が代わりになってしまいます。
だいたいの場合、胸が代わりになるため、胸が丸くなり猫背につながります。
座っているときも同様で、おなかの力が抜け、胸で姿勢を支えると猫背になってしまいます。
身体への負担
猫背の人は、頭が正常な位置よりも前にスライドしています。
「1cm 前に頭がズレる = 約1.8kg 重くなる」
「Center for Healing and Regenerative Medicine」より
このように頭が前方にスライドすると、首への負担が強くなります。
日本人の特徴
運動学に関しては、欧米が先に進んでいるので、欧米人に合わせた知識が入ってきます。
ですが、日本人の骨格に合わない知識もあります。
欧米人の骨格
欧米人は日本人より「 S字カーブ」の度合いが強いです。
これは人種による骨格の違いです。
おしりがプリッとするのはこの湾曲の強さにあります。しかも湾曲が強いにも関わらず、おなかの力が抜けることはありません。
よく言われるのは、かつて欧米人は狩猟中心だったからでは、という説です。
一方、日本人は農耕民族で、床に座る生活中心だったため、背骨が「 Cカーブ」になりやすい傾向があります。
若い世代の日本人は欧米人の骨格に近くなっているので個人差があります。
姿勢改善に関しては、自分に当てはまるか当てはまらないか判断が必要です。
わからない場合は、プロのトレーナーに頼るのも一つの方法です。
姿勢が良いメリット
姿勢が整っていると、日常生活だけで体幹部が鍛えられます。
実は、姿勢が良いと体幹トレーニングは必要ない、と言われます。
そのため、姿勢を整えてからトレーニングをすると、均整のとれた筋肉がつきやすくなります。
レッスンの体験談
僕はヨガ未経験の方に教えることもあるのですが、初回は時間をかけて姿勢を作ります。
姿勢を覚えるだけで、その後の成長速度が大きく変わります。
それだけでなく、ケガ予防にもなります。
現状把握
ここから姿勢を整えていきます。
まずは現状の確認です。
1:1番イイと思う姿勢で直立
2:骨盤を動かさずにオシリの穴をキュッと締める
このとき、オシリの穴に力が入らなかった場合、オシリがプリっとしすぎている骨盤前傾状態になっています。
混乱しやすいのですが、骨盤を前後に動かしてオシリをプリッとさせる方が骨盤前傾です。
ステップ1:骨盤を調整
姿勢の確認ができたら、正しい位置に調整していきます。
1:骨盤を前傾(おしりをプリっとさせる)
2:徐々に骨盤を後傾させていく
3:オシリの穴に力が最大限キュッと入る位置まで後傾
(行き過ぎた場合はギュッとできる位置まで前傾し、いい位置を探る)
「仙骨を立てる」という表現も同じ意味です。
ダンスのレッスンや、ヨガのレッスンでは「仙骨を立てて」と先生からアドバイスをもらうことがあります。
これは「骨盤の位置を調整して」という意味です。
「おなか」で支える
一番優先されるのは、おなかで支えることです。
「おしりの穴に力が入っている = おなかの中心に力が入っている」という証拠です。
グッと力を入れ続けていると疲れてしまうので、楽な状態でおなかを引き締めている状態が理想です。
丹田(たんでん) を引き締める
腹部の内側にある丹田。理解できると身体の重心を意識できるようになります。
へそから指4本(手の人差し指~小指)2.5〜5cmほど下の骨盤の中心
腰の前側に手を触れることができる骨の突起があります。ここが丹田の位置の目安です。
位置は個人差があるため、丹田を点として意識するのではなく、下腹部周辺として意識した方がわかりやすいです。
仙骨を立てると自然に丹田が引き締まります。
1:骨盤の位置を調整
2:丹田に力を思いっきり入れる
2:丹田の力を抜き、引き締める意識に変える
座っている状態でも同じ方法を使います。最終的には力をギュッとするのではなく、引き締める程度の力で姿勢を保つようにします。
最初は難しいので、力を入れたままでOKです。
この後、呼吸法や、腹圧をかける方法につながっていきますが、まずはステップ1だけで大丈夫です。
ステップ2:胸の調整
おなかの調整ができたら、胸回りの調整です。
リブフレアに注意です。
肋骨が開いてしまっている状態のことを指します。
rib:肋骨
flare:扇状に広がる(フレアスカートのフレアと同じ意味)
呼吸が浅くなったり、身体の不調につながりやすいと言われます。
猫背かつ、おなかの力が抜けている人に多いです。無理やり姿勢を直すために肩を開こうとすると、肋骨がパカッと開いてしまいます。
丹田を引き締める練習をすると、リブフレアが直ることが多いです。
引き締める方法
おなかを引き締めるときは、「斜め下へ」を意識します。
1:息を吸う
2:息を吐くときに、肋骨から丹田に向かって斜め下に引き締める
3:丹田周辺のおなか周りは薄くしたまま呼吸を続ける
STEP3:キープ
最後のステップです。
丹田周辺を薄くキープすると、体幹に力を入れたまま腹式呼吸ができます。
ただ、腹式呼吸でおなかの前面だけを動かしてしまうと身体のバランスが崩れやすくなってしまいます。
それを解消するのが、360°呼吸法です。
前面だけでなく、脇腹、腰まで空気を入れる方法です。
このようにおなかを全方向に膨らませていきます。
脇腹・背中に空気を入れるのにはコツが必要です。
コツはこちらで紹介しています。
番外編:椅子の座り方
姿勢が崩れやすいのが、座り姿勢です。
先ほど紹介した座り姿勢。
左側が理想ですが、この姿勢をずっと保つのは大変です。
それを解消するのが足の位置です。
少し前傾姿勢になってしまっているので、本来は背筋を伸ばします。
とはいえ、足を引くとコアに力を入れやすくなります。
特別な椅子でなくても足を引くだけで姿勢が整うので、オススメです。
まとめ
骨盤を調整し、おなかに力を入れ、肋骨を閉じると姿勢が整います。
重心がおなかの中心にあれば、上半身がより自由に動かせるようになります。
肩が前に来ていたとしても、無理やり肩を開くのではなく、むしろ楽に力を抜いていきましょう。
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今回は「正しい姿勢の解説・チェック方法・作り方」についてでした。
ありがとうございました。
ダンサーのような身体を目指すトレーニング情報はこちらにまとめています。
ダンス上達のための身体の使い方、トレーニングの方法、体幹トレーニングについてまとめています。ピラティスやヨガもご紹介します。