バランシン振付バレエ『スターズ・アンド・ストライプス』作品解説
jazz

『スターズ・アンド・ストライプス』とは?
ストーリーは?
見どころは?

ジョージ・バランシン振付の『スターズ・アンド・ストライプス』は、アメリカを讃えるような作品です。

おもちゃの人形が踊っているような楽しいバレエで、フィナーレではアメリカを感じることができます。

記事を書いているのは…

元劇団四季、テーマパークダンサー。舞台、特にバレエを観に行くのが大好きで、年間100公演観に行った記録があります。

kazu

今回は、ジョージ・バランシン振付『スターズ・アンド・ストライプス』の作品解説です。

※ 3分ほどで読み終わります。

『スターズ・アンド・ストライプス』とは

『スターズ・アンド・ストライプス』は、アメリカを讃えるセレモニー的バレエです。

題名は、アメリカ国旗の通称です。

スターズアンドストライプスと呼ばれるアメリカ国旗

星条旗、と呼ばれるアメリカ国旗。星のマーク(stars)とストライプ模様(Stripes)で構成されています。

赤白 13本の線(ストライプ)は、18世紀に大英帝国から独立した当時の 13州を表します。

左上の星(スター)は、1960年にアラスカとハワイが加わり 50州となり、星 50個がデザインされました。

内容

衣装が可愛く、女性ダンサーはトウシューズの下に白いソックスを履いています。

振付はかなり独特で、敬礼のポーズもキュートです。

5つのパートに分かれていて、第4パート(メインパート)に主役 2人が登場します。この 2人の踊りは時々ガラ公演(作品の人気パートをいくつも上演する公演)で観ることができます。おもちゃの兵隊が踊っているようなお茶目なパートです。

初演:1958年1月17日

アメリカ:ニューヨーク・シティセンター(現ディヴィッド・H・コーク劇場)のこけら落とし公演(会場のオープン公演)

振付:ジョージ・バランシン
衣装:カリンスカ
作曲:ジョン・フィリップ・スーザ
編曲:ハーシー・ケイ
舞台:デビッド・ヘイズ
照明:マーク・スタンレイ

上演時間:28分

愛国心にあふれる作品なので、アメリカ以外の国で観ると少し不思議な気持ちになる作品です。

ちなみに日本人は運動会を思い出す人が多いかもしれません。

音楽

ジョン・フィリップ・スーザが作曲した『 The Stars and Stripes Forever 』という曲がもとになっています。

邦題は『星条旗よ永遠なれ』です。

アメリカの国家的行事で聞くことができます。

ジョン・フィリップ・スーザ( John Philip Sousa:1854年 – 1932年)

「マーチの王」と呼ばれ、100曲以上のマーチング曲をつくっています。また、マーチングで使うマーチング用チューバ「スーザフォーン」を考案し、19世紀のバンド音楽の発展に貢献しています。

ジョージ・バランシンは純粋にこの曲が好きだったといわれています。

アメリカでは、7月4日の「独立記念日」に軍事パレードが行われます。この軍事パレードに触発され、作品が誕生しました。

1959年、ネルソン・ロックフェラーがニューヨーク州知事になったときにもバランシンは聞いていました。

あらすじ:5つの “campaign(作戦)”

具体的なストーリーはないですが、5つのパートに分かれ、それぞれのパートに副題がついています。

出演人数 41人

主役:男性 1人、女性 1人
ソロ:男性 1人、女性 2人
群舞:男性 12人、女性 24人

1st campaign:Corcoran Cadets

第 1パートは「コーコラン士官候補生」。

女性ソロ(バトンを持つ踊りも登場)と、12人の女性群舞で踊られるパートです。衣装がキュートです。

2nd campaign:Rifle Regiment

第2パートは「ライフル連隊」です。

こちらも女性ソロ(バトンを持つ踊りあり)と、12人の女性群舞で踊られるパートです。

第 1パートと構成は同じですが、衣装の色が赤のチュチュから青のチュチュに変わります。

第 1パート、第 2パートのソロの女性は若手が起用されることも多いです。とはいえステップは難しい……。

僕が実際に観たときにステップがこなせないダンサーもいました。転んでしまったのを見たこともあります。

3rd campaign:Thunder and Gladiator

第3パートは「雷と剣闘士」です。

男性ソロと 12人の男性群舞で踊られます。とてもスピーディーで細かいステップの連続です。

男性ソロは、バレエ団の中でも小柄なダンサーによって踊られることが多いです。

切れ味抜群、高度なテクニックでとても盛り上がるパートです。

ニューヨーク・シティ・バレエ団ホームページより

4th campaign:Liberty Bell、El Capitan

第4パートは主役 2人のパ・ド・ドゥです。

女性は「自由の鐘(Liberty Bell)」、男性は「キャプテン(El Capitan)」というキャラクター名がついています。

女性は思わせぶりに男性を翻弄しながら、生き生きと楽しそうに踊ります。男性は自信満々で、茶目っ気あるキャラクター。

バランシンの思うアメリカンガールと、アメリカのイケてる男という感じなのかもしれません。

タイラー・ペックとゴンザロ・ガルシアによる踊り。7:53~のパート(コーダ)の人気が高いです。

5th campaign:The Stars and Stripes Forever

最終パートの『星条旗よ永遠なれ』。

41人すべてのダンサーが登場します。主役 2人も帽子をかぶって再登場します。

最後、背景いっぱいに星条旗が登場すると、観客席は自然と拍手につつまれます。

第3パートのソロ男性が、第1パート・第2パートのソロ女性と一緒に踊ります。ニューヨーク・シティ・バレエ団の女性ダンサーは高身長が多いです。一方、第3パートのソロの男性は小柄なダンサーが多めです。そのため、アンバランスな身長のペアが出来上がってしまうこともあります。

ニューヨークで観劇した際、さきほどの第3パートで紹介したダニエル・ウルブリクトが踊っていました。ダニエル・ウルブリクトは小柄なのに対し、ペアの女性の背が高く、あまりの身長差に客席から「キャーかわいい」みたいな悲鳴が上がっていました。

こちらは昔の映像で、第 4パートから観ることができます。

最後のパートのカメラアングルがぐるんぐるんしてしまっているのが、ちょっと残念。

1984年ロサンゼルス・オリンピック

オリンピックで踊られたこともあります。第 5パートの最終部分が踊られました。

有色人種のバレエ団「ダンス・シアター・オブ・ハーレム」が踊ります。

もともとニューヨーク・シティ・バレエ団にいた黒人初のバレエダンサーであるアーサー・ミッチェルがつくったバレエ団です。

全編で見るとかなり印象が変わるので、抜粋ではなく、ぜひ全編を見てほしい作品です。

アメリカ人でない僕ですが、最後のシーンでジーンとなってしまう素敵な作品です。

ニューヨーク・シティ・バレエ団

ニューヨーク・シティ・バレエ団での後援者向けのレッスンです。

実際のレッスンスタジオで、現役ダンサーが教えます。

先ほど紹介した「 3rd campaign:Thunder and Gladiator 」の冒頭部分。

ニューヨーク・シティ・バレエ団はこうした活動も積極的に行い、ニューヨークに根ざしています。

DVD

第 4パートが劇中劇として登場します。

踊るのは当時アメリカン・バレエ・シアターの大スターだったジュリー・ケントとイーサン・スティーフィルです。

3,500円ほど。

動画配信サイトを使えばお得に見ることができます。

無料期間などでぜひ試してみてください。

kazu

今回は「スターズ・アンド・ストライプス」でした。
ありがとうございました。

バレエ作品に関してはこちらにまとめていますので、ぜひご覧ください。