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ジャクリーヌ・デュ・プレを題材にした「ザ・チェリスト」をみた感想は?
主演の3人はどうだった?
何がおもしろい?

悲劇の天才チェリスト、ジャクリーヌ・デュ・プレの物語。ローレン・カスバートソンの熱演が光る舞台が期間限定でyoutubeに無料公開されていました。そして、BSの「プレミアムシアター」でも放送されました。

記事を書いているのは…

元劇団四季、テーマパークダンサー。舞台、特にバレエを観に行くのが大好きで、年間100公演観に行った記録があります。

kazu

今回は、ローレン・カスバートソン、マルセリーノ・サンベ、マシュー・ボール主演「ザ・チェリスト」の感想です。

※3分ほどで読み終わる記事です。

作品について

チェリストの作品内容やあらすじはこちらの記事をどうぞ。

スタッフ

振付:キャシー・マーストン(CATHY MARSTON)
脚本:キャシー・マーストン(CATHY MARSTON)、エドワード・ケンプ(EDWARD KEMP)
音楽:フィリップ・フィーニー(PHILIP FEENEY)
舞台装置:ヒルデガード・ベクトラー(HILDEGARD BECHTLER)
衣装:ブレッヒェ・ファン・バーレン(BREGJE VAN BALEN)
照明:ジョン・クラーク(JON CLARK)
振付協力:ジェニー・タッターサル(JENNY TATTERSALL)

指揮:アンドレア・モリーノ(Andrea Molino)
チェロ独奏:ヘティ・スネル(Hetty Snell)
演奏:英国ロイヤル・オペラ・ハウス管弦楽団(Orchestra of the Royal Opera House)

キャスト

チェリスト:ローレン・カスバートソン(LAUREN CUTHBERTSON)
楽器:マルセリーノ・サンベ(MARCELINO SAMBÉ)
指揮者:マシュー・ボール(MATTHEW BALL)

チェリスト(少女時代):エマ・ルカノ(EMMA LUCANO)
姉(少女時代):ローレン・ゴッドフリー(LAUREN GODFREY)

母:クリステン・マクナリー(KRISTEN MCNALLY)
父:トーマス・ホワイトヘッド(THOMAS WHITEHEAD)
姉:アナ・ローズ・オサリヴァン(ANNA ROSE O’SULLIVAN)

チェロ教師たち:ギャリー・エイヴィス(GARY AVIS)、ニコル・エドモンズ(NICOL EDMONDS)、ベンジャミン・エラ(BENJAMIN ELLA)
音楽学校の学友:アクリ瑠嘉(LUCA ACRI)、ポール・ケイ(PAUL KAY)、ジョセフ・シセンズ(JOSEPH SISSENS)

ダンサーの魂のこもった熱演

この公演ですごく感じたのは、キャシー・マーストンがダンサーをすごく大切にしているということです。主演の3人はもちろん、脇を固めるダンサーたちも役にハマっていて、どんなに小さな役でも舞台にいる意味がある、というのがすごく伝わってきました。

ローレン・カスバートソン

「ザ・チェリスト」はローレン・カスバートソンの評価をグーンと上げる作品だと思います。アクロバティックなリフトを軽々とこなすだけでなく、演劇的な側面がとくに評価されています。

役に入り込んでいて、ローレン・カスバートソンにどんどん引き込まれてしまいます。ケガするんじゃないかと心配になるくらい、思いっきりジャンプするのでビックリしてしまいました。

実際のジャクリーヌ・デュ・プレは大柄で、笑顔にあふれていた人物で、天然ボケな部分もあり、ユーモアのセンスもあったといわれています。

ローレン・カスバートソンはロイヤルバレエ団の中では背が高いです。そのほかにもいろいろな点でローレン・カスバートソンがジャクリーヌ・デュ・プレに合っている、と考えられ主演することになりました。

作品中、ローレン・カスバートソンの目の動きが素晴らしいので、映像ではっきり見られるのが嬉しかったです。バレンボイムを見つめる視線になんとも色気がありました。そして、チェロを演奏するときの目の表情が「天才の目」という印象を受けました。

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とても悲しい終わり方なはずなのに、見終わった後なぜか心が温まりました。最後のカーテンコールのたたずまいまで僕は好きでした。

マルセリーノ・サンベ

今回のキーとなるのがチェロ役です。このチェロをプリンシパルのマルセリーノ・サンベが演じています。

マルセリーノ・サンベの身体は、以前観たときよりも一回り大きくなっていて、どっしりしています。身体はしっかりしていますが、柔らかさがあります。チェロの波長を視覚化すると、こんなにも柔らかい動きになるのか…、と感動してしまいました。

マシュー・ボール

マシュー・ボールはジャクリーヌ・デュ・プレの夫であるバレンボイムを演じています。バレンボイムは実際の人物で、ジャクリーヌ・デュ・プレと結婚しながらもパリにも奥さんと子供がいました。この話だけ聞くと、なかなか破天荒な人物です。

今回の作品ではこのスキャンダラスな事実は出てきません。

マシュー・ボールはハンサムですが、かげがあります。この陰が、どことなくバレンボイムを複雑な人物であると感じさせ、かなり魅力的な人物にしていると思います。マシュー・ボールが最初に登場するのはコンサートのシーンです。楽器を演じるダンサーを指揮していたのですが、カリスマ性で舞台を支配していました。

ダンサー

ダンサーはときにオーケストラになったり、学校の友人になったり、観客にもなり、家具にもなります。

セットがとてもシンプルなので、ダンサーの身体表現しんたいひょうげんでいろいろなものに具現化ぐげんかしていきます。ダンサーが家具を演じることもあるのですが、どの家具を演じているのかまでハッキリわかります。

今回、キャシー・マーストンは群舞のことを「A Chorus of Narrators(語り手たち)」と表現しています。脇役のダンサーにも、舞台に欠かせない役割をもたせていて、とても現代的な感性を持っている振付家だな、と思いました。

とくに素晴らしいのが、オーケストラのシーンです。楽器からあふれでる音の波長が目の前に流れているのが目でわかります。キャシー・マーストンの発想にブラボーです。

また、いつもおとぎ話の王様やお妃を演じるキャラクターダンサーが、がっつり踊っているのも嬉しいです。クリステン・マクナリーがトウシューズをはいているのを初めてみました。歳を重ねたからこその重みがある踊り。もちろんテクニックも維持されています。

音楽

この作品ではフィリップ・フィーニーの音楽のセンスが光ります。さまざまな曲をフルバージョンではなく、こまかくつなげています。

その中でジャクリーヌ・デュ・プレのテーマとして、ピアノの明るい旋律があります。その旋律が冒頭と最後、とくに印象的に響きます。この旋律をきくだけで、感動スイッチが入ってしまうくらい印象に残りました。

公演動画

たった55分の作品で人生を語り切るキャシー・マーストンの振付。さまざまなリハーサル動画やインタビューで好感がかなり持てます。大好きになりました。

公演DVDが発売されています。

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今回は「ザ・チェリスト」のあらすじと感想、公演動画の紹介でした。
ありがとうございました。