
永久メイさんとは?
ドキュメンタリーがABEMA TVで放送内容は?
ロシアに戻っている?
バレエ大国ロシアで活躍する20歳の永久メイさん。
2022年ロシアのウクライナ侵攻の影響で、多くのバレエダンサーがロシアのバレエ団から退団しています。
そんな中、マリインスキー・バレエ団に所属する永久メイさんがロシアに戻りました。
バレエファンの方たちの中でもかなりザワザワしている話題です。
元劇団四季、テーマパークダンサー。舞台、特にバレエを観に行くのが大好きで、年間100公演観に行った記録があります
今回は「永久メイさん」についてです。
2023年1月に追記しています。
※ 3分ほどで読み終わります。
【 2022年 秋 】ロシアに戻ったバレエダンサー
スポーツや芸術は、政治的な問題と切り離されることが多いです。
ですが、2022年に起きたロシア・ウクライナ戦争により、ロシアから流出するダンサーが続出しました。
とくにロシア出身以外のダンサーの退団が相次いでいます。
ダンサーの中でも「正当化できる戦争はない。どんな暴力にも常に反対していく」といった意見。「何も起きていないかのように振る舞うことはできない」という意見が出ています。
戦争が始まったあと、日本に帰国していた永久メイさん。
2022年8月13日、NHKが主催する『バレエの饗宴』にも出演しています。
そんな中、永久メイさんはロシアに戻ることを決意しています。
2022年10月からロシアのサンクトペテルブルクにあるマリインスキー・バレエ団で活動を再開しています。
20歳の若きホープ
ロシアには歴史ある大きなバレエ団が2つあります。それがマリインスキー・バレエ団とボリショイ・バレエ団です。
どちらも由緒正しきバレエ団で日本人からの人気が高いです。マリインスキー・バレエ団は 240年を超える歴史があります。
来日が多く、日本で観る機会がたくさんあるバレエ団でした。
マリインスキー・バレエ団は伝統的で、ボリショイ・バレエ団はダイナミック、というイメージです。
このマリインスキー・バレエ団で活躍する 20歳のバレエダンサーが永久メイさんです。
ドキュメンタリー『ミレニアル』
2021年、ABEMAテレビで永久メイさんのドキュメンタリーが放送されました。
ドキュメンタリーでは、ラヴロフスキー版の『ロミオとジュリエット』の主役デビューを追っています。
番組内で登場する永久メイさんのコーチであるエルヴィラ・タラソワさん。現役ダンサー時代からコーチとして活躍し、ロシアでトップのバレエダンサーであるエフゲーニャ・オブラスツォーワ(マリインスキー・バレエ団で活躍し、現在はボリショイ・バレエ団のプリンシパル)を指導しています。
いきなり研修生
通常マリインスキー・バレエ団に入団するには付属のワガノワ・バレエ・アカデミーに通う必要があります。ですが、永久メイさんはモナコのバレエ学校からいきなり研修生としてマリインスキー・バレエ団に入団します。
実はソリストとして入団が決まっていましたが、ロシアの労働基準法による年齢制限で研修生として入団します。
その後、労働条件をクリアし、セカンド・ソリストとして入団しました。
マリインスキー・バレエ団の9割はロシア人、そして外国人ダンサーもワガノワ・バレエ・アカデミー出身が大半です。
バレエは国によって踊り方が違います。永久メイさんはいきなりソリストとして入団しているのですが、もしコール・ド・バレエ(群舞)からスタートしていたらもっと苦労していたのかもしれません。群舞で踊る時は周りと絶対合わせないといけないので、付属の学校であるワガノワ・バレエ・アカデミー出身でないと踊り方でかなり苦労した可能性があります。
兵庫県出身(クオーター)
2013年:ユース・アメリカ・グランプリのジュニア部門で第1位になり、モナコ王立グレースバレエ学校に留学
2017年:マリインスキー・バレエ団の研修生に
2018年:正団員に。セカンド・ソリストに昇格
2021年:ファースト・ソリストに昇格
2020年『Forbes JAPAN』の「世界を変える30歳未満の30人」、2021年『Forbes ASIA』でも同様に選ばれる
ロシアのバレエ団は大抜擢というのがけっこうあって、10代から主役を踊るということが女性ダンサーでは多々あります。現在、マリインスキー・バレエ団でのプリンシパルであるアリーナ・ソーモワも 18歳で大抜擢されました。
先ほどのドキュメンタリーでは『ロミオとジュリエット』の主役であるジュリエットのデビューを追っていましたが、すでに主役デビューは終わっています。今までに『ジゼル』『くるみ割り人形』『ラ・シルフィード』『愛の伝説』などの主役を踊っています。
2022年10月マリインスキー・バレエ団公式動画
2022年10月にマリインスキー・バレエ団に戻り、『ジゼル』の主役を踊った時の動画が公開されています。
多くはないですが、なぜロシアに戻ったかを語っています。動画の下に翻訳を載せています。
2022年3月にロシアから出国し、
マリインスキー劇場がどれだけ大きく、
どれだけ重要で、
インスピレーションを劇場やダンサーから受けていたことに気づきました。
そして、家族や、出身学校の先生と相談し、マリインスキー・バレエ団に戻ることを決断しました。
新たなスタートではなく、去年からの続きとしてマリインスキー・バレエ団でのキャリアを考えています。
『ジゼル』は母が好きなバレエで、私が初めてマリインスキー・バレエ団に来たときに観たバレエです。第2幕の群舞のフォーメーションの美しさ、ポール・ド・ブラ(腕の動き)の美しさを目の当たりにし、
この劇場で踊りたいと思いました。
パフォーマンスの後、芸術監督と話し、バランシン振付の『ジュエルズ』のダイアモンドの主役を再度踊れることになりました。とても嬉しく、機会をいただけたこと、感謝しています。
この後、11月に「眠れる森の美女」の主役オーロラ姫も踊り、キャリアは順調です。
純粋に芸術を極めたいという気持ちで戻った決断だと、解釈しました。
伝統あるロシアで、しかもマリインスキー劇場で踊る機会がなくなるのは芸術家として不幸なことで、しかもご本人のせいじゃないというのが悲しいです。
とはいえ、芸術家としてかなり大きな決断だと思います。
この決断を皆さんがどう思うか……。
皆さんがどう受け止めるか……。
ここからは皆さん次第です。
動画
マリインスキー・バレエ団で永久メイさんが踊っている映像は youtube でたくさんアップされています。
とにかく踊りが軽く、テクニックが正確です。
永久メイさんを見ると、バレエは 18歳くらいまでにテクニックが完成していないとプロとして踊っていくのは難しいんだな……、と感じます。
ちなみに、youtube で検索する時は「may nagahisa」もしくは「Мей Нагахиса」で探してみてください。
ドキュメンタリーでも紹介された「 Forbes JAPAN 2020年12月号:30 UNDER 30 JAPAN 2020 」特集記事です。

今回は「永久メイさん」についてでした。
ありがとうございました。
バレエ作品に関してはこちらにまとめています。ぜひご覧ください。
舞台鑑賞好きの僕が劇場に行くときに知っておくとちょっと得する話をのせています。バレエを中心に紹介しています。