ノイマイヤー振付『椿姫』ストーリー・見どころ(3つのパ・ド・ドゥ)
jazz

『椿姫』のストーリーは?
特徴は?
見どころは?

ジョン・ノイマイヤーが振付したバレエ『椿姫』。

主役のマルグリットは円熟味があり、アルマンは実直でまだ青い青年です。

今まで15回以上観ていますが、どの公演も素晴らしく記憶に残っています。

記事を書いているのは……

元劇団四季、テーマパークダンサー。舞台、特にバレエを観に行くのが大好きで、年間100公演観に行った記録があります。

kazu

今回はノイマイヤー版『椿姫』ストーリー・見どころ解説です。

※3分ほどで読み終わります。

作品について

作品全体の解説はこちらで紹介しているので、ぜひご覧ください。

今回は各幕ごとのストーリーと見どころを詳しく紹介していきます。

振付:ジョン・ノイマイヤー
音楽:フレデリック・ショパン

使用されている楽曲も一緒に載せています。

登場人物

マルグリット・ゴーティエ:高級娼婦(椿姫)。咳の発作に苦しむ
アルマン・デュヴァル:ブルジョワ階級の青年

デュヴァル氏:アルマンの父
公爵:マルグリットのパトロン
プリュダンス:マルグリットの仲間
ガストン:アルマンの友人
N伯爵:マルグリットの愛人志願者
オリンピア:マルグリットの友人でもある高級娼婦

マノン:劇中劇『マノン・レスコー』の登場人物
デ・グリュー:劇中劇『マノン・レスコー』の登場人物
ナニーナ:マルグリットの使用人

プロローグ:ストーリー

19世紀のパリ。とある家で遺品の競売が行われている。

音楽

『ピアノ・ソナタ第3番 ロ短調 作品58より第3楽章ラルゴ』

家の持ち主は高級娼婦のマルグリット・ゴーティエといい、結核が原因で亡くなってしまった。

そこに飛び込んでくるひとりの青年。青年の名前はアルマン・デュヴァル。貴族の青年で、マルグリットと深い仲にあった。

アルマンはマルグリットとの出会いを思い出す。

第1幕:ストーリー

パリにある「ヴァリティエ座」という劇場。

美しく奔放ほんぽうなマルグリットのまわりは金持ちの男性であふれている。経験豊富なマルグリットと対象的な青臭いアルマン。出会った時からお互いになんとなく惹かれ始めるマルグリットとアルマン。

上演後、マルグリットは友人のプリュダンスとガストンに頼みアルマンを自宅に招待する。最初はアルマンの眩しすぎる純愛をからかっていたマルグリット。

しかし、ついにマルグリットもアルマンを受け入れる。ふたりの関係は深くなっていくものの、マルグリットが生活を変えることはない。パトロンと相変わらず豪華な生活を続けている。

そんなときパトロンである老公爵がマルグリットの健康を心配し、田舎の別荘を用意する。仲間を引き連れ田舎へ静養に行くマルグリット。そこにアルマンもついていく。

音楽

『ピアノ協奏曲第2番 ヘ短調 作品21』

第1幕の見どころ:「青のパ・ド・ドゥ」

第1幕の大きなみどころはマルグリットがアルマンに心を許すパ・ド・ドゥ(二人の踊り)です。

最初は身体をこわばらせていたマルグリット。後半になるとリフトでもアルマンに身体をあずるようになります。

シュツットガルト・バレエ団よりマリア・アイシュバルトとフリーデマン・フォーゲル。

第2幕:ストーリー

別荘で相変わらず豪華な生活を続けるマルグリット。そばにはいつもアルマンがいる。

幸せな時間を過ごすマルグリットとアルマンと仲間たち。しかし、そんなマルグリットをこころよく思わない老公爵がアルマンを追い出そうとする。

そんなとき、マルグリットがアルマンの肩を持ち、アルマンを愛していることをみんなの前で告げる。

アルマンとの愛を公表したことでパトロンがいなくなったマルグリット。それでもマルグリットは幸せだった。

しかし、マルグリットに手紙が届く。二人のことを知ったアルマンの父デュヴァル氏からだった。

アルマンの外出中に訪ねてきたデュヴァル氏。貴族の息子と高級娼婦の愛を認めるわけにはいかない。息子の将来の邪魔をしないでくれ、とマルグリットを説得する。

マルグリットはアルマンの人生を潰つぶすことができないと気づく。アルマンへの愛ゆえに二人の関係を終わらせることを決意するのだった。

最後にアルマンと幸せな時間を過ごすマルグリット。

アルマンを乗馬に送り出すと、そっと荷物をまとめパリに帰ってしまう。戻ってきたアルマンはマルグリットからの手紙を受け取る。そこには高級娼婦に戻ることが書かれている。

急いでパリに戻るアルマン。到着したアルマンは客を取るマルグリットを見てしまうのだった。

音楽

『ワルツ第2番「華麗なるワルツ」変イ長調 作品34の1』
『「3つのエコセーズ」作品72の3』
『ワルツ第4番「華麗なるワルツ」ヘ長調 作品34の3』
『ピアノ・ソナタ第3番 ロ短調 作品58より第3楽章ラルゴ』
『24のプレリュードより 第2番 イ短調 作品28の2』
『24のプレリュードより 第17番 変イ長調 作品28の17』
『24のプレリュードより 第15番 変ニ長調 作品28の15』
『ピアノ・ソナタ第3番 ロ短調 作品58より第3楽章ラルゴ』
『24のプレリュードより 第2番 イ短調 作品28の2』
『24のプレリュードより 第24番 ニ短調 作品28の24』

第2幕の見どころ:「白のパ・ド・ドゥ」

作品全体で一番幸せなシーンです。

結末を知りながらこのシーンを観ると悲しく響きます。

パリ・オペラ座バレエ団より、イザベル・シアラヴォラとカール・パケット。

第3幕:ストーリー

二人が別れてから時間がたった。マルグリットはすでに結核におかされ、死がせまっている。

マルグリットへの怒りがおさまらないアルマンは、わざとマルグリットの友人であるオリンピアと付き合う。そして、パリのシャンゼリゼの街角で再会してしまう。

その状況に耐えられないマルグリットはアルマンに傷つけるのをやめてほしいと部屋まで頼みに行く。アルマンはやはりマルグリットを愛していることに気づく。アルマンを愛しているマルグリットは、また関係を持ってしまう。

しかし、我に返ったマルグリットはまたもアルマンの元を去ってしまう。

今度こそマルグリットを許すことのできなアルマン。社交場で二人はまたも再会してしまう。その状況に耐えられないアルマンは酒に逃げ、酔っぱらってしまう。

そしてマルグリットに封筒を手渡す。マルグリットは期待を込めてその封筒を開ける。しかし、封筒の中身は札束だった……。

それは高級娼婦に対する報酬で、全員の前でマルグリットを侮辱ぶじょくする行為だった。

アルマンの回想はここで終わる……。

音楽

『ポーランドの歌による大幻想曲 イ長調 作品13よりラルゴ・マ・ノン・トロッポ』
『ポーランドの歌による大幻想曲 イ長調 作品13よりアンダンティーノ』
『ポーランドの歌による大幻想曲 イ長調 作品13よりアレグレット』
『ポーランドの歌による大幻想曲 イ長調 作品13よりヴィヴァーチェ』
『バラード第1番 ト短調 作品23』
『アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ 変ホ長調 作品22』
『ピアノ協奏曲第1番 ホ短調 作品11より第2楽章』
『ピアノ・ソナタ第3番 ロ短調 作品58より第3楽章ラルゴ』

第3幕の見どころ:「黒のパ・ド・ドゥ」

マルグリットがアルマンの部屋に訪れるシーンです。

お互いを食い尽くすようなパ・ド・ドゥ……。

身体の距離は近いのに、なぜか心が遠くにあるように感じてしまいます。

本家ハンブルク・バレエ団より、シルヴィア・アッツォーニとアレクサンドル・リアブコ。振付のノイマイヤーはハンブルク・バレエ団の芸術監督です。ハンブルク・バレエ団の『椿姫』は格別です。

マルグリットの日記

ふたたびオークション会場。

そこにマルグリットの使用人が現れ、マルグリットの日記をアルマンに渡すのであった。

日記にはマルグリットの必死の思いが記されていた。

マルグリットの願いはアルマンにもう一度会うこと。しかし身体が弱るにつれ、金銭的にも困窮こんきゅうしていく。

日記には死への不安とアルマンへの想いがつづられていた。

そして、孤独に死を迎えるのであった。

残されたアルマンは日記をそっと閉じることしかできなかった。

以上、詳しいストーリーでした。

劇中劇『マノン』

『椿姫』には内容がかなり似ている『マノン・レスコー』という作品があります。

主人公のマノンはマルグリットと同じく高級娼婦です。フランスが舞台の作品で、神学生のデ・グリューとマノンは恋に落ちます。

しかし、貧乏な生活に耐えられないマノンは高級娼婦としての道を選びます。マノンもマノンの兄もお金に対する執着が強すぎて、犯罪に手を染めます。その結果、兄は殺され、マノンはアメリカに流刑るけいされてしまいます。

それでもデ・グリューはマノンから離れることはありません。デ・グリューはアメリカまでマノンを追っていきますが、憔悴しょうすいしたマノンはデ・グリューの手の中で息を引き取ります。

効果的なシーン

振付のジョン・ノイマイヤーはこの『マノン・レスコー』という作品をところどころ挿入しています。このシーンが効果的にマルグリットの心情を表します。

なぜマルグリットはアルマンの手に飛び込まなかったのか……。

マルグリットはマノンほど自分勝手な選択をせず、冷静に判断をしていきます。

マルグリットとマノンが対比されることで、マルグリットの愛の深さを感じることができます。

オススメDVD

パリ・オペラ座バレエ団による2008年『椿姫』のDVD作品です。

5,000円ほど。

アニエス・ルテステュによるマルグリットと、ステファン・ビュリオンによるアルマン。

2人ともハマり役というだけでなく、周りを固めるキャストも最高の布陣です。ちなみにアニエス・ルテステュは日本での最終引退公演でステファン・ビュリオンと一緒に『椿姫』を踊りました。

僕も観に行きましたが今でも深く感動したこと覚えています。

kazu

以上、ノイマイヤー版『椿姫』の詳しい内容解説でした。
ありがとうございました。

バレエ作品に関してはこちらにまとめていますので、ぜひご覧ください。