振付師ジャスティン・ペック:『ウエストサイドストーリー』2021振付
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ジャスティン・ペックとは?
経歴は?
特徴は?

海外のバレエ団は専属の振付師が所属していることが多いです。

バレエ界の発展のためには、振付家の存在は欠かせません。

記事を書いているのは……

元劇団四季、テーマパークダンサー。舞台、特にバレエを観に行くのが大好きで、年間100公演観に行った記録があります。

kazu

今回は、ニューヨーク・シティ・バレエ団の常任振付家であり、スピルバーグ版『ウエスト・サイド・ストーリー』を振り付けたジャスティン・ペックについてです。

※ 3分ほどで読み終わります。

新時代の振付家「ジャスティン・ペック」

ニューヨーク・シティ・バレエ団に若手の振付家がいます。

それが、元ニューヨーク・シティ・バレエ団のソリストだったジャスティン・ペックです。

ニューヨーク・シティ・バレエ団では毎年ジャスティン・ペックの作品が上演され、高評価を得ています。どれもセンスがあって、とてもおしゃれな作品です。

『 THE TIMES ARE RACING 』(加速する時間)

中でもオススメがこちら。

舞台版の作品を映像作品として公開しています。撮影場所はニューヨークの地下鉄の駅です。

本人も出演していて、背の高いダンサーが振付のジャスティン・ペックです。

もうひとりは映画版『キャッツ』でマンカストラップを演じているロバート・フェアチャイルドです。

音楽、衣装、地下鉄、スニーカーで踊るバレエ、すべてがワクワクします。ジャスティン・ペックは新しいことをしているにも関わらず、ちゃんとバレエであり、エンターテインメント性もあります。

めがね

このビデオで使われた駅……。たぶん地下鉄 7番ラインの「 34th Street( Hudson Yards)駅」だと思います。ある時、乳母車を抱えた女性がいて、手伝ったらすごく感謝された思い出があります。

そんないい思い出がよみがえるビデオなのでした。

最後に抱き合うカップルは、タイラー・ペック(女性)とアマール・ラマザーです。最後抱き合ったあと 4人が腰を音楽に合わせて落とす一瞬の振付。このひとつの動きでさえオシャレです。

ちなみに、タイラー・ペックはニューヨーク・シティ・バレエ団の中で一番好きなダンサーです。

経歴

ジャスティン・ペックは1987年生まれの 37歳(2024年時点)です。

この若さですでに多くの作品を発表し、賞を受賞する実力派です。

ニューヨーク・シティ・バレエ団には、常任振付家というバレエ団専属の振付師というポジションがあります。2014年、27歳という若さで就任し話題になりました。

経歴

1987年:ワシントンDC生まれ
2003年:ニューヨークに引っ越し、スクール・オブ・アメリカンバレエに入学(15歳)
2006年:ニューヨーク・シティ・バレエ団に研修生として入団(18歳)
2007年:ニューヨーク・シティ・バレエ団にコール・ド・バレエとして正式に入団
2009年:New York Choreographic Institute(ニューヨーク振付研究所:ニューヨーク・シティ・バレエ団が運営)で振付の勉強を始める
2012年:ニューヨーク・シティ・バレエ団で振付作品を発表
2013年:ソリストに昇格。「Year of the Rabbit」がブノワ賞(バレエ界のアカデミー賞)にノミネート
2014年:振付作「Everywhere We Go」の成功によりニューヨーク・シティ・バレエ団の常任振付家に。「Rodeo: Four Dance Episodes」がBessie賞(ニューヨークでのダンスの賞)を受賞
2016年:「Rodeo: Four Dance Episodes」ブノワ賞(バレエ界のアカデミー賞)にノミネート
2018年:ブロードウェイミュージカル「回転木馬」でトニー賞の最優秀振付賞受賞
2019年:ニューヨーク・シティ・バレエ団のダンサーを引退

ジャスティン・ペックはニューヨーク・シティ・バレエ団に限らずさまざまなバレエ団で振付を行っています。

パリ・オペラ座バレエ団、サンフランシスコ・バレエ団、パシフィック・ノースウエスト・バレエ団、マイアミ・シティ・バレエ団、ヒューストン・バレエ団などなどです。

評価

ニューヨーク・シティ・バレエ団の存在価値をジャスティン・ペックがかなり高めています。

舞台作品の映像化が少ないため、現地に行かない限り見る機会は少ないです。

ですが、舞台作品が youtube にアップされていたり、先ほどの作品のように映像用に改訂されアップされていることもあります。

スニーカー・バレエ

ジャスティン・ペックの作品では、バレリーナがスニーカーで踊る作品が出てきます。

サンフランシスコ・バレエ団との作品『 Hurry Up, We’re Dreaming 』を少しご紹介します。

動画を翻訳してみます。

【意訳】

ジャスティン・ペックです。ニューヨーク・シティ・バレエ団の常任振付家をしています。今回がサンフランシスコ・バレエ団と 2回目の仕事です。サンフランシスコ・バレエ団は大好きなバレエ団です。

前回来たときは、街をかなりぶらぶらしました。そして『 M83 』というグループの音楽を聞き始め、夢中になりました。というのもサンフランシスコの街と音楽がすごく噛み合っていて、人としてあるべき姿というものについていろいろ考えさせられました。この感覚を作品に反映させています。

この作品では 14人のダンサーが登場し、全員スニーカーを履いています。ふつうバレエでは女性はトウシューズだし、男性はバレエシューズを履きます。最近、ダンサーがスニーカーを履くとどう動くようになるか、どんな影響があるか興味があります。

バレエシューズで踊る場合と違い、スニーカーがこの作品にいい影響を与えています。僕はすごく楽しいし、新しさをすごく感じています。

ミュージカル界でも活躍

ちなみに、ジャスティン・ペックはバレエにとどまらず、ミュージカルでも振付をしています。

しかも 2018年の『回転木馬』では、トニー賞を受賞しています。

映画版『ウエスト・サイド・ストーリー』振付

このように華々しいキャリアを誇っていますが、残念ながら日本ではなかなか見る機会がありません。

ですが、ついに日本でも見られる日が来ました。

それが、2022年2月に公開のスピルバーグ監督による『ウエスト・サイド・ストーリー』です。

『アメリカ』より。

5,000円ほど。

ちなみに1961年に公開されたオリジナルの振付はジェローム・ロビンズです。ジェローム・ロビンズもニューヨーク・シティ・バレエ団の振付師でした。

どちらも素晴らしい振付です。

kazu

今回は、振付師ジャスティン・ペックについてでした。ぜひチェックしてみてください。
ありがとうございました。