モビリティ関節とは?
スタビリティ関節とは?
ファンクショナル・トレーニングとは?
ストレッチで可動域が広がったはずなのに、実際の動きで関節が十分に動かない。
「柔軟性」と「身体を動かす力」がリンクしていない場合に起こりやすいです。
近年、トレーニング界で注目されている「モビリティ(可動性)」。
ダンスの世界でも注目されています。
元劇団四季、テーマパークダンサーで出演回数は5,000回以上。ダンス、ヨガ(RYT200取得)、ピラティス、ジムにも20年ほど通っています。
今回は、「ダンスで鍛える:モビリティ(可動性)・スタビリティ(安定性)」についてです。
※ 3分ほどで読み終わります。
モビリティ(可動性)
モビリティ( mobility )は、「可動性」と直訳されます。
モビリティ:関節を可動域限界まで動かすこと
ただ、ダンスやスポーツの世界ではこのように定義されます。
全身を連動させ、身体を意のままにコントロールする能力
ダンサーの進化
かつてダンサーは 2つのタイプに分けることができました。
タイプ1:柔軟性が高い
タイプ2:回転・ジャンプが得意
柔らかいダンサーは筋肉に張りをつくるのが難しく、ジャンプや回転を苦手とする傾向がありました。
一方、回転やジャンプを得意とするダンサーは筋肉がガッチリしていて、柔軟性が足りない傾向がありました。
ですが、ダンサーはどんどん進化します。
2010年代には新世代として、柔軟性が高いにも関わらず、ジャンプや回転を得意とするダンサーが登場します。
その代表が、アメリカン・バレエ・シアターでプリンシパルとして活躍する ダニール・シムキン です。
『ドン・キホーテ』のリハーサルです。
ダニール・シムキンは身体を完璧にコントロールし、見ていてヒヤヒヤすることがありません。
舞台上でのちょっとした失敗を見たことがあります。ですが、途中で完璧にリカバリーしてしまう。
そんなスゴイダンサーです。
動きの時代
ダンスに限らず、スポーツの運動療法・理学療法でもモビリティが注目されています。
動きは、神経(脳)から指令を受けた筋肉が収縮・弛緩することで、関節が動きます。
この 3点に注目しているのがモビリティです。
・神経
・筋肉
・関節(骨格系)
モビリティ と スタビリティ
関節には、モビリティ(可動性)と、スタビリティ(安定性)という正反対の働きがあります。
それぞれの関節は、モビリティ優位な関節と、スタビリティ優位な関節に分けることができます。
基本的に、2種類の関節が交互になっています。(股関節・肩甲胸郭関節は、モビリティとスタビリティを併せ持ちます)
これを「ジョイント・バイ・ジョイント理論(隣り合う関節理論)」と呼びます。
ジョイント( joint ):関節
モビリティ関節を十分に動かし、スタビリティ関節を固定することで、安定した動きを生み出すことができます。
ケガ・パフォーマンスの低下
関節が想定と違う動きをすると、隣り合う関節のバランスが崩れてしまいます。
これが、ケガやパフォーマンスの低下につながります。
例えば、現代人に多い猫背。
胸椎周辺の筋肉がガチガチに硬いと、猫背になりやすくなります。
胸椎はモビリティ優位な関節で、ねじる動作、手を持ち上げる動作に関わります。
本来動くべき胸椎が硬くなると動きに制限がかかり、腰椎が代わりに動きます。
腰椎はスタビリティを発揮して胸椎を補う存在です。
安定すべき腰に負担がかかり、痛みにつながります。
日々積み重なると、慢性的な腰痛に苦しめられることになります。
モビリティ能力の高い人
例えば、ヨガのバランスポーズである「バカーサナ」。
両手だけで全体重を支えます。
ヨガの中でも難易度の高いポーズです。
一番右の写真のように筋肉でどうにかできてしてしまう人もいます。
ですが、細い腕でも軽々とバランスを取れる人がいます。
これこそ、モビリティ能力の高い人です。
では、このモビリティ能力をどう手に入れるのか、についてです。
ファンクショナル・トレーニング
身体の連動性を手に入れることを目的にしているトレーニングに、「ファンクショナル・トレーニング」があります。
機能向上トレーニングのことで、複雑な動きが含まれるエクササイズです。
キーワードは、「キネティック・チェーン」です。
「運動連鎖」と直訳され、脳と身体の連携を意味する
kinetic:運動の
chain:鎖
筋力トレーニングなどで鍛えた筋肉を、動きに変換していきます。
身体の効率的な使い方がわかるようになります。
スポーツのパフォーマンスが上がるだけでなく、日常生活の動作が楽になります。
1:重力を利用する
2:分離と協同
3:運動連鎖(キネティックチェーン)
4:3面運動
5:力の吸収と力の発揮
このような原則がありますが、簡単に言うと体幹に力が入った状態で全身運動をするトレーニングのことです。
運動強度に関わらず全身を動かしながら鍛えるトレーニング全般を指します。
「アニマル・フロー・トレーニング」「 HIIT 」なども大きな意味でファンクショナル・トレーニングに含まれます。
アニマル・フロー・トレーニング
動物的な動きで全身を鍛えるトレーニングです。
ダンス、ヨガ、ピラティスなどの動きが取り入れられています。
HIIT トレーニング
HIIT は「 High Intensity Interval Training(高強度インターバルトレーニング)」のことです。
・20秒間の運動
・10秒間の休憩
8回繰り返す
8回 × 2セット( 1セット 2分 × 2 )
負荷の高い運動と小休憩を繰り返すトレーニング法です。
限界まで身体を動かすことで、脂肪が燃焼しやすい状態になり、体脂肪減少と筋肉増量効果を目的にします。
トータルで5分未満のため、時短筋トレとして人気があります。
ただし、運動強度が高く、運動に慣れていない人がやるとケガをしやすくなってしまうので注意が必要です。
ダンス
ダンスそのものも大きな意味でファンクショナル・トレーニングに含まれます。
特にバランスや軸を作るトレーニングとして方法論が確立されています。
同様に、ヨガやピラティスもファンクショナルトレーニングに含むことができます。
トレーニング
ただし、レッスンだけでは必ずしも筋力が強くなるわけではありません。
筋力トレーニングも取り入れてみてください。
ダンサーのような柔軟性かつ芯のある機能的な身体をつくるには、自体重トレーニング・体幹トレーニングです。
自体重トレーニングは、継続しやすいプリズナートレーニングがオススメです。
2,200円ほど。
1日10分、6種類の種目、10ステップ、3レベルに分かれている自体重トレーニングの囚人トレーニング。トレーニング内容を全部紹介しています。
ケガしづらく、自分の身体に合った筋肉がついていきます。
具体的なメニュー
キネティック・チェーンをダンスやスポーツに生かすと普段のレッスンで身体を効率的に使う方法が身についていきます。
特に、レッスン前のウォーミングアップがポイントです。
1:筋膜リリース
2:アクティブ・ストレッチ
3:体幹トレーニング
準備:姿勢・動作の修正
姿勢が整っていない場合は、姿勢のチェックからはじめましょう。
1:筋膜リリース
身体を一度ニュートラルな状態に戻すために筋膜リリースします。
2:アクティブ・ストレッチ
トレーニングの前にストレッチを行い、関節の可動域を拡げて動きやすい身体をつくっていきます。
3:体幹トレーニング
体幹の筋肉を鍛え、肩関節や股関節などを自由に動かすために体幹を安定させていきます。
手足を自由に動かすためには、体幹の安定が重要です。
体幹を構成するのはこれらの筋肉です。
体幹トレーニングは下記のプランクのように身体を固定していきます。
プランクポーズで 60秒キープしましょう。
さらに詳しくはこちらをどうぞ。
この3つのエクササイズを取り入れると身体にスイッチが入ります。
モビリティ関節を目いっぱい使えるようにし、スタビリティ関節は安定させていきます。
自分の持つ可動域限界まで動きの中で再現できるようになります。
レッスン後はストレッチ、筋力トレーニングで底力を上げていきましょう。
ダンス上達のためのオンラインレッスン
オンラインレッスンはコスパがよく、一流の先生かつ、内容のクオリティが高いです。
室内だと思い切り身体を動かすことはできませんが、落ち着いて基本的な動きを習得することができます。
ヨガ・ピラティスで有名な「 SOELU 」。実はダンスレッスンが入っています。アーカイブが 月 3,000円 ほどでほぼ受け放題です。
また、ダンス上達には柔軟性が欠かせません。業界大手のヨガスタジオ「 LAVA 」は 月 2,000円ほどでほぼ受け放題です。ヨガ・ピラティスでけでなくトレーニング・筋トレ・ストレッチなどヨガ以外のフィットネス動画も豊富です。
効率的かつ自分独自のメニューを作っていきましょう。
今回は「ダンスで鍛える:モビリティ(可動性)・スタビリティ(安定性)」についてでした。
ありがとうございました。
ダンサーのような身体を目指すトレーニング情報はこちらにまとめています。
ダンス上達のための身体の使い方、トレーニングの方法、体幹トレーニングについてまとめています。ピラティスやヨガもご紹介します。