
ダンスの腹筋の使い方は?
体幹の感覚をつかむには?
体幹を鍛えるトレーニング方法は?
「体幹が安定 = ダンスの自由度が増す」
このために、腹筋まわりの筋肉を鍛えていきます。
体幹を理解するとダンス上達につながります。
元劇団四季、テーマパークダンサー。海外留学でダンスや身体づくりを学びました。ダンス、ヨガ(RYT200取得)、ピラティス、ジムにも20年ほど通っています。
今回は、「ダンスにおける腹筋・体幹の使い方」についてです。
※ 3分ほどで読み終わります。
ダンスレッスンでの疑問
ダンスレッスンでは感覚的なアドバイスを受けることが比較的多いです。
・引き上げて
・おなかで支えて
・大きく動いて
・つま先を丸めずに伸ばして
・土踏まずを上げて
なんとなくわかるんだけれど、すぐには対処できない注意点です。
こうした感覚的なアドバイス。
体幹を理解すると解決に近づきます。
体幹とは
ダンスを踊るときに大事な「体幹」。
ターゲットは「腹部まわり」の筋肉です。
身体の中心にあるため体幹のことをコアと言ったり、体幹トレーニングのことをコアトレーニングと言います。
具体的には、
体幹回りを360°鍛えることで上半身と下半身が連動するようになり、踊りが安定します。
逆に言うと、体幹回りは筋肉を鍛えない限り、支えが背骨しかありません。
先ほどの 4つの筋肉は腹部にドーム状の空間を作っています。これを
ダンスでは腹腔のコントルールがとても大事です。
おなかの力が抜けたダンス
おなかの力が抜けるだけで「びろーん」とした芯のない踊りになってしまいます。
芯のない踊りは様々な問題を引き起こします。
例えば、ダンスは音に合わせて踊りますが、おなかの力が抜けていると、自分では音に合わせているはずなのに、ほんのわずかテンポから遅れてしまうことがあります。体幹は上半身と下半身を連動させる機能があり、おなかの力が抜けていると連動が弱まり、頭で考えているよりも音に遅れてしまうという現象が起きてしまいます。
また、ダンスは目の錯覚を利用します。芯があると足を上げた時に残像でより上がっているように見えます。回転も同じく、2回転が3回転に見えることがあります。
ニューヨーク・シティ・バレエ団の中でも回転軸が安定し、スピードの速いステップを得意とする 2人の動画を紹介します。
タイラー・ペックとホワキン・デ・ルーです。
『チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ』より。
ニューヨーク・シティ・バレエ団の『チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ』は、オリジナルの速いテンポのまま走り抜けます。
特にタイラー・ペックが踊る女性ソロの終わり方、スパッと止まる体幹。スカートの揺らめきは印象的です。

初めてニューヨーク・シティ・バレエ団の『チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ』を見たとき、あまりに速くて度肝を抜かれました。ほかのダンサーと比べるとスピード感の差がわかります。
この 2人は小柄なダンサーです。
長身のダンサーになるほど、身体のコントロールが難しくなるので気をつけてください。
体幹の力の入れ方
体幹の力の入れ方は、体幹トレーニングと少し違います。
身体全体に圧力がかかっている状態。足裏から頭全体までつながる力。誰かに押されたときに耐える力。
一方、ダンスの体幹は、下腹のみ力が入り、腹筋の上部を含めほかの部位は適度にリラックスしている必要があります。
ギュッと全身に力が常に入っていると、背中が板のようになり、カクカクの踊りになってしまうためです。
イメージとしては「引き締める」。
そのために必要なことは 3点。
・鼻呼吸
・腹式呼吸
・下腹を引き締める
1:鼻呼吸
口呼吸は鼻呼吸に比べ、おなかに力を入れづらいです。
また、口呼吸は、呼吸が浅くなり乱れやすくなってしまいます。
もちろん疲れてくると口で呼吸をしなければいけない場面もありますが、その場合も鼻から吸って、口から吐く呼吸にした方が有効です。
舌のポジションは、歯の裏もしくは、歯の裏の歯茎の硬い部分に置いている方が身体が安定します。
2:腹式呼吸
腹式呼吸のポイントは前後左右にふくらませることです。
脇側、背中側に空気を入れるのは難しいかもしれません。
その場合、ヨガのチャイルドポーズで腹式呼吸をしてみてください。
おなかが圧迫されるので、前側が強制的に動かなくなります。
・正座になり、足の親指を合わせ(重ねない)、ヒザは肩幅に
・胴体を股関節から前屈させ、おなかを太ももに載せる
・腕を前方に伸ばす(軽減ポーズ:足の横に腕を下ろす)
・おでこをマットにつけリラックス
3:下腹を引き締める
最初に骨盤のポジションを整えます。
1:自分の中で1番姿勢のイイ状態で立つ
2:骨盤を動かさずにオシリの穴をキュッと締める
このときオシリの穴に力が入らなかった場合、オシリがプリっとしすぎている骨盤前傾状態になっています。
1:骨盤を前傾させる(プリっとさせる)
2:徐々に骨盤を後傾させていく
3:オシリの穴に力が最大限キュッと入る位置まで後傾(行き過ぎた場合はギュッとできる位置まで前傾し、いい位置を探る)
立った状態でおしりの穴をキュッと締めます。骨盤を前傾したり、後傾し、おしりの穴がキュッと締めやすい位置を探します。
「仙骨を立てる」という表現も同じ意味です。
ここから丹田を中心におなかを引き締めていきます。
おなかの中心部にあり、力の源となる
腰の前側に手で触れることができる骨の突起があります。へそから指4本(手の人差し指~小指)2.5〜5cmほど下の骨盤の中心です。ここが丹田の位置の目安です。
丹田は点として捉える必要はなく、下腹部周辺として捉える方がわかりやすいです。
この丹田周辺のおなかの前側と後側をできるだけ薄くします。このとき腹筋は丹田に向かって斜め下に引き締めます。
そして丹田周辺は薄くしたまま、腹式呼吸をしていきます。
腹腔は 360°膨らませますが、引き締めているので大きく動きません。
まとめ
・腹部周りを薄い状態かつ、圧力を高めた状態
・上半身と下半身を連動させるのに役立つ
・全身を適度にリラックスした状態でコアに力を入れることで身体を自由に動かすことができる
丹田周辺を中心に力をコントロールすることができると、芯のある踊り、かつ腕や足をさらに自由に動かせるようになります。
ピラティスをヒントに
ピラティスをやると体幹について理解が深まります。
ピラティスはダンサーのためのトレーニングとして発展しました。
ピラティスの歴史、創始者の紹介。日常生活が楽になり、ケガ予防、レッスンに参加しやすく、荷物が少なくてすみ、男性でも肩身が狭くないです。
ピラティスで感覚をつかんだらすぐにダンスに適用しましょう。
目指すのは、ウォーミングアップの時点で体幹が入っていること。
そのためにピラティスをダンスにつなげるトレーニングを繰り返しやることが大事です。
バーレッスンはウォーミングアップではない
バレエのレッスンで一番最初に出てくるプリエ。
ただの屈伸運動になりがちですが、体幹が入っていると筋肉を鍛えることができます。
バーレッスンを準備運動と考えるのはもったいないです。
そのためにはウォーミングアップです。
バーレッスン前に体幹をしっかり意識し、腹圧、体幹、床反力、足裏の感覚がわかるようなルーティーンを作っていきましょう。
MP関節とカカトを押すことで、土踏まずがアップします。クッション性、バネが強化され、どのスポーツでもパフォーマンスアップにつながります。ケガもしにくくなります。石井久美子さんの動画もご紹介。
バーレッスンが終わる頃にカラダが出来上がるというのは、レッスンの質を下げているかもしれません。
体幹の感覚は自分でみつける
体幹の感覚そのものは伝えるのが難しく、自分で見つけるしかありません。
正しい知識を身につけ、とにかく試してみる!
トレーナーさんを雇うのも手ですが、自分で考えることを忘れないようにしましょう。とはいえトレーナーさんがいれば、客観的な視点が手に入ります。
ですが、上手になりたいなら自分で責任を持つことが大事です。
体幹の感覚が難しいのは、個人差がある点です。
他の人に役立つアドバイスが自分に当てはまるとは限りません。
参考動画
こちらの動画も参考になると思います。
オススメの本
バレエダンサーも指導する菅原順二さん監修の本です。
1,400円ほど。
ピラティスの基本がつまっていて、とりあえずこれ一冊持っていれば、という本です。
ダンサー体型を目指す筋トレ・体幹トレ
ダンサーのような軽い身体、柔軟性、芯のある機能的な筋肉をつくる基本は、自体重トレーニング・体幹トレーニングです。ケガしづらく、自分の身体に合った筋肉がついていきます。
自体重トレーニングは、継続しやすいプリズナートレーニングがオススメです。
2,200円ほど。
1日10分、6種類の種目、10ステップ、3レベルに分かれている自体重トレーニングの囚人トレーニング。トレーニング内容を全部紹介しています。
オンラインレッスン
ルーティーンを作るためにプロを利用するのもオススメです。オンラインレッスンはコスパがかなりよく、一流の先生かつ、内容のクオリティが高いです。
業界大手のヨガスタジオ「LAVA」は月2,000円ほどでほぼ受け放題です。ヨガ・ピラティスでけでなくトレーニング・筋トレ・ストレッチなどヨガ以外のフィットネス動画も豊富です。
筋トレ・ストレッチ・ヨガ・ピラティスなどなど膨大なアーカイブを月3,000円ほどでほぼ受け放題できる「SOELU」。
身体づくりの知識をつけ、効率的かつ自分独自のメニューを作っていきましょう。

今回は、「ダンスにおける腹筋・体幹の使い方」についてでした。
ありがとうございました。
ダンサーのような身体を目指すトレーニング情報はこちらにまとめています。
ダンス上達のための身体の使い方、トレーニングの方法、体幹トレーニングについてまとめています。ピラティスやヨガもご紹介します。