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ダンスの振り覚えが悪い?
感覚型ダンサー、思考型ダンサーとは?
空間把握能力とは?

ダンスのレッスンで一番難しいのは振付を覚える作業です。すごく丁寧に教えてもらえれば覚えられるけど、そうすると振付が全然進まない。逆に、振り入れがサクサク進んでしまうと、覚えきれずに終わってしまう。こんな悩みを持っている人も多いのではないでしょうか。

記事を書いているのは…

元劇団四季、テーマパークダンサー。30分のショーから2時間の舞台まで出演回数は5,000回以上。ダンス、ヨガ、ピラティス、ジムにも20年ほど通っています。

kazu

今回は「振り覚えをよくするための空間把握能力」の解説です。

※3分ほどで読み終わる記事です。

振付が覚えられない原因は?

振付をダンサーに伝える作業を「振り入れ」といいます。プロの現場では、限られているリハーサルの中で振り入れするためかなりのスピードで進んでいきます。振り入れのスピードは覚えの速いダンサーのペースに合わせられます。これがなかなかにツラいです。

レッスンも同様です。ダンスのレッスンはレベルが分かれているものの、あってないようなものです。初級でもガンガン振り入れすることも珍しくありません。

振り覚えが悪くなる原因は「集中力が切れてしまう」ことにあります。まず、集中力が切れる2つの原因を見ていきます。

大きな2つの原因

・動きがわからない
・場所取りが悪い

動きがわからない

知らないステップが出てきたり、細かい動きが出てくることで、振付がわからなくなってしまうことがあります。プロの現場だと細かい部分まできっちり覚えないとリハーサルになりません。そのため、振付師の動きを完全にコピーする必要があります。

ダンスのレッスンで考えると、習ったことのないステップが出てきてしまう状況です。わからなくなると止まってしまうと思います。

ですが、細かい動きに囚われすぎると集中力が完全に切れてしまいます。できない動きが出てきたときは一度諦めることも重要です。どうしても難しい場合、とりあえず足だけ、腕だけ、というように一部だけの動きに変えてしまうという方法もあります。

場所取りが悪い

レッスンスタジオでもリハーサルでも場所の取り合いがあります。もちろん一番イイ場所は先生の近くです。

めがね

なぜ先生の近くがいい?

振り入れでは鏡越しに先生を見ることで、自分の動きと先生の動きが同じになっているか確認します。このとき、先生の近くにいると基本的に自分と先生だけになります。

しかし、先生が遠くにいると、前の人達に隠されてしまいます。こうなると先生の動きが見づらいだけでなく、自分の動きも見えづらくなります。それだけでなく、他の人がどんどん目に入ってくるので比べてしまいます。気づいたら「あの人いい動きしてるな」とか、「あの人振り覚え速いな」という状況に陥りやすいです。

これでは集中力が落ちてしまいます。信がないと前に行くのはなかなか大変だと思いますが、振り覚えが悪いと思う場合は「後ろに行きすぎない」のも大事です。

感覚型?思考型?

ダンサーには大きく分けて感覚型と思考型のタイプがいます。どちらがイイ、悪いではなく、それぞれのタイプで振り覚えの速さがかなり変わります。

感覚型:身体で覚えるタイプ

感覚型のダンサーは振り入れのとき、細かい説明を聞かなくても動きをすぐにキャッチできるタイプです。

「脊髄反射」

「脊髄反射」で例えてみます。ふつう身体に刺激があると脳で理解してから身体が反応します。ですが、熱いものを触ったりすることで起きる「脊髄反射」においては、脳でなく脊髄から命令が出ます。

つまり感覚型のダンサーは、身体が踊りに反応しすぐに理解できるタイプです。このタイプは小さい頃から踊りをやっている人が多く、振付をすぐに身体で表現できます。感覚型のダンサーは振り覚えが速いです。

思考型:頭で考えるタイプ

思考型のダンサーは振り入れのとき、動きを頭で整理してから身体で表現するタイプです。

「脊髄反射」ではなく「反応」タイプです。振り入れのときに「脳」を通すため、少し時間が必要です。この時間が長くなってしまうと、どんどん振り入れに遅れていってしまい、かなり焦ることになります。とくに感覚型が1人でもいると、差がはっきり見えてしまいます。

このタイプにおいてなにか対処法はないのか…。ここからは対処法です。

「空間把握能力」

思考型が振り覚えを早くするためには、感覚型と同じくらいまで振り覚えのスピードを速める必要があります。そこで出てくるのが「空間把握能力」です。

空間把握能力

動きをふだんの目線ではなく、ドローンから見下ろしているように捉える能力。しかもドローンは上下前後左右に動き、3Dで使う。

ダンスの振付はかなり複雑です。目線、頭、上半身、腕、下半身、足、向き、動く方向、リズムといったものを同時に動かします。これを一気に捉えるためには単純に先生を見ているだけでは目がいくつあっても足りません。

そのため、先生を見るときは必ず鏡越しで見ます。こうすることで先生の前面の動きをしっかり捉えることができます。それと同時に、後ろ姿、横からの姿を直接目で見ます。さらに、自分の動きを比較しつつ確認する必要があります。

そしてもう一つ大事なことは周りのダンサーとぶつからないことです。接触はケガの原因になってしまうので、配慮する必要もでてきます。

振付は身体だけでなく、脳もフル回転して覚える必要があります。

kazu

僕は振り覚えが悪かったので、脳みそは常にフル回転していました。厳しいリハーサルのときはオリジン弁当特盛でした。身体が栄養を欲していました。

「空間把握能力」があるとは?

人混みの中、かなり速いペースで歩いている姿を想像してみてください。目の前には避けなければいけない人がたくさんいます。

jazz

そんなときぶつからずに通ることができますか?
もし走っていたとして、避けることができますか?

このときぶつかってしまう人は空間把握能力が少し弱いかもしれません。歩いている人の動きはかなりの程度予測がつきます。次から次へと出てくる人を予測しながらどう避けていくか…。

必要になる能力が空間把握能力です。

舞台上の必須スキル

空間把握能力は本番の舞台でもかなり重要なスキルです。舞台でパフォーマンスする際、ポジションは振付同様きっちりと決められます。舞台上にはバミリといって、番号やアルファベットが客席から見えない位置に書いてあります。この番号を目印にポジションを取っています。

ですがポジション取りがうまくいかないこともあります。例えば10人で斜め一直線のラインを作らなければいけないとき、誰かがポジションを間違えていたとします。

このとき、決められたポジションを死守するのか、それとも状況に合わせて変えるのか…。時と場合によりますが多くの場合、臨機応変にラインを変えて対応することが多いです。レッスン場と違い鏡はありません。自分の感覚を使い、10人が等間隔に並ぶよう、お客さんからキレイに見えるように調整する必要があります。この時ドローンから見ているような感覚があるとキレイなラインに修正することができます。

このようにダンサーにとって絶対に必要なスキルが「空間把握能力」です。

テーマパークダンスに必要なスキル

空間把握能力はテーマパークダンスにおいてかなり重要なスキルです。とくにパレードでは必須です。パレードというジャンルの踊りは、ダンスだけでなく、ダンサーが作る隊形の美しさもおもしろさのひとつです。

パレードルートは真っすぐ伸びているわけではなく、微妙にぐにゃぐにゃ曲がっていてカーブがたくさんあります。ダンサーはフロート(キャラクターたちがいる乗り物)の間に挟まれますが、フロートが必ずしもセンターを走っているわけではありません。センターはパレードルートの端と端の中心を目視によって見極めます。それを笑顔で手を振りつつ、踊りながらやっています。

このように都度都度ポジションを細かく調整しながら踊っているので、横一列に並ぶことさえ難しい…。実はすごく高度なことをやっています。

2009年東京ディズニーランド、「レッツ・ゴー・ヴィランズ!」より。ちなみに東京ディズニーランドのパレードは、世界中のテーマパークでダンサーのポジション取りのスキルが1番高い、とも言われます。

空間把握能力を鍛えよう

元メジャーリーガーのイチローさんも空間把握能力がかなり高いと言われています。ですが、迷子になりやすいらしい…。野球のときだけに発揮されていたようですが、それが一番理想かもしれないです。

そのためダンスレッスンを通じて空間把握能力を鍛えるのが一番です。ですが、別の方法もあります。一番かんたんなのは、子供向けの知育本です。たくさん本が出ていますが、1冊紹介します。

1,700円ほど。努力で鍛えられる、とハッキリ書いてあるので好感度が高いです。

FPSというジャンルのゲームでも空間把握能力が鍛えられると言われています。

最強の自体重トレーニング

ダンス上達に柔軟性と体幹トレーニングは欠かせません。またダンサーはある程度スリムでありながら、爆発的な力やスタミナが必要なので筋トレでレベルアップできます。

まずは自体重トレーニングでバランスのとれた身体づくりを目指しましょう。自体重トレーニングは「プリズナートレーニング」がオススメです。

1,500円ほどです。プログラムがしっかりしているので、継続しやすくこの本を一冊持っていればOKです。

kazu

今回は「振り覚えをよくするための空間把握能力」のご紹介でした。 ぜひぜひトライしてみてください。
ありがとうございました。

ダンス上達のためのトレーニング情報をぜひご覧ください。