バレエ『ラ・バヤデール』第3幕・第4幕のあらすじ・見どころポイント
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『ラ・バヤデール』第3幕・第4幕の内容は?
特徴は?
見どころは?

第2幕でニキヤを見殺しにしてしまったソロル。

同情できるものの、後味の悪さが残ります。

そんなソロルに救いの手を差し伸べられるのが、第3幕です。

記事を書いているのは……

元劇団四季、テーマパークダンサー。舞台、特にバレエを観に行くのが大好きで、年間100公演観に行った記録があります。

kazu

今回は、バレエ『ラ・バヤデール』第3幕・第4幕の見どころポイントです。

※ 3分ほどで読み終わります。

『ラ・バヤデール』に関する記事はこちらでまとめています。

第1幕の見どころポイント
第2幕の見どころポイント
第3幕・第4幕の見どころポイント(→現在は、この記事)

広がるクラシックの世界

第1幕、第2幕とインドの雰囲気だった舞台が、第3幕では一気にクラシックの雰囲気になります。

振付のマリウス・プティパは、基本的なクラシックのステップで場面を構成しています。

真っ白なクラシックチュチュと薄暗い舞台照明。

衣装に羽衣のようなベールがついているので、インドの雰囲気を感じるものの、クラシックの世界にどっぷり浸ることができます。

登場人物

バヤデールとは、聖なる寺院に仕える踊り子のことです。

登場人物

ニキヤ:神殿の舞姫(バヤデール)
ソロル:戦士
ガムザッティ:ラジャの娘

ハイ・ブラーミン:大僧正
ラジャ:首長

マグダヴェーヤ:苦行僧の長
アヤ:ガムザッティの召使
ソロルの友人

第3幕:あらすじ

ソロルが寝室で休んでいる。目の前で死にゆくニキヤを助けられず、失意の中にいる。

気持ちを紛らわすため、アヘンに溺れるソロル。

そして、深い眠りに堕ちていく。

天に登ったバヤデール(踊り子)たちが影となって現れる。

ひとり、またひとり。ゆっくりと影になったバヤデールが近づいてくる。

この世界はとても穏やかで美しい。

ソロルはニキヤの影を追い求め、「影の王国」に飛び込む。

ニキヤの影を感じるものの、ソロルが近づくとフッと消えてしまう。何度も追いかけようやくニキヤに近づくことができる。

心を通い合わせていくふたり。

強い愛により、ふたりの魂は解放される。

第3幕のポイント

『ラ・バヤデール』には様々なバージョンがあり、物語の終わり方は複数あります。

・ソロルが目覚めることなく終わる
・ソロルが目覚め現実世界に戻っていく
・現実世界に戻ってから神の怒りを買う

このようなエンディングを迎えます。

影の王国:バレエ・ブラン

「影の王国」という言葉に怖い雰囲気を感じますが、作品では真逆の意味に解釈されています。

この影は、人間の隠された精神を表す存在です。

厳格な制度が守られているインドと、翻弄ほんろうされる人々。

しかし、人々の心の中には本音が隠されています。影は細かい部分まで再現します。

ニキヤがソロルを愛し、ソロルがニキヤを愛する。

現実の世界では声をあげることができなかった想いが、「影の王国」で実現します。

バレエ・ブラン( フランス語:Ballet blanc )

「白いバレエ」と直訳。女性ダンサー全員が白い衣装でクラシックバレエを踊る場面のこと。

『白鳥の湖』『ジゼル』『ラ・シルフィード』にも登場

「影の王国」はとても静謐せいひつで安心できる世界です。

この完璧といえる世界をバレエ・ブランで表現しています。

人気が高いため、このシーンだけを抜粋して上演されることがあります。

クラシックバレエを観たい、という人にオススメのシーンです。

「影の王国」の群舞

薄暗い照明の中、舞台奥、山の中腹にひとりのダンサーが登場。

そのダンサーに続き 32人が舞台に揃います。

全ダンサーがアラベスクというステップを繰り返します。先頭のダンサーは39回(38回のバージョンもあり)も繰り返します。

観客は気づいたら「影の王国」の中にいるような錯覚に陥ります。

ボリショイ・バレエ団より。

とくにロシアのバレエ団の持つ雰囲気は特別だと思います。

ニキヤとソロル

最大の見せ場がニキヤとソロルのパ・ド・ドゥ( 2人の踊り)です。

不自由さから解放され、魂で語り合うパ・ド・ドゥです。

大げさな表情を作るわけでなく、ただただ美しい踊りが広がっていきます。

ミラノ・スカラ座バレエ団より。スヴェトラーナ・ザハーロワ(ニキヤ)とロベルト・ボッレ(ソロル)。

ニキヤのヴァリエーション(ベールのアダージョ)

ニキヤとソロルが長いベールを持ったまま踊ります。

アダージョ:(フランス語:adage)「ゆっくり」という意味。男女 2人がテンポの遅い曲で踊る。

パリ・オペラ座バレエ団より。シルヴィ・ギエム(ニキヤ)とローラン・イレール(ソロル)です。

舞台で見るとベールの動きがさらに美しく見えるシーンです。

3人のソリスト

「影の王国」では 3人のソリストが登場します。

スピーディーな 第1バリエーション、ダイナミックな 第2バリエーション、コントロールされた 第3バリエーション。

それぞれの個性が光ります。

第1バリエーション

パリ・オペラ座バレエ団より、オーレリ・デュポン。

ローザンヌ・バレエ・コンクールより、前田紗江さん。現在は、英国ロイヤル・バレエ団で活躍されています。

第2バリエーション

英国ロイヤル・バレエ団より、高田茜さん。

ボリショイ・バレエ団より、ナタリヤ・オシポワです。

第3バリエーション

パリ・オペラ座バレエ団より、アニエス・ルテステュです。

英国ロイヤル・バレエ団より、ヤスミン・ナグディです。

第4幕のあらすじ

エピローグとして、「ソロルが目覚め後悔を胸に生きていく」という第4幕のないバージョンが多いです。

一方、続きが描かれるバージョンがあります。

ソロルとガムザッティの結婚式が寺院でおこなわれる。

しかし、寺院の中の様子がおかしい。

自分勝手に振る舞う人間たちに神の罰がくだる。

寺院が崩壊し、ソロル、ガムザッティ、領主、大僧正が下敷きとなり死んでしまう。

倒れるソロルのもとにニキヤの魂がやってくる。

そしてニキヤに連れられ天に登っていくソロル。

2人の魂は永遠に結ばれるのであった。

以上、第3幕・第4幕の解説でした。

オススメDVD

マカロワ版、ヌレエフ版、グリゴローヴィチ版の 3つのバージョンがオススメです。

英国ロイヤル・バレエ団(マカロワ版)

マリアネラ・ヌニェス、ワディム・ムンタギロフ、ナタリア・オシポワ主演。

ナターリヤ・オシポワの演技がとくに素晴らしく、初めてガムザッティに同情しました。

プリンシパルである高田茜さん、ヤスミン・ナグディが「影の王国」のソリストとして登場していて豪華です。

パリ・オペラ座バレエ団(ヌレエフ版)

ルドルフ・ヌレエフの遺作となった『ラ・バヤデール』。

このDVDは初演版です。1994年に収録されたバージョンですが、現在も発売され続けています。

イザベル・ゲラン、ローラン・イレール、エリザベート・プラテルが素晴らしいです。若き日のアニエス・ルテステュ、オーレリ・デュポンも登場しています。

ボリショイ・バレエ団(グリゴローヴィチ版)

スヴェトラーナ・ザハロワ、マリア・アレクサンドロワ、ウラディスラフ・ラントラートフ主演。

ニキヤとガムザッティがとにかく豪華です。

kazu

今回は、『ラ・バヤデール』第3幕・第4幕のあらすじ・見どころでした。
ありがとうございました。

バレエ作品に関してはこちらにまとめています。ぜひご覧ください。