ニュースで音楽を流してはいけない理由:音楽が心情に訴えるパワー(映画学校の学び)
jazz

ニュース番組で音楽を流すのはダメ?
モデルのウォーキングはテンポが外れている?
ハーメルンの笛吹き男とは?

ニュース番組で音楽( BGM )を流すことは、極力避けられています。

それはなぜなのか。

映画学校での学びとともに紹介していきます。

記事を書いているのは……

元劇団四季、テーマパークダンサー。留学や映画学校でダンス・映像制作について学びました。

kazu

今回は、「映像制作における音楽のパワー」についてです。

※ 3分ほどで読み終わります。

ニュース番組と音楽

ニュース番組では音楽( BGM )が流れません。

これはニュース番組に、客観的で正確な情報の提供が求められているためです。

音楽が流れてしまうと、ニュースの内容に対し視聴者が不適切な感情や印象を持つ可能性があります。

それだけでなく、ニュースの内容が軽んじられてしまうこともあります。

凶悪犯のニュースで感動的な音楽が流れてしまう
→ 同情的な感情を抱いてしまう

また、音楽が邪魔になりニュースの内容が十分に伝わらなくなる可能性があります。

それだけでなくニュースの音声が、音楽の印象にかき消されてしまうこともあります。

ただし、「ニュース番組で音楽って流れてるんじゃ……」と思う人がいるかもしれません。

報道番組と報道バラエティ

多くの場合、報道番組では音楽の使用が避けられています。

それに対し、報道バラエティではガンガン音楽が流れます。

もし音楽がついているのであれば、それは報道番組ではなく、報道バラエティです。このことについて調べたのですが、放送法など見つからず、明言化されていませんでした。

BGM とニュース

NHK のニュースは短いオープニング・エンディング、切り替えのための BGM だけで、それ以外に音楽はかかりません。

ですが民放ではガンガン音楽が流れます。明るい話題では華やかな音楽、悲しい話題では静かな音楽です。

音楽が許されることも

とはいえ、ニュース番組で音楽を使うことが適切な場合もあります。

例えば、文化や芸術に関するニュース、音楽に関連したニュースなどです。この場合、音楽の力によってニュースの内容が理解しやすくなります。

音楽の力

音楽が心情に訴える力はとても強いです。

映像作品、映画やドラマでも感動的なシーンに壮大な音楽が流れます。

「内容に泣いているのか……。BGM で泣かされているのか……」

音楽に感情が引っ張られていく例です。

音楽と心情操作

音楽の持つ「心情に訴える効果」について考えていきます。

ランウェイ

例えばファッションショーのランウェイ。

モデルたちは音楽のテンポに合わせて歩きません。

僕はダンサーなので「音楽のテンポに合わせればいいのに」と思っていました。ですが、ここには意図があります。

モデルが音楽に合わせて歩く
⇒ 人物にフォーカスが当たり、モデル自身に注目が集まる

モデルの仕事は、洋服を魅力的にプレゼンテーションすることです。

そのためのテクニックが「テンポに合わせないウォーキング」です。

音楽のテンポとズラして歩く
⇒ 洋服にフォーカスがあたる

「ボッテガ・ヴェネタ」2024年秋冬コレクションより。

テンポとズレてウォーキングしています。アップテンポなビートではテンポに遅れて歩くことで、さらにゆったり歩いているように錯覚します。

一方、「メゾン マルジェラ」2020年の春夏コレクションでは比較的テンポに合わせ(インテンポ)モデルがウォーキングしています。

感じ方が変わるでしょうか。

動きとテンポの効果

これは映画でも同じようなことが起こります。

人物がテンポに合わせる
⇒ ポジティブ、コメディ感

人物がテンポとズレる
⇒ シリアス、リアル感

ただし、音楽を受け取る感覚は個人差があり、矛盾をはらみます。

とはいえ、心理状態に影響を与えることは間違いありません。

お店でも

店舗の BGM( Background Music )にも「コントロール効果(感情誘導効果)」が駆使されています。

意図的に音楽を利用し、売り上げ・顧客の満足度を高めることを目的としています。

音楽のジャンルだったり、テンポによって客の心を動かす効果が期待されています。

具体的には、店内のBGMのテンポや音楽ジャンル、ボリュームなどを調整することで、以下のような効果が期待されます。

店内 BGM の心理的効果

① 滞在時間の延長:テンポの遅い曲や落ち着いた音楽を流すことで、顧客がゆっくりと過ごす時間が長くなると言われています。

② 売上の向上:購買行動を促進する効果があります。例えば、テンポの速い曲をかけると、顧客の気持ちが高揚し、行動が活発になります。また、商品に合ったBGMをかけることで、商品の魅力がより引き立てられ、購買意欲を高めることができます。

③ 心理的なリラックス:BGMを流すことで、顧客の心理的なストレスが軽減されるとされています。特に、落ち着いた音楽をかけることで、リラックスした状態を作り出すことができます。

④ ブランドイメージの向上:BGMのジャンルや音楽の質によって、店舗のイメージを変えることができます。例えば、クラシック音楽をかけることで、高級感や知性をイメージさせることができます。

同時にすべての効果を得ることは難しいですが、店内では音楽が使い分けられていることも多いです。

『ハーメルンの笛吹き男』

最後にグリム童話の『ハーメルンの笛吹き男』を紹介します。

あらすじ

ハーメルンという町がネズミの大群に苦しんでいたところ、笛を吹く男が現れます。

彼の笛の音色に引き寄せられた大群のネズミたちは、笛吹き男の後をついて、村から去っていきました。

その後、村人たちは、笛吹き男が村を救ったことに感謝し、歓待しました。

ですが、村人たちは、約束の報酬を笛吹き男に支払いませんでした。

怒った男は、再び笛を吹きます。

その音色に誘われ子供たちが、笛吹き男の後をついて行き、姿を消してしまいます。

この童話は、1284年に実際に起こった事件がもとになっています。

子供130人が行方不明になりました。

この笛の魅力とは……。

音楽の魅力!

kazu

今回は、「映像制作における音楽のパワー」についてでした。 ぜひぜひチェックしてみてください。
ありがとうございました。

エンタメ作品に関してはこちらで紹介しています。ぜひご覧ください。