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「シンフォニー・イン・C」はどんなストーリー?
30分の作品に56人も出演者がいる?
見どころは?

ジョージ・バランシンの傑作のひとつ「シンフォニー・イン・C」。

終わったあとの観客からの拍手の大きさが、その完成度を物語っています。

記事を書いているのは…

元劇団四季、テーマパークダンサー。舞台、特にバレエを観に行くのが大好きで、年間100公演観に行った記録があります

kazu

今回は「シンフォニー・イン・C」の作品解説です。

※3分ほどで読み終わります。

色が消えた?

もともと1947年、パリ・オペラ座バレエ団のために「水晶宮(クリスタル・パレス)」という作品が創られました。

宝石をテーマにした豪華でキラキラした作品で、大成功を収めました。

その後、振付のジョージ・バランシンが「水晶宮」を「シンフォニー・イン・C」と自ら改訂します。

色とりどりの豪華な衣装が、白黒のモノトーンに統一されます。

初演:1948年3月22日

アメリカ(ニューヨーク・シティ・センター):バレエ協会(ニューヨーク・シティ・バレエ団の前身)

振付:ジョージ・バランシン
音楽:ジョルジュ・ビゼー

音楽はジョルジュ・ビゼー(「カルメン」作曲)が17歳の時に作曲した「交響曲ハ長調」です。

抽象バレエ

バランシンは、抽象的なバレエの振付家として有名です。

抽象バレエとは「物語性を排除しているバレエ作品」のことです。

「音楽を踊りで表現する」という挑戦をバランシンがはじめます。ここにこだわって「水晶宮」から改訂されたのが「シンフォニー・イン・C」です。

「シンフォニー・イン・C」の構成

30分の短い作品にダンサーが56人も登場します。

しかも主役を踊るプリンシパル級のダンサーが4組も出演するのが大きな特徴です。

出演人数(全4楽章)

(各楽章)
主役カップル:1組2名
リードカップル:2組4名
群舞の女性ダンサー:8名

最後の第4楽章では、途中から第1楽章、第2楽章、第3楽章のダンサーたちも再度登場し、最終的に56人が舞台を埋め尽くします。

第1楽章から第3楽章までは、バレエ団を代表するプリンシパルが踊り、第4楽章はネクストプリンシパルと期待されるダンサーが配役されることが多いです。ですが、たまに第4楽章でもプリンシパルが出てきたりすることもあります。その時は、さらに豪華になります。

最後、各楽章の4人の主役が並ぶとバチバチ感があってすごくイイです。

めがね

第4楽章の最後は「終わってほしくない……」と毎回思います。

楽章ごとにあらわれる個性

第1楽章:アレグロ・ヴィーヴォ(allegro vivo)

第1楽章はバレエの基本ステップがたくさん登場します。ポジションの移動スピードが速いうえに、正確なポジションに移動しなければいけません。かなり高い技術力が求められます。そして正確な音楽性も必要です。

ニューヨーク・シティ・バレエ団、タイラー・ペックとアンドリュー・ヴェイエットです。

第2楽章:アダージョ(adagio)

第2楽章はゆったりとしたアダージョパートです。

アダージョ

アダージョとは音楽用語で「ゆったり」という意味があります。ゆったりと踊られます。

バレエ団の華となるダンサーが主役を踊ります。途中、片足でバランスを取り続けながら、もう片方の足を前後左右に上げる部分はとてもスリリングです。

ニューヨーク・シティ・バレエ団、テレサ・ライクレンとタイラー・アングルです。

第3楽章:アレグロ・ヴィヴァーチェ(allegro vivace)

第3楽章は細かく速いステップの連続です。小回りのきくダンサーが配役されます。

ニューヨーク・シティ・バレエ団より。

第4楽章:アレグロ・ヴィヴァーチェ(allegro vivace)

第4楽章は、第1楽章と似ていますが音楽が速く、短距離走のようです。

勢いのある若手ダンサーの見せ場です。

第4楽章の主役が舞台から去ると、第1楽章、第2楽章、第3楽章のダンサーが次から次へと舞台に集結していきます。

そしてフィナーレでは全員が揃います。

New York City Balletより

忘れてはいけないのが群舞です。

フィナーレはメインのダンサーだけでなく、周りのダンサーにも注目です。周りのダンサーはとにかくシンプルなステップを踏んでいます。全員が息を合わせてバレエの基本ステップをふんでいると、とてつもなくキレイです。

ぜひ群舞にも注目してみてください。

白と黒

踊りで音楽を表現する、というバランシンの意思が「シンフォニー・イン・C」という題名に込められています。題名で印象がつかないように「水晶宮」から「シンフォニー・イン・C」に変更されました。また、人数や構成は「水晶宮」と変わらないものの、振付が細かく変更されています。

そして、一番の大きな変化は衣装です。女性は白のクラシックチュチュに、男性が黒タイツに変更されました。宝石をテーマにした豪華な衣装から、シンプルなスタイルにガラッとスタイルチェンジされました。

こちらが「水晶宮」です。フィナーレシーンを比較してみてください。

MEZZO LIVE HD より

「水晶宮」も人気が高いですが、スタイルが統一されているため「シンフォニー・イン・C」のほうがフィナーレは圧巻です。白と黒の衣装で56人がいっせいに踊ると圧倒されてしまいます。

白と黒の世界が美しく、ミニマリズムの美しさをすごく感じます。

そして「シンフォニー・イン・C」では、衣装が統一されているのでさらにステップの洗練が求められます。シンプルがゆえに、そろっていないとかなりバラバラに見えてしまいます。

ニューヨーク・シティ・バレエ団の「シンフォニー・イン・C」

現在、世界各地のバレエ団が「シンフォニー・イン・C」をレパートリーに持っています。「シンフォニー・イン・C」をはじめ、バランシンの振付作品は世界各地で上演され続けています。ただ、それぞれのバレエ団の個性が重視されている印象です。

一方のニューヨーク・シティ・バレエ団は、バランシンのためのバレエ団です。

バランシンの振付を忠実に守るために「バランシン財団」というものがあります。ニューヨーク・シティ・バレエ団は、バランシンの作品を忠実に守っていくことを第1に考えているバレエ団です。

ニューヨーク・シティ・バレエ団の「シンフォニー・イン・C」は音楽のテンポをダンサーに合わせることはありません。音楽が中心になっているため、他のバレエ団よりも音楽を表現するという意味がわかりやすいのでオススメです。

2012年に衣装が一新

ニューヨーク・シティ・バレエ団には衣装部があり、公演に必要な衣装はすべてニューヨーク・シティ・バレエ団の中で制作しています。

2012年、現在の衣装に一新されました。主役が頭にのせるティアラはロシアスタイルになっています。とくに美しいのが女性の衣装で、14層も重なるチュチュにスワロフスキーが縫い付けられています。

チュチュの先になるほど暗い色のスワロフスキーを使用し、すべて手縫いです。青みがかったクリスタルも使っていて、舞台の青い背景と合うように計算されています。

DVD

4,000円ほど。

このDVDは僕も持っていて、一番見ていた時期のダンサーが踊っているので、この映像をみるとニューヨークに留学していた時代に一気に戻ります。

学生券を使い「シンフォニー・イン・C」の公演は毎回行っていました。デイヴィッド・H・コーク劇場(ニューヨーク・シティ・バレエ団の本拠地)はシンプルで美しい劇場なので、作品と相性がよく特別感が増します。

あまりに好きすぎて通い詰めてしまいました。

kazu

大好きな作品「シンフォニー・イン・C」の紹介でした。
ありがとうございました。

バレエ作品に関してはこちらにまとめていますので、ぜひご覧ください。