相反抑制ストレッチ(筋トレでダイナミックストレッチ)安全に柔軟性をUPする方法
jazz

相反抑制そうはんよくせいストレッチとは?
ウォーミングアップに最適?
ヨガでも使われている?

全身を脱力するストレッチでは柔らかくならない……。

そんなときは別のアプローチをしてもいいかもしれません。

あえて筋肉に力を入れることで、柔軟性アップにつながる方法があります。

記事を書いているのは……

元劇団四季、テーマパークダンサー。海外留学でダンスや身体づくりを学びました。ダンス、ヨガ(RYT200取得)、ピラティス、ジムにも20年ほど通っています。

kazu

今回は「相反抑制ストレッチ(ダイナミックストレッチ)」についてです。

※3分ほどで読み終わります。

相反抑制そうはんよくせいストレッチ(ダイナミックストレッチ)

相反抑制ストレッチとは、筋肉に力をいれることによって反対側の筋肉を伸ばすストレッチです。

動的ストレッチの一種で「ダイナミックストレッチ」とも呼ばれます。

相反抑制

「片側が縮む → 反対側が伸びる」という身体の作用

アクティブストレッチのメカニズム

・力こぶをつくると腕の上側(上腕二頭筋)の筋肉が縮む
・このとき裏側の筋肉(上腕三頭筋)が伸びる

これが相反抑制ストレッチです。

筋トレでなぜストレッチになる?

可動域めいっぱいに筋トレをすると、反対側にある筋肉にストレッチが強くかかります。

このとき縮めている筋肉をもう一段階グッと力を入れます。すると、反対側の筋肉の柔軟性が増し可動域が広がります。

正しい位置で可動域いっぱいに筋トレをすると「相反抑制ストレッチ」になります。

とくにおしりの筋肉は、筋トレをすることで可動域が広がりやすいです。

筋トレと柔軟性向上の実験

アメリカのノースダコタ大学で実験がありました。

大学生25人が「筋力トレーニングをするグループ」と、「ストレッチのグループ」にランダムで分かれ、「何もしていない」12人の学生と比較します。

ノースダコタ大学の実験

【 筋力トレーニング 】
対象部位:太もも裏(ハムストリング)・ヒップ・肩・ヒザの筋肉と関節
期間:5週間

実験結果は、「可動域を最大限に使うよう筋トレをすると柔軟性が向上する」ことがわかりました。

実験結果

・ヒップの柔軟性は、ストレッチではあまり効果がないが、筋トレで柔軟性が向上
・太もも裏(ハムストリング)の柔軟性は、筋トレもストレッチも同じくらい向上
・肩と足首の柔軟性は、筋トレもストレッチも大きな違いはない

相反抑制ストレッチの方法

伸ばしたい部位の反対側にある筋肉(拮抗筋群きっこうきんぐん)に力を入れることで、狙った部位を伸ばしていきます。

力をグッと入れることで、伸ばしたい筋肉をさらに伸ばすことができます。

自分で力の加減をコントロールできるので安全にストレッチすることができます。

相反抑制ストレッチで前屈

前屈を例に解説していきます。

前屈でストレッチする部位は、腰(背中下部)、ハムストリング(モモ裏)です。

ダイナミックストレッチングを使った前屈

・息を吸い、腹筋に力を入れお腹を薄くする
・股関節にスペースができるので、つけ根をさらに内側に押し込む

ハムストリング(モモ裏)と腰がより伸びていきます。

また、足をフレックス(足首を立てる)にしてカカトを前に押し出し続けるとさらに伸びていきます。

ヒザを伸ばしつつ、背中もまっすぐ使うのが理想ですが、身体が固いと難しいと思います。

出来ない場合は2つの軽減方法があります。

(1)腰に効かせたい場合:ヒザ曲げ背中をまっすぐに
(2)ハムストリングに効かせたい場合:背中を丸めヒザを伸ばす

もう1ステップ

・つま先を手でつかみ、かかとを前方に押し出し、上半身を後ろにグーッと力を入れて反発
・2秒ほど引っ張る
・その後、脱力

通常より可動域が広がると思います。

呼吸は深く

深い呼吸をするとストレッチの効率を上げることができます。

これは筋肉の特性が関係しています。

2種類の筋肉

白筋はっきん速筋そっきん):瞬発力に優れるが持久力が低く少し脆い。短距離走などの無酸素運動が得意。
赤筋せっきん遅筋ちきん):パワーは弱いが持久力があり柔らかい筋肉。ケガにも強い。長距離走などの有酸素運動が得意。

色素タンパク質「ミオグロビン」は酸素を貯蔵する役割を持ちます。ミオグロビンは赤色のため、ミオグロビンが多く含まれる赤筋は赤く見え、少ない白筋は白く見えます。

白身の魚と、赤身の魚で考えるとわかりやすいです。遠洋にいる回遊魚は持久力が必要のため赤身です。一方の白身魚は餌を捕まえたり・敵から逃げるために瞬発力が必要です。

ストレッチで伸ばす筋肉は赤筋にフォーカスしています。そのため深い呼吸で筋肉が柔らかくなっていきます。

できれば、鼻呼吸で行いましょう。

ヨガのストレッチ

相反抑制ストレッチはヨガの教えとほぼ同じです。

ヨガでは基本的に体幹に力を入れたままポーズをとっていきます。

「首」、「脇のした(前鋸筋ぜんきょきん)」、「腹部」、「骨盤底筋群(骨盤にある筋肉)」は常に力を入れています。

首、わきの下、腹部、骨盤底筋群を引き締めると体幹が効きやすく底力が出る

力を入れる4部位

・骨盤底筋群:おしりの穴をキュッと締める感覚
・腹部:おへそから指4本分下の部分を薄くする感覚
・首:あごを引き、頭を首の真上まで後ろに引く
・前鋸筋:脇を締める

前鋸筋は、脇にある筋肉です。前ならえする(手を前に伸ばす)と前鋸筋に力が入り、元に戻すと緩みます。

ヨガでは前鋸筋に力を入れるとポーズが安定する

腹筋(腹斜筋)につながっているので、前鋸筋に力を入れると体幹トレーニングのポーズが安定します。

4点を意識すると、体幹がバチバチに入った状態になります。

ヨガは身体の柔軟性アップに役立つだけでなく、体幹の筋力アップにもなります。

さまざまなスポーツの準備運動でヨガのストレッチが取り入れられているのでヨガを一度やってみるのもオススメです。

実践動画

ぜひ参考にしてみてください。

ダンサー体型を目指す筋トレ・体幹トレ

ダンサーのような軽い身体、柔軟性、芯のある機能的な筋肉をつくる基本は、自体重トレーニング・体幹トレーニングです。ケガしづらく、自分の身体に合った筋肉がついていきます。

自体重トレーニングは、継続しやすいプリズナートレーニングがオススメです。

2,200円ほど。

オンラインレッスン

ルーティーンを作るためにプロを利用するのもオススメです。オンラインレッスンはコスパがかなりよく、一流の先生かつ、内容のクオリティが高いです。

業界大手のヨガスタジオ「LAVA」は月2,000円ほどでほぼ受け放題です。ヨガ・ピラティスでけでなくトレーニング・筋トレ・ストレッチなどヨガ以外のフィットネス動画も豊富です。

筋トレ・ストレッチ・ヨガ・ピラティスなどなど膨大なアーカイブを月3,000円ほどでほぼ受け放題できる「SOELU」。

身体づくりの知識をつけ、効率的かつ自分独自のメニューを作っていきましょう。

kazu

今回は「相反作用ストレッチ」についてでした。
ありがとうございました。

ダンサーのような身体を目指すトレーニング情報はこちらにまとめています。