「白鳥の湖」第3幕・第4幕のみどころは?
なぜ第3幕が盛り上がる?
黒鳥のパ・ド・ドゥとは?
バレエの高度なテクニックを堪能できる「白鳥の湖」の第3幕。
とくに「黒鳥のパ・ド・ドゥ」はとても人気です。
元劇団四季、テーマパークダンサー。舞台、特にバレエを観に行くのが大好きで、年間100公演観に行った記録があります
今回は押さえておくと楽しめる「白鳥の湖」第3幕と第4幕のポイントについてです。
※3分ほどで読み終わります。
最大の見せ場
「白鳥の湖」の最大の見せ場は、黒鳥オディールとジークフリート王子による踊りです。
白鳥オデットとそっくりなオディールですが、踊り方がまったく変わります。
ゆったり伸びやかに踊るオデットに対し、テクニックを見せつけるように鋭く踊るオディール。
同じ振付も出てきますが、踊り方がまったく違うため、キャラクター性をすぐに感じることができると思います。
英国ロイヤル・バレエ団より。マリアネラ・ヌニェスとワディム・ムンタギロフによる「黒鳥のパ・ド・ドゥ」です。
第3幕のあらすじ
王宮ではジークフリート王子の結婚相手を見つけるため近隣の国から王女たちが招待されている。しかし、ジークフリート王子は前日の夜に出会ったオデットのことが忘れられない。
すると、舞踏会に来るはずのないオデットが現れる。
昨日会ったオデットとはどことなく違うものの、オデットの登場に喜ぶジークフリート王子。
実はこのオデットはロットバルトの娘オディールがオデットそっくりに変身した姿だった。そうとも知らない王子は、前日のオデットとの誓いを破り、オディールと永遠の愛を誓ってしまう。
ジークフリート王子の前に正体を現したロットバルトとオディール。舞踏会をめちゃくちゃにして去っていくのだった。
ポイント
第3幕はディベルティスマンと呼ばれます。
ディベルティスマンはフランス語で「余興」という意味があり、バレエではストーリーに関係のない踊りのシーンのことをいいます。
20分ほどは各国の踊りが踊られます。
「白鳥の湖」では4つの国の花嫁候補が自分のお国自慢という形で踊りを披露します。4つの国は、ハンガリー(チャルダッシュという踊り)、スペイン、ナポリ(イタリア)、ポーランド(マズルカという踊り)です。
最近は、ストーリーに組み込んでいることが多いです。
ロシアの踊り
また、変わり種として「ロシアの踊り」が入ることもあります。印象的な曲です。
バランシン版より。ニューヨーク・シティ・バレエ団のマリア・コワロスキとチャールズ・アスクガードです。
マッケンジー版では悪魔ロットバルトが、王女たちを誘惑するための踊りとして「ロシアの踊り」が入ります。
アメリカン・バレエ・シアター、マルセロ・ゴメスです。
「グラン・パ・ド・ドゥ」
最大の見せ場はオディールとジークフリート王子の「黒鳥のグラン・パ・ド・ドゥ」です。
主役ダンサーによる踊りのことで、流れが決まっている。
1:アダージョ(2人の踊り)
2:ヴァリエーション(男性のソロ)
3:ヴァリエーション(女性のソロ)
4:コーダ(高いテクニックが必要な2人の踊り。一番盛り上がります。)
クライマックスで踊られるのが「グラン・パ・ド・ドゥ」です。このシーンはとにかく技術を見せるシーンです。どれだけ超絶技巧を魅せられるか。
このシーンがよければ全部オッケーとも言えるシーンです。
世界バレエフェスティバルより。ベルリン国立バレエ団のゲストプリンシパルであるポリーナ・セミオノワと、シュツットガルト・バレエ団プリンシパルのフリーデマン・フォーゲルによる踊りです。
第4幕のあらすじ
約束を破ってしまったジークフリート王子が、オデットを探しに湖へ向かう。
呪いが解けないことを知ったオデットは悲しむ。
そこに悪魔ロットバルトがあらわれオデットを奪いに来る。
王子とロットバルトの戦いがはじまる。死闘の末、ロットバルトに勝利する王子。こうしてオデットの呪いが解かれ、ふたりは永遠に幸せに暮らすのであった…。
ポイント
第4幕は、ストーリーに重点が置かれています。最大の見せ場はジークフリート王子とロットバルトの対決です。
ただ、対決はけっこう躍動感がないことが多く、もしかしたらびっくりするかもしれません。
今回はハッピーエンドを紹介しましたがバッドエンドのこともあります。大きく3つのパターンがあります。
・王子がロットバルトを倒し、オデットが人間に戻り幸せに暮らす
・オデットが死を選び、ロットバルトが引きづられるように死んでしまう。死後の世界でオデットと王子が結ばれる
・オデットが死を選ぶ。ロットバルトの呪いは解け、ロットバルトは死ぬものの王子だけが残される。オデットを思い続け生きていく
バッドエンドのヌレエフ版です。パリ・オペラ座バレエ団のアニエス・ルテステュ、ジョゼ・マルティネス、カール・パケットです。
おすすめDVD
マリインスキーバレエ団、ウリヤーナ・ロパートキナとダニーラ・コルスンツェフによる「白鳥の湖」です。
2000年代後半から2010年代前半まで大活躍したバレエダンサーのロパートキナ。とくにオデットといえばロパートキナといわれています。第4幕の結末、印象に残る演技をたくさん残しています。

以上、押さえておくと楽しくなる「白鳥の湖」第3幕・第4幕のポイントでした。
ありがとうございました。
バレエ作品に関してはこちらにまとめていますので、ぜひご覧ください。
舞台鑑賞好きの僕が劇場に行くときに知っておくとちょっと得する話をのせています。バレエを中心に紹介しています。