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「センターステージ」のサクサスストーリー?
主人公は3人いる?
全員が夢をつかむ?

バレエ学校で切磋琢磨するダンサーたちが、バレエ団に入るまでを描いたサクセスストーリー「センターステージ」。でも、よくよく見ていると王道のサクサスストーリーとは少し違うことに気づきました。

記事を書いているのは…

元劇団四季、テーマパークダンサー。社割で映画が1,000円で観られたときは毎週劇場へ行っていました。最近はネットで映画をたっぷり。

kazu

この記事は「センターステージ」の脚本がふつうとなぜ違うのか、についてです。

※5分ほどで読み終わる記事です。

「センターステージ」について

センターステージに関してはこちらの記事で詳しく紹介しています。

役名:出演者(吹替版)

ジョディ:アマンダ・シュール(冬馬由美)
エヴァ:ゾーイ・サルダナ
モーリーン:スーザン・メイ・プラット

「センターステージ」はジョディを中心に、エヴァとモーリーンを含めた3人の成長物語です。3人とも「したたか」に夢を見つけていきます。

それぞれの人物像

ジョディ、エヴァ、モーリーンについて

ジョディ:マイナス面に向き合う努力型
エヴァ:自分の考えを大事にする感情型
モーリーン:体型や才能に恵まれた天才型

脚本のバランスが抜群で、3人が対立することなく物語は進みます。セリフ、シーンにムダがなく、人物像が深く描写されています。

新たな道を見つけるジョディ

「センターステージ」では主役のジョディに観客が素直に感情移入できないよう少し工夫がなされていると思います。ジョディはクーパーとチャーリーと三角関係になります。チャーリーはジョディに好意を持っているものの、クーパーとの関係を知り身を引きます。成長したジョディはクーパーを振り、最後にチャーリーといい雰囲気で終わります。監督はあえてジョディを「したたかな女」に見えるように描いているようにも思います。

そして、「センターステージ」は冷静に見るとなかなかヤバい映画かもしれないと思っています。というのもジョディは、3作品上演される卒業公演のうちの1つに主役として抜擢されます。バレエ学校の中でジョディは実力が低いにも関わらず選ばれます。その理由は、振付師がジョディを個人的に評価しているから…。しかもスゴイのが、その相手と寝てしまっていること…。

ただし、こうした展開でも監督は冷静です。「センターステージ」のDVDには監督が副音声で全編解説してくれる特典映像が入っています。特典には削除されたシーンも入っているので作品への理解がかなり深まります。

結末でジョディは、バレエ団に入団できるかの審査結果を聞かずに終わります。ですが、監督は「ジョディがバレエ団に合格できなかっただろう」と語っています。これを聞いたとき、「センターステージ」は単なるサクセスストーリーじゃなかったんだな、と思い知らされました。ジョディは体型がバレエ向きではないので、絶対に超えられない壁があります。監督が想定したように、ジョディは王道のクラシックバレエの世界では生きていけないだろうと思わせます。

ですが監督は新たな道を用意しています。映画内でジョディは、クーパーが立ち上げる新たなバレエ団でプリンシパルとして入団が決まります。破格の成功です。このバレエ団は伝統的なクラシックバレエではなく、ジャズダンスなどを取り入れたモダンスタイルということがわかります。

ジョディは挫折を経験しても、自分を奮い起こすことができる主人公です。別の道になってしまいましたが、自分が主役にとなれる道に進みます。これがジョディにとってのセンターステージです。一見するとただの受け身の弱い女の子に見えるのですが、実はその逆であることがわかると思います。

アマンダ・シュルのその後

アマンダ・シュルはサンフランシスコ・バレエ団の研修生時代に「センターステージ」のジョディ役が決まります。その後、サンフランシスコ・バレエ団に入団します。ただ、コール・ド・バレエから昇格することなく2006年にバレエ団から引退します。そしてその後は俳優として順調に活動し、ドラマ「スーツ」ではレギュラーとして出演していました。

学業に向かうモーリーン

才能に恵まれながらも自分には情熱がないことに気づくモーリーン。モーリーンは挫折を知らないため、人の痛みに寄り添うことができません。しかし、ジョディやエヴァと出会い変化が表れます。

モーリーンは極度の食事管理によって、体型を維持しています。余計に食べたときは、強制的に嘔吐することもあります。同じ時期にバレエ学校の仲間であるエミリーが体重オーバーを理由としてバレエ学校から退学処分となってしまいます。このときエミリーのお母さんが「楽しくないなら踊る必要はない」と娘を守ります。

この言葉がとくにモーリーンに影響します。嘔吐のことをモーリーンはお母さんに話します。ですが、お母さんはプロを目指すなら必要な犠牲と語ります。こうしてモーリーンはバレエダンサーという夢について真剣に考えるようになります。もともとバレエを始めたきっかけはお母さんです。お母さんの言う通り、疑問を持たずに生きてきたモーリーン。

モーリーンはまるで自分の人生を生きていないような感覚になっています。最終場面ではモーリーンは大きな決断をします。この決断によってモーリーンは人生を自分に取り戻すことになります。これがモーリーンにとってのセンターステージです。

ちゃっかり医学生の恋人をゲットしているのが流石です。

バレエの道に進むエヴァ

生まれた環境から人をなかなか信じることができないエヴァ。実力はピカイチでありながら、態度の悪さからチャンスをつかむことができませんでした。映画の中では皮肉のきいたセリフがたくさん登場し、笑えるシーンをたくさん生み出しています。

ただし、バレエ団においては芸術監督が絶対です。エヴァは自分の感情を大切にするあまり反抗してしまいます。エヴァは自分でチャンスをつぶしてしまい、そのことを身をもって実感することになります。

チャンスがなくなったことで純粋にバレエと向き合うようになるエヴァ。謙虚にバレエと向き合う姿に周りも気づきはじめます。

そして、エヴァには一発逆転があります。モーリーンが突如舞台を降板し、エヴァが代わりに主役を踊ります。ほかのダンサーを押しのけてなぜかエヴァが代役としてステージに勝手に出てしまいます。しかもリハーサルなしに…。これは絶対にあり得ません。ですが、ストーリーがあまりにスムーズに流れていくのですんなり受け入れてしまいました。

主役を演じたことで実力を証明できたエヴァ。バレエ団に入団が決まります。

この入団の基準が大きなポイントです。必ずしもダンサーが芸術監督に従順である必要はありません。新たな芸術はぶつかりあいによって生まれることもあります。芸術監督のジョナサンの考え方の広さを感じられるシーンです。

そしてエヴァはチャンスを失ってから、自分の感情中心ではなく、周りの感情にも目を向けはじめることができるようになりました。センターステージに立つには人格的にも認められる必要があります。エヴァはその資質を手に入れることでセンターステージに立つ準備が整いました。

ゾーイ・サルダナ

「センターステージ」がデビュー作だったゾーイ・サルダナ。その後「アバター」「アベンジャーズ」「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーなどの大ヒット作に出演しています。

DVD

DVDには特典映像がついていたり、バレエシーンのロングバージョンが入っているので映像配信よりオススメです。

3,500円ほど。今は売ってないですが、僕はサントラも持っています。

kazu

今回は「センターステージ」の脚本がふつうとなぜ違うのか、についてでした。 ぜひぜひチェックしてみてください。
ありがとうございました。