jazz

「ロミオとジュリエット」って有名だけど、どんなストーリー?
初心者でも楽しめる?
音楽について詳しく知りたい?

自分でチケットを買って観に行った最初のバレエ公演は「ロミオとジュリエット」です。「ロミオとジュリエット」はレオナルド・ディカプリオとクレア・デインズの映画版で知っていました。ですがバレエ版を生で見て「こんな素敵な話だったのか」と感動したのを覚えています。

記事を書いているのは…

元劇団四季、テーマパークダンサー。舞台、特にバレエを観に行くのが大好きで、年間100公演観に行った記録あり。ぜひ男性にもバレエを観に行ってもらいたいと思っています。

kazu

今回は初心者でも楽しめる「ロミオとジュリエット」のあらすじと解説です。

※5分ほどで読み終わる記事です。

初心者のためのバレエ「ロミオとジュリエット」あらすじ。5日間の出来事

マクミラン版「ロミオとジュリエット」に関してはたくさん記事を書いていて、こちらが一覧です。

全バージョン共通「ロミオとジュリエット」のあらすじ(→いま読んでいる記事)
マクミラン版のみどころポイント
マクミラン版の詳しい解説
マクミラン版ができるまで
バルコニーシーンの解説
バルコニーシーンのリハーサル風景
映画版のあらすじと解説

バレエではいくつものバージョンがありますが、だいたいの話の流れはどれも同じです。今回は世界で1番上演されているマクミラン版の「ロミオとジュリエット」をもとにご紹介します。

1日目だけがハッピーなたった5日間の恋

盲目的な恋愛ドラマである「ロミオとジュリエット」。たった5日間の恋の話です。

衣装はチュチュを着るキャラクターがひとりも登場しないので、「バレエを観に行くぞ~!!」と意気込んだら肩透かしを食らうかもしれません。衣装は、中世風のドレスを着ています。

めがね

メインの登場人物も多くないので、わかりやすいと思います。

本家である英国ロイヤル・バレエ団の予告映像です。

この曲をソフトバンクのCMで知っている人も多いかもしれません。

主なキャラクター

ロミオはロメオと表記されることがあります。僕はロミオという響きが好きなので、ロミオで統一しています。

キャピュレット家

ジュリエット
ティボルト:ジュリエットのいとこ
パリス:ジュリエットの婚約者
キャピュレット卿:ジュリエットの父
キャピュレット夫人:ジュリエットの母
乳母:ジュリエットを支える存在
ロザライン:ロミオが一目惚れする

モンタギュー家

ロミオ
マキューシオ:ロミオの友人
ベンヴォーリオ:ロミオのいとこ
三人の娼婦:ロミオと仲がいい

そのほかの登場人物

ローレンス神父:結婚をとりしきり、毒を手配する
エスカラス(ヴェローナ大公):ヴェローナを統治

舞台では、キャピュレット家とモンタギュー家のイメージカラーがあります。キャピュレット家が赤、モンタギュー家が緑というパターンが多いと思います。

メインのダンサーだけでなく、舞台上にいるすべてのダンサーに役割があるので、舞台の端までおもしろいです。もし観るべきポイントがわからない場合は照明のライトが当たっているダンサーを追いかけましょう。その人が、シーンの中心人物です。

セリフがないので入りやすい

「ロミオとジュリエット」は熱く燃え上がる恋の話なので、好き嫌いがかなり分かれる作品です。ですが、バレエ版「ロミオとジュリエット」は、映画や演劇にくらべるとかなり見やすくなっています。その理由は、セリフがないこと。

「当たり前じゃん!」と思うかもしれませんがセリフがあるバージョンでは、むずがゆい言葉も登場します。

むずがゆいセリフ(その1)

「ああ、ロミオ、ロミオ…、
どうしてあなたはロミオなの。」

むずがゆいセリフ(その2)

ロミオ:「私は月に誓ってあなたを愛します」
ジュリエット:「やめて。夜ごとに形を変える月なんかに誓うのは。あなたの愛まで移り気に思えるから」

バレエ版にはセリフがないのでストーリーがすんなり入ってきます。踊りだけで表現するバレエは「ロミオとジュリエット」とかなり相性がいいと思っています。

あらすじ

「ロミオとジュリエット」は、どのバージョンでも基本的に話は同じです。ロミオの年齢は16歳~18歳、ジュリエットは14歳(もしくは14歳になる直前)といわれています。

1日目

モテ男ロミオはロザラインというキャピュレット家のお嬢様に恋をしている。いつもケンカばかりするキャピュレット家(ジュリエット)とモンタギュー家(ロミオ)。この日も騒動が起こり死人まででてしまう。ヴェローナを守る大公は両家に手を焼いている。

その日の夜、ロミオはロザラインを追ってキャピュレット家の仮面舞踏会に侵入。しかしロミオはジュリエットと運命的な出会いをし、恋に落ちてしまう。結局、ロミオの正体がバレてしまいティボルトに追い出されそうになる。しかし、舞踏会ということもあり、追い出されることなくその場はおさまる。

深夜、ロミオは再度キャピュレット家に戻ってくる。そこでバルコニーでたたずむジュリエットと愛を誓い合うのだった。

2日目

朝方、みんなのもとに戻るロミオ。そこにジュリエットの乳母が手紙を持ってやってくる。手紙には「結婚」の文字が…。ロミオはすぐにジュリエットが待つ教会に駆けつけ、ローレンス神父のもとふたりは密かに結婚する。

ロミオは一度みんなのもとに戻る。するとキャピュレット家とモンタギュー家が例のごとく争っている。このときティボルトがロミオの親友であるベンヴォーリオを殺してしまう…。激怒したロミオがティボルトを殺してしまう。そして、ロミオはヴェローナから追放されてしまう。

その夜、ロミオはジュリエットのもとに駆けつけ失意の中、一夜をともにする。

3日目

早朝、ロミオは出ていってしまう。何も知らないキャピュレット家の人々がジュリエットに婚約者パリスとの結婚を強要する。

困ったジュリエットはローレンス神父に相談に行く。ローレンス神父はある策をジュリエットに伝える。「ジュリエットを仮死状態にし、葬式を行う。仮死状態のジュリエットが霊廟におさめられたあとロミオが迎えに来る。そして、ふたりで遠くに逃げる。」

ローレンス神父はジュリエットを仮死状態にできる薬を手渡し、この作戦をロミオに伝えることを約束する。

4日目

ジュリエットとパリスの結婚準備で忙しいキャピュレット家。その朝、ジュリエットの遺体が発見される。もちろん、実際に死んでいるわけではなく仮死状態である。

5日目

ジュリエットの葬儀が行われる。葬儀が終わった後やってくるロミオ。しかし、ロミオは悲しみにくれている…。

実はロミオにジュリエットが仮死状態になっているという策が伝わっていないのであった。ロミオはジュリエットが死んでしまったと勘違いする。

失意の中、ロミオはナイフで自分を刺し、息絶える。その直後、ジュリエットが仮死状態から目覚める。ロミオに気づくジュリエット…。最初は喜ぶものの何かおかしいことに気づく。ロミオが死んでいることに気づき、ジュリエットもナイフで自分を刺し、命が消えるのだった。

さまざまなバージョン

バレエ版「ロミオとジュリエット」はかなりたくさんのバージョンがあります。それだけ振付家にインスピレーションを与える作品です。

バレエ版「ロミオとジュリエット」の歴史

1935年:プロコフィエフが作曲

1938年:ブルノ国立バレエ団(ヴァンヤ・プソタ振付)
1940年:キーロフ・バレエ(レオニード・ラヴロフスキー振付)
1955年:パリ・オペラ座バレエ団(セルジュ・リファール振付)
1958年:ミラノ・スカラ座バレエ団(ジョン・クランコ振付)
1962年:シュツットガルト・バレエ団(ジョン・クランコ振付改訂版)
1965年:英国ロイヤル・バレエ団(ケネス・マクミラン振付)
1966年:二十世紀バレエ団(モーリス・ベジャール振付)
1971年:フランクフルト・バレエ団(ジョン・ノイマイヤー振付)
1977年:ロンドン・フェスティバル・バレエ団(ルドルフ・ヌレエフ振付)
1979年:ボリショイ・バレエ団(ユーリー・グルゴローヴィチ振付)
1980年:ミラノ・スカラ座バレエ団(ルドルフ・ヌレエフ振付改訂版)
1984年:パリ・オペラ座バレエ団(ルドルフ・ヌレエフ振付改訂版)
1990年:リヨン・オペラ座バレエ団(アンジュラン・プレルジョカージュ振付)
1998年:モンテカルロ・バレエ団(ジャン=クリストフ・マイヨー振付)

プロコフィエフの音楽

 「ロミオとジュリエット」はセルゲイ・プロコフィエフの音楽からすべてが始まります。

ロシアの劇作家ピオトロフスキーとセルゲイ・ラドルフによる脚本をもとにプロコフィエフが作曲しました。これはレニングラード(現在のサンクトペテルブルク)で上演する予定で作曲されました。

シェイクスピアの原作は悲劇ですが、ソヴィエト当局からハッピーエンドにするよう指示を与えられていました。

ソヴィエト当局の意図

「希望的な結末にすべし!!」

政治的な意図により「ロミオとジュリエット」は死で終わる物語にしてはならず、ふたりは死ぬことなく新しい人生をスタートするというものに…。国民に希望を持ってもらうため、ハッピーエンドである必要がありました。

これは「白鳥の湖」でも同じ変更がなされました。「白鳥の湖」は本来バッドエンドだったのですが、「最後に王子とオデット姫が結ばれ幸せになる」という内容に書き換えられました。このハッピーエンド版がソヴィエトから発信され、世界中に広がりました。

音楽だけを発表

結局、劇場の上層部は「ロミオとジュリエット」がハッピーエンドであることに疑問をもち、無期限の上演禁止となります。ですが、プロコフィエフのバレエ曲は残ります。

そして、1936年にプロコフィエフはバレエ無しでこの曲を発表します。このときは、悲劇のエンディングのまま演奏会が行われました。この曲が世界中に広まり、さきほど紹介した様々なバージョンの「ロミオとジュリエット」が制作されていきます。

プロコフィエフの音楽は、どことなく暗い旋律でありながら、美しい。一度聞いたら耳に残る旋律です。

ロミオ、ジュリエット、そしてロミオとジュリエット、マキューシオ、ティボルトなどなど、それぞれにテーマとなる旋律があり、音楽を聞くと誰が踊っているのかわかります。

そしてバルコニーシーン。ふたりの心情に合わせ曲がどんどん盛り上がっていきます。この曲を聞くだけで価値のある音楽です。

マクミランのミューズのひとりであるアレッサンドラ・フェリによるジュリエットの映像です。ロミオはアメリカン・バレエ・シアターで大人気だったスペイン出身のアンヘル・コレーラ。はまり役のふたり。

みどころポイント

見どころに関してはこちらに映像つきで紹介しています。

映画版「ロミオとジュリエット」

ケネス・マクミラン版「ロミオとジュリエット」を映画版が2020年に制作されました。

舞台版よりも短く90分の作品でとても見やすいので予習にピッタリです。

配信レンタル版は500円ほど。DVDは通常版、ブルーレイ版ともに4,000円ほどで、1時間の特典映像がついています。

本当に5日間のドラマをみているような気になるロミオとジュリエット。

kazu

僕も今まで何回見たかわからないくらい見ていて満足度が高いです。ぜひドラマティックバレエを堪能してみてください!
ありがとうございました。