モダンダンスって何?
日本と関わりが深い?
コンテンポラリーダンスとは?
モダンダンスとコンテンポラリーダンス。この2つの定義はすごく曖昧なので、説明するときにかなり苦労します。
僕なりの考えで、モダンダンスとコンテンポラリーダンスの歴史と解釈をご説明します。
元劇団四季、テーマパークダンサー。30分のショーから2時間の舞台まで出演回数は5,000回以上。ダンス、ヨガ(RYT200取得)、ピラティス、ジムにも20年ほど通っています。
今回は、「モダンダンスとコンテンポラリーダンスについて」です。
※ 3分ほどで読み終わります。
モダンダンスとコンテンポラリーダンスの違い
まずかんたんに紹介します。
メソッド(トレーニングの指導法)がある
決まった形がない
モダンダンスのレッスンは流れが決まっています。ですが、コンテンポラリーダンスのレッスンは先生によって内容がまったく違います。
ダンスの歴史
おおまかなダンスの歴史です。モダンダンスやコンテンポラリーダンスはバレエから派生して登場しました。
モダンダンスもコンテンポラリーダンスも古典舞踊であるクラシックバレエから生まれています。まずクラシックバレエを少し紹介します。
クラシックバレエは、手の位置、足の位置が明確に決まっています。この決められたポジションから外れることは許されません。中でも一番難しいのが足のターンアウトです。
ターンアウト
ターンアウトとは、かかとを支点につま先を180°開く技術です。ただ足先を開いているわけではなく、骨盤から開いています。
ターンアウトができるかどうかは生まれつきの骨格に左右されます。骨格が恵まれていない場合、ターンアウトが習得できなかったり、習得するために相当の努力が必要です。幼少期から10年以上たっても習得できない人もいるほどです。
例えば、バレエ大国ロシアのバレエ学校「ワガノワアカデミー」では骨格が入学条件になっています。これは本人だけでなく、両親の体型まで審査対象となります。この試験に通ったとしても学年が上がるごとに審査は厳しくなり、全員が卒業できることはありません。
バレエダンサーは足を180°開くことができないと技術が完成されません。大人になると骨がかたまってしまうため、バレエは小さいころからはじめないとなかなかプロになるのが難しくなります。
ダンサーは毎日0.01°でもさらに開くよう訓練をしています。そしてプロになったとしても身体がもとに戻らないよう毎日バーレッスンを行います。というのも180°足が開いている方が不自然なので、人間の身体は元に戻ろうとしてしまいます。
バレエの世界はとにかく厳しいです。トップのバレエ団では18歳までにプロとして活動の目途がたっていない場合、バレエダンサーとしてやっていくのはなかなか難しいかもしれません。
モダンダンスとは
モダンダンスは、1900年代に生まれました。創始者はイサドラ・ダンカンという舞踊家です。イサドラ・ダンカンはバレエに息苦しさを感じていました。
より自由な表現を求めイサドラ・ダンカンがバレエシューズを脱ぎ捨て、「はだし」で踊りはじめたときにモダンダンスが生まれました。
モダンとは「現代」という意味です。およそ100年前、このイサドラ・ダンカンの踊りは「現代」の踊りだったので、モダンダンスと呼ばれました。
モダンダンスの世界を確立したダンサー
モダンダンスの世界を確立した重要な人物を紹介します。
第1世代が、イサドラ・ダンカン、ルース・セント・デニース、テッド・ショーン。
第2世代が、マーサ・グラハム(グレアムと表記する場合あり)、ドリス・ハンフリー、レスター・ホートン、伊藤
後期には、ホセ・リモン、マース・カニンガムが登場します。
中でも、マーサ・グラハム、レスター・ホートン、ホセ・リモンはモダンダンスのテクニックを開発し、現在でも大切にトレーニングが継承されています。50年以上つづくダンスの基礎的なテクニックは今でも廃れることなく続いています。
この3人を勉強するだけでモダンダンスをかなり理解できるようになると思います。
マーサ・グラハムの登場
マーサ・グラハムは、モダンダンスのテクニック法を確立しました。
現在、世界中のダンススクールでマーサ・グラハムのレッスンが取り入れられています。
僕もアメリカの大学に留学した時、バレエのレッスン同様、マーサ・グラハムのレッスンが毎日ありました。本格的なレッスンでは、必ずパーカッショニスト(打楽器奏者)がいて、生でドラムや打楽器をたたいてくれます。
日本ではこうしたレッスンがなく非常に残念です。
マーサ・グラハム・カンパニーにより、「Acts of Light」です。レッスンで習う基本的な動きの連続になっています。
表現の上達
モダンダンスは表現の上達にとても役立ちます。
「コントラクション」というテクニックがあります。
先ほどの動画にも登場していますが、コントラクションとは,息を吐くと同時に筋肉を収縮させ背骨を丸めていく動きです。
このコントラクションは「悲しみの表現」と呼ばれます。この動きはクラシックバレエにはなく、表現の幅をぐぐーっと広げます。
そして、ひとつひとつの動きにはっきりとした意味を与えながら踊っていくのが、モダンダンスです。
ちなみに、モダンダンスは18歳からはじめてもプロになることができます。 むしろ18歳くらいじゃないとモダンダンスを理解するのが難しいです。
モダンダンスは精神的な成熟が求められるダンスです。与えられた振付を踊るだけでは、ただの動きの連続になってしまいます。先生に教えられたことをただこなしているだけではダメで、自分の頭でしっかり考えることが求められます。
自分で考えられるダンサーになることが求められるため、ダンサーとしてレベルアップが期待できます。そのため、海外ではモダンダンスがレッスンに積極的に取り入れられています。
日本人は海外のダンサーに比べると表現力が足りていない、といわれることが多いです。表現力を深めたい場合、モダンダンスはオススメです。
モダンダンスで食べるのは難しい
ひとつ大きな問題があるとすると、モダンダンスで生計を立てることが難しい点です。公演にはなかなか人が集まりません。アメリカに留学していた時、僕はモダンダンスの公演によく足を運んでいました。そこで気づいたのは、観客が明らかにダンスをやっている人や、ダンス関係者ばかりだったということです。
モダンダンスが重要なジャンルであることは間違いなく、レッスンの需要は高いです。ですが、公演の需要はかなり少ないです。今、モダンダンスの公演は古臭くなっていて、衰退している状態です。
モダンダンスと日本の関係
モダンダンスは日本文化に大きな影響を受けています。バレエの舞台装置はとても豪華ですが、モダンダンスの舞台装置はとてもシンプルに作られています。
そして、マーサ・グラハムの作品では、日本にルーツを持つイサム・ノグチが舞台装置を数多く担当していました。ちなみに衣装もシンプルです。
モダンダンスの考え方は、日本の「わびさび」の観念と非常に近いものがあります。つまり「シンプルなものに美しさを見出す」という美意識です。
時々、難しいなーと思うこともありますが、モダンダンスの舞台ではカラダだけで素晴らしい表現をするダンサーがいます。モダンダンスの作品は、ズシズシ伝わってくることが多いです。
ただし、「楽しい」と感じづらい作品が多いのも事実です。
伊藤道朗
モダンダンスの発展に欠かせない人物が伊藤
早川書房より
ヨーロッパ時代を経て、1918年(26歳)ニューヨークにダンススタジオを開きます。その後ロサンゼルスに拠点を移しますが、第2次世界大戦で日本に帰国。
日本舞踊のシンプルな動き、シンプルな軌道を特徴としつつ、ヨーロッパのモダンダンスの身体の動きが混ざり合ったメソッドです。とくに上半身、手の動きに特徴があります。
アメリカ在住時に4,000人のダンサーにモダンダンスのテクニックを教えました。この生徒たちがモダンダンスに限らず、ジャズダンスにまで広がっていきます。
現在でもその影響が続きます。
コンテンポラリーダンスの登場
モダンダンスの流れからコンテンポラリーダンスが登場します。「コンテンポラリー」という言葉は、これまた「現代的な」という意味です。
コンテンポラリーダンスには決まったテクニックがありません。作品は振付師に完全にゆだねられ、レッスンは先生によって内容がまったく異なります。
コンテンポラリーダンスはモダンダンスから派生して誕生しました。
そのため、モダンダンスと他のダンスを組み合わせることでコンテンポラリーになります。
バレエと組み合わせたり、ジャズダンスと組み合わせたり、ヒップホップと組み合わせたり、演劇と組み合わせたり、などなどなど。
そのためウォーミングアップに関してもモダンダンスよりのエクササイズをする先生もいれば、組み合わせたダンスのエクササイズを取り入れる先生、オリジナリティのあるエクササイズをする先生もいます。
そのためコンテンポラリーダンスには決まった型がありません。
モダンダンス:メソッド(トレーニングの指導法)が確立されている
コンテンポラリーダンス:メソッドがない
僕はこのように理解しています。
近年のモダンダンス
現代のモダンダンスは誰でも気軽に踊れるようなものではなくなりました。
テクニックが確立され、技術が洗練されています。
アメリカのモダンダンスを引っ張る「アルヴィン・エイリー・アメリカン・ダンス・シアター」「マーサ・グラハム・ダンス・カンパニー」という2つのダンスカンパニーがあります。どちらも「エイリー・スクール」「マーサ・グラハム舞踊学校」という附属学校があります。
どちらの学校もバレエを必須授業としています。
それだけでなくモダンダンスを踊るために、さまざまなジャンルのダンスを学ぶことができる学校です。
またモダンダンスのダンサーは肌を見せる機会が多いので、きれいな筋肉のために鍛えているダンサーが多いです。そのため筋トレも必須です。
特に「エイリー・スクール」には身体能力の高い黒人系のダンサーがたくさん所属しています。
エイリー・スクールの様子です。学べるダンスが次々と生徒によって踊られています。
残念ながらモダンダンスは気軽に踊れるものではなくなりました。
近年のコンテンポラリーダンス
と同時にコンテンポラリーダンスも歴史を重ねることで気軽に踊れなくなりつつあります。
モダンダンス、コンテンポラリーダンス、ともにバレエのレッスンをしないとなかなかついていくのは難しいかな、と個人的に思います。
ダンスジャンルとして確立されていて、しっかり型を学びたいのであればモダンダンス。
好きな先生を探して学びたいのであればコンテンポラリーダンス。
僕自身、モダンダンスのレッスンで先生にこだわりはあまりありませんでした。一方、コンテンポラリーダンスのレッスンでは好きな先生を選んでいました。
オススメの本
3,000円ほど。すごく読みやすく楽しい本です。
モダンダンスで生活するためには
僕はアメリカにダンス留学をしていました。
ジャズダンスを専攻していたのですが、バレエとモダンダンスのレッスンは必須でした。さきほどのダンスの歴史からわかるように、バレエとモダンダンスをやっていると必然的にジャズダンスのスキルがアップします。
というのもジャズダンスはバレエとモダンダンスと関係が深いからです。
バレエは踊りの基本なので、大学でレッスンが必須でした。ただ18歳を超えて大学でダンスを習っているということは「バレエで生きていくことが難しい人たち」と大学側も理解しています。
プロのバレエダンサーはだいたい18歳ごろにはバレエ団に所属しています。大学は、ジャズダンス、コンテンポラリーダンスのジャンルで生きていく方法や、俳優として生活していく方法を示してくれていました。
そのため、大学でダンス専攻の学生は、副専攻を積極的にとるようすすめられます。それは、ダンスで生きていけない場合を考えてのことです。
モダンダンスで生活するのはかなり厳しく、コンテンポラリーも似ています…。
ダンサー体型を目指す筋トレ・体幹トレ
ダンサーのような軽い身体、柔軟性、芯のある機能的な筋肉をつくる基本は、自体重トレーニング・体幹トレーニングです。ケガしづらく、自分の身体に合った筋肉がついていきます。
自体重トレーニングは、継続しやすいプリズナートレーニングがオススメです。
2,200円ほど。
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身体づくりの知識をつけ、効率的かつ自分独自のメニューを作っていきましょう。
以上、「モダンダンスとコンテンポラリーダンスの違い」についてでした。
ありがとうございました。
ダンサーのような身体を目指すトレーニング情報はこちらにまとめています。
ダンス上達のための身体の使い方、トレーニングの方法、体幹トレーニングについてまとめています。ピラティスやヨガもご紹介します。