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「マイヤーリンク(うたかたの恋)」のあらすじは?
初心者でも楽しめる?
見どころは?

英国ロイヤルバレエ団の大人向けバレエ「マイヤーリンク(うたかたの恋)」。上級者向けの作品かもしれません。

というのもバレエのイメージとは180°逆の作品だからです。人間のドロドロした部分を描き出す、とてもめずらしい作品です。

記事を書いているのは…

元劇団四季、テーマパークダンサー。舞台、特にバレエを観に行くのが大好きで、年間100公演観に行った記録があります

kazu

今回は「マイヤーリンク(うたかたの恋)」のあらすじと見どころを紹介します。

※3分ほどで読み終わります。

史実をもとにしたバレエ

原題は「Mayerling」。邦題は「うたかたの恋」です。スペル上「g」ですが、発音は「マイヤーリンク」となります。「マイヤーリング」と呼んでいた時期もありますが、今は「マイヤーリンク」です。

マイヤーリンクとは地名のことで、ルドルフ皇太子(オーストリア皇太子)が自殺した場所であり、マイヤーリンク事件の舞台です。

「うたかたの恋」は同名の小説・映画があります。振付のケネス・クミランは映画に着想を得てバレエを作ったようです。この「うたかたの恋」は史実に基づいていることもあり、歴史を知っている人にとって興味深い作品だと思います。

ルドルフ皇太子が死に至るまでの8年間

「マイヤーリンク」は、ルドルフ皇太子がすでに精神的に追い詰められている状態から始まります。そのため、ポジティブな感情が一切ありません。

ケネス・マクミランはなぜこの題材を選んだのか…。

ちょうどこの時代、世界屈指のバレエダンサーであるルドルフ・ヌレエフが、男性ダンサーの地位を向上させています。ヌレエフ以前は、男性ダンサーは女性ダンサーのサポートにほぼ徹していました。それを大きく変えたのがルドルフ・ヌレエフです。

マクミランもヌレエフと同様、男性に焦点を当てました。そして男性を主人公にしたバレエ「マイヤーリンク」を発表しました。

かんたんなあらすじ

1889年、オーストリア=ハンガリー帝国の皇太子ルドルフが、17歳の愛人マリー・ヴェッツェラとマイヤーリンクで心中する。

実の母であるエリザベート皇后から愛されなかったルドルフ。能無しとレッテルを貼られていたが、皇帝の息子であることから政治の道具として使われていた。

どんどん正気を失っていくルドルフと、ルドルフを取り巻く5人の女性の物語です。とても血生臭い、ドロドロした物語です。映像の途中にでてくるテロップは、「事実は小説より奇なり」「情熱と狂気。マクミランの最高傑作」と出ています。

「マイヤーリンク」は内容が複雑なため、あらすじ紹介となると詳しくなってしまいます。そのため幕ごとに詳しく紹介しています。ぜひご覧ください。

謎多きマイヤーリンク事件

現在も、マイヤーリンク事件の真相は闇のままとなっています。事件の鍵となるマリーのお墓が荒らされてしまい、真相はわかっていません。

最近、マリーが母に宛てた手紙が銀行から見つかった、ということで話題になりました。

バレエ版「マイヤーリンク」はとにかくアンバランスです。華やかにみえるハプスブルク家は崩壊し、完璧にみえる王室はガタガタ、地位ある人々が浮気をし、少女のようなマリーが狂気を抱えています。

正常と狂気は紙一重。現代の我々が抱えている問題を表現しているかのようです。この作品が40年前に作られたのにも関わらず、いまも色褪せないのはこうした理由からかもしれません。

マクミランの振り付けたバレエは演劇的と言われます。中でも「マイヤーリンク」は、圧倒的な演技力と技術力が試されます。「マイヤーリンク」を枯らさず、上演し続けるロイヤルバレエ団に拍手喝采です。

制作・キャスト

振付のケネス・マクミランは「マイヤーリンク」を創作するにあたり、脚本や、編曲を専門家に頼みました。

マクミランはこのとき初めてチーム制を導入しました。

初演:1978年2月15日

ロンドン(イギリス):コヴェント・ガーデン・ロイヤル・オペラ・ハウス(英国ロイヤル・バレエ団)

振付:ケネス・マクミラン
台本:ジリアン・フリーマン(小説家)
音楽:フランツ・リスト
編曲:ジョン・ランチベリー編曲
美術・衣裳:ニコラス・ジョージアディス

上演時間

第1幕:40分
第2幕:52分
第3幕:45分

シーン数が多く、スピード感を持って舞台がどんどん展開していきます。

登場人物

登場人物

ルドルフ皇太子:オーストリア・ハンガリー帝国の皇太子。フランツ・ヨーゼフ皇帝の嫡子
マリー・ヴェッツェラ:ルドルフの最後の愛人で心中時は17才。男爵令嬢ではあるが普段宮殿に出入りは許されていなかった

ステファニー皇妃:ルドルフ皇太子の妻。ベルギー王家の出身
フランツ・ヨーゼフ皇帝:オーストリア・ハンガリー帝国の皇帝。ルドルフの父
エリーザベト皇后:フランツ・ヨーゼフ皇帝の妻。ルドルフの母

ラリッシュ伯爵夫人:ルドルフの前愛人(史実では従姉妹)。ルドルフとマリーの仲を取り持つ
ヘレーネ・ヴェッツェラ夫人:マリーの母。コンスタンチノープルの銀行家の娘。上流階級に食い込もうと必死

ブラットフィッシュ:ルドルフのお気に入りの御者(運転手)
ミッツィー・カスパール:女優(高級娼婦ともいわれる)。ルドルフの一番お気に入りの愛人
”ベイ”・ミドルトン大佐:英国の騎兵将校。エリーザベト皇后の愛人

舞台に出てくる人物は群舞を含め、すべての役にストーリーがあります。そのためどこを観ても、誰を観ても舞台上はいきいきとしています。

音楽

「マイヤーリンク」はフランツ・リストの曲が使用されています。

リストが選ばれた理由としては、ちょうどリストがこの時代に生きていたこと(1811年~1886年)。そして、リストがハンガリー出身ということも重要視されました。

マクミランの依頼により、ジョン・ランチベリーがアレンジを加え曲を配置しました。ジョン・ランチベリーはバレエ音楽の指揮、そして編曲で活躍していました。

曲に盛り上がりがあり、ドラマティックな展開の助けになっていると評価されています。

オススメDVD

3,500円ほど。94年版と少し古いですが、かなり評価の高いDVDです。イレク・ムハメドフ、ヴィヴィアナ・デュランテ、レスリー・コリアの熱演が光ります。

kazu

英国ロイヤル・バレエ団の日本公演でもときどき上演されることがあります。ぜひチェックしてみてください。
ありがとうございました。

「マイヤーリンク」に関してはこちらにたくさん書いていますので、ぜひご覧ください。