すっと伸びた、美しく均整の取れた脚のライン。バレエダンサーのような引き締まった立ち姿に、憧れを持ったことがある方は多いのではないでしょうか。
バレエの身体の使い方には、脚のラインをすっきりと整える要素が多く詰まっており、実はダンス経験のない方のボディメイクや脚痩せにも効果を発揮します。
しかし、地上で正しいアライメント(関節の配列)を意識して動かすのは難易度が高く、どうしても太ももの前や外側といったアウターマッスルで無理に踏ん張ってしまいがちです。
「脚が細くならない」という方から、「ターンアウトの感覚が掴めない」と悩むダンサーまで、直面している根本的な原因は同じです。それは、アウターマッスルが力(りき)んでしまい、奥にあるインナーマッスル(深層筋)がうまく使えていないためです。
この課題を運動学的に整理し、余計な力みを抜いて深層筋の感覚を呼び覚ます効果的な方法が、プールで行うバレエトレーニングです。
この記事では、ダンス経験の有無を問わず、脚のラインを整えたいすべての方に向けて、身体の感覚を再起動させる「水中バレエトレーニング」8種目と、その運動学的なアプローチ、実践方法までを詳しく解説します。
元劇団四季、テーマパークダンサー。30分のショーから2時間の舞台まで出演回数は5,000回以上。ダンス、ヨガ(RYT200取得)、ピラティス、ジムにも20年ほど通っています。
※ 約5分で読み終わります。
なぜプロでも「身体の感覚の消失」に悩むのか
僕自身、幼少期にバレエをはじめ、大学から本格的に再開したのち、長年プロの現場で舞台に立ち続けてきました。
毎日、1日に4回、5回とショー本番をこなす生活を何年も送る中で、ある問題に直面しました。それは「身体の左右差」です。
ステージの振付では、どうしても「右脚ばかり上げる」「同じ方向ばかり回転する」といった偏りが生じます。同じ動作を繰り返すうちに、得意な側ばかりがどんどん発達し、反対側の感覚が鈍くなっていきました。
苦手な側の脚は、
- パッセの開きが弱い
- つま先まで意識が届かず内側に入りがち(カマ足になる)
- 股関節の奥を使ってターンアウトしている感覚が薄い
といった状態になり、苦手意識がありました。
現役を引退した今もダンスが好きでレッスンに通っていますが、40代を超えても身体の感覚の成長を感じています。今は休息の時間があり、自分の身体と向き合えるようになったのが大きな要因です。
通っているジムでは、時間帯によってプールをほぼ独占状態で使えることがあります。そこでふと頭をよぎったのが、映画『ダーティ・ダンシング』でした。映画の中に、湖に入ってリフトの練習をする短いシーンがあります。難しいリフトで女性が落下してもケガをしないよう水を利用しています。「水中トレーニング」の目的と異なるものの、これが大きなインスピレーションになりました。
そのシーンを思い出し、水中で片足立ちのバランスを取ってみました。
すると、関節に体重の負担がほとんどかからない状態で、長時間立っていられることに気づきました。地上で苦戦していた片足立ちが、驚くほど楽に1分以上キープできたのです。
偶然から見つけた「プールでの水中バレエトレーニング」ですが、インナーマッスルの感覚を呼び覚ます方法として、自信を持ってオススメします。
ターンアウトがもたらす効果:目的別の視点
バレエの基本姿勢である「ターンアウト(外旋)」は、プロダンサーだけでなく、脚のラインを美しく引き締めたい一般の方にとっても非常に有効な身体の使い方です。
TURNOUT|ターンアウト
股関節を付け根から外側へ回旋させる動作。バレエの基本となる姿勢。


理想的な形としては足先を180度開くポジションが知られていますが、目的によって意識すべきポイントは異なります。それぞれの視点から、ターンアウトを取り入れるメリットを整理します。
美しい脚のラインを作りたい人へ(ボディメイク・ダイエット目的)
「プールで水中ウォーキングを頑張っているのに、思うように脚のラインが変わらない」
「脚を使っているつもりなのに、太ももの前ばかりが疲れてしまう」
せっかくプールに通って運動していても、アウターマッスル(太ももの前や外側の大きな筋肉)ばかりに頼って動かしていると、脚の奥にある引き締めたい筋肉がうまく使われません。
ここで取り入れたいのが、バレエの身体の使い方です。
バレエダンサーの脚が細く長く、均整が取れて見えるのは、表面の筋肉で力任せに支えるのではなく、お尻の奥深くにある筋肉(インナーマッスル)や内ももを主導にして脚をコントロールしているからです。深層筋が正しく働くと、前ももや外ももにかかっていた余計な負担が抜け、筋肉のつき方が変わっていきます。
このバレエ特有のインナーマッスルを呼び覚ます基本の姿勢こそが、股関節を付け根から開く「ターンアウト(外旋)」です。
ただし、ダンサーのように大きく足先を開く必要はまったくありません。脚の付け根からわずかに外側へ回し、内ももやお尻の深層部を意識して水中で動かすだけで、普段の生活では使われにくい筋肉が自然と刺激され、すっきりと引き締まった脚のラインへと導かれます。
ジャズダンサーへ(軸の安定・可動域・左右差の克服)
ジャズダンサーにとってもターンアウトの基礎は不可欠です。ただし、クラシックバレエのような完璧な180度を目指す必要はありません。
ジャズダンサーが最優先すべきは、「膝のお皿」と「足の人差し指・中指」の方向を一致させることです。
股関節のインナーマッスルが使えていない状態で無理に足先だけを開こうとすると、膝や足首がねじれ、靭帯や半月板に強い負担がかかります。角度を無理に追わなくても、股関節から正しく外旋させる感覚さえ掴めれば、軸のブレは収まり、身体のラインは整います。
「アラベスクで膝が下を向く」「カマ足になる」といった悩みも、股関節の奥にあるインナーマッスルが適切に使えていないことが主な原因です。
なぜ地上ではなく「水中」なのか
美脚を目指す人にとっても、ジャズダンサーにとっても、ターンアウトを習得する上で最大の壁となるのが重力によるアウターマッスルの力みです。
地上では身体を支えようとして、どうしても太ももの前や外側の強い筋肉で踏ん張ってしまい、股関節の奥やお尻のインナーマッスルまで意識が向きません。地上のレッスンでどれだけ注意されても、力む癖がついていると感覚を掴むまでに何か月、時には何年もかかってしまいます。ちなみに僕は20年以上かかっています。
その時間を最大限短縮できるのが、プールという水中の環境です。
水中の浮力を使えば、体重による関節への負荷や前ももの力みをすっと外すことができます。そして水の穏やかな抵抗によって、地上で見失いがちな「内もも」や「股関節の奥」の感覚を、無理なく呼び覚ますことが可能になります。
水中で行う運動力学的な3つのメリット
実際に水中で動いてみると、地上のレッスンとは比較にならないほど「どの筋肉を使っているか」が伝わってきます。これには運動力学的理由があります。
【ターンアウト強化の3つの理由】
① 浮力
② 水のサポート
③ 水の抵抗
① 浮力:代償動作の解除
水中にいることで関節にかかる負担が大幅に減ります。地上では「倒れないように踏ん張る」ために太ももやふくらはぎの表面の筋肉が無意識に力んでしまいます。浮力によってその緊張が解かれ、奥にあるインナーマッスルや内ももに意識を集中させやすくなります。
② 水のサポート:可動域の限界まで脚を上げる
脚を上げたままキープする際、重さに耐えきれず、無意識に少し楽な低い位置にしてしまうことはないでしょうか。水中では下から水が脚を支えてくれるため、骨盤の正しい位置を保ったまま、本来の高さでポーズをキープできます。この「正しい形で止まる」感覚を身体に覚え込ませることができます。
③ 水の抵抗:反動を封じる全方向の抵抗
水中の抵抗は、動かすスピードと面積に応じてあらゆる方向から均等にかかります。地上のように「反動(勢い)」を使って脚を振ることができません。脚の軌道が、水の抵抗を通じてはっきりと皮膚感覚でフィードバックされます。
準備と基本ポジション
最適な水位:腹部付近の深さ(水深1.0〜1.2m程度)が最適です。通っている施設の深さに合わせて、無理のない範囲で行ってください。
支え方の基準
準備運動の中に、足首をまわす運動(左右各10回ほど)を加えてください。
基本ポジション
プールのウォーキングコースを主に利用し、他の利用者の妨げにならない端の位置で行います。


- 両手バー:コースの縁を両手で軽くつかむ。アライメントを最優先する種目向け。
- 片手バー:縁を片手で持ち、もう一方の手は水中に下ろす。
- 手を離す:両手を水中に下ろし、水の揺れに対して体幹でバランスを取る。
水中バレエトレーニング:8種目
所要時間の目安は15分です。
| 種目 | ダンサー | 美脚・ボディメイク | 支え方 | 主な目的 |
|---|---|---|---|---|
| ① デガジェ | ◯ | ◯ | 両手バー | 内ももの引き締めと股関節の開き |
| ② 股関節回旋 | ◯ | – | 両手バー | 骨盤を揺らさず脚の付け根を動かす |
| ③ ロン・ド・ジャンブ | ◯ | – | 片手バー | 腰を固定したまま脚をきれいに回す |
| ④ フォンデュ | ◯ | – | 片手バー | 膝とつま先の向きをそろえて曲げ伸ばし |
| ⑤ ルルベパッセ | ◯ | – | 手を離す | 水の揺れに負けない体幹バランス |
| ⑥ 高いアラベスクキープ | ◯ | – | 両手バー | 後ろに脚を高くキープする感覚を身体に覚えさせる |
| ⑦ アラベスクキープ(45°) | ◯ | – | 手を離す | お尻と背筋で姿勢を支える力を鍛える |
| ⑧ 片足ルルベ | ◯ | ◯ | 両手バー | 親指側でしっかり床を押す足首の安定づくり |
※ ダンス目的ではなく脚のラインを整えたい方は、「① デガジェ」と「⑧ 片足ルルベ」から始めてみてください。
① デガジェ(足首フレックス版)
・動画との違い(足首をフレックスにする理由)
参考動画ではつま先を伸ばして(ポイント)行っていますが、今回の水中トレーニングでは足首を直角に曲げた状態(フレックス)のまま動かします。これには2つのねらいがあります。

1つ目は、動作中にプールの底へ足裏をつかせないためです。軸足で水底をぐっと踏み込むことで腰の位置が少し高くなり、動作する足が少し浮きます。
2つ目は、動かす足の膝裏を伸ばしきるためです。足首をフレックスにしておくことで、動かす脚は緩むことなくまっすぐ伸ばした軌道を保ちます。力強くフレックスをキープし、内ももで足を動かすことで、脚のラインを整えるインナーマッスルに刺激が入ります。
- 開始姿勢:右足を前にした5番ポジション(両手バー)
※ ダンス未経験の方や股関節が硬い方は、前足のかかとを後ろ足の土踏まずあたりに添える下記のような「3番ポジション」、または無理のない浅い重ね方で問題ありません。


- 動作の順番と回数:足首をフレックスに保ち、膝裏をしっかり伸ばしたまま行います。
- 前:10回(最後は右前5番に戻す)
- 横:11回(奇数回出すことで、最後は後ろ5番に入る)
- 後ろ:10回(最後は右後ろ5番に戻す)
- 横:11回(奇数回出すことで、最後は最初の右前5番に戻る)※ 反対の脚も同様に行います。
※ 横へ出す回数を奇数の11回にすることで、前後の足の入れ替えがスムーズになります。
最初は水の抵抗を感じながら、ゆっくりのスピードで動かします。軌道が安定し、内ももを使っている感覚が掴めてきたら、徐々に鋭く素早い動きへ切り替えていきましょう。
② 股関節回旋
- 開始姿勢:かかと同士を合わせた1番ポジション(両手バー)
- 回数目安:左右各10回
-1024x231.png)
動作の手順:
- 軸足(左足)は1番ポジションのまま動かさず、床をしっかりと踏み込みます。
- 動かす脚(右足)を脚の付け根から内側へ回し(内旋)、つま先を正面に向けます。
- 再び脚の付け根から外側へ回し(外旋)、元の1番ポジションへと戻します。
- この内外の回旋を10回繰り返したら、反対の脚も同様に行います。
水中の浮力があるため、地上よりも脚の付け根が引っかからず、スムーズに動かしやすくなります。
【ポイント】
・骨盤を正面で固定する
脚を内側や外側へ回す際、骨盤が一緒につられて左右に回ってしまいがちです。おへそを常にプールの壁(正面)に向けたまま、股関節のソケットの中だけで脚を回す意識を持ちましょう。
・軸足の踏み込みを緩めない
骨盤を正面で固定するために、軸足の足裏全体で床をまっすぐ下に押し続け、膝裏を伸ばした状態をキープします。
③ ロン・ド・ジャンブ(空中で半円を描く)
- 開始姿勢:1番ポジション(片手バー)
- 回数目安:往復で1回とし、左右各5回
動作の手順:
- 片手でプールの縁を持ち、軸足で水底をしっかり踏んで立ちます。
- 動かす脚を、前(ドゥバン)へすっと伸ばします。
- つま先でできるだけ遠くを通るように、前 → 横 → 後ろへと水中で半円を描きます。
- 後ろまで通ったら、そのまま逆回りで後ろ → 横 → 前へと戻します。
- 高く上げる必要はありません。足先を水底から少し浮かせたまま、最初から最後まで同じ高さをキープして5往復行います。反対の脚も同様です。
※参考動画について
動画の脚をまっすぐ保ったまま前・横・後ろへと半円を描く軌道を参考にしてください。つま先を伸ばしていますが、水中では足首をフレックスにして行っても構いません。
【ポイント】
骨盤を正面(水平)で固定することは先ほどと変わらず大事なポイントです。
・イメージはコンパス
脚をコンパスの針のようにピンと伸ばし、一定のスピードで水を感じながら回すことで、脚の付け根まわりのインナーマッスルが強く刺激されます。
④ フォンデュ
- 開始姿勢:5番ポジション(または3番ポジション)(片手バー)
2セット行うのですが、2セット目はルルベが入ります。
- 1セット目(かかとを床につけたまま):前 → 横 → 後ろ → 後ろ → 横 → 前
- 2セット目(足を伸ばす瞬間に軸足をルルベ):前 → 横 → 後ろ → 後ろ → 横 → 前※反対の脚も同様に行います。
動作の手順:
- 沈み込む(フォンデュ):軸足の膝を曲げると同時に、動かす足のつま先を軸足のくるぶし(ク・ド・ピエ)に引き寄せます。
- 同時に伸ばす:軸足の膝を伸ばしながら、動かす脚を斜め前へすっと伸ばし切ります。
- これを「前 → 横 → 後ろ」の順に行い、後ろまで終えたら「後ろ → 横 → 前」の順で折り返します。
- 続いてセット2として、脚を伸ばすタイミングで軸足をルルベ(かかとを上げる)にして同様に行います。
※ 動画では脚を高く上げていますが、水中では低い位置で構いません。「軸足を沈め、伸ばすと同時にかかとを押し上げてルルベにするタイミング」の視覚的なイメージとして参考にしてください。
【ポイント】
・「沈む」「伸ばす」のタイミングを完全に揃える
フォンデュは「溶ける」という意味を持つ動きです。軸足の曲げ伸ばしと動かす脚の曲げ伸ばしがバラバラにならないよう、同じスピードで滑らかに連動させます。
・軸足の膝とつま先の方向を揃える(ニーイン防止)
膝を曲げた際、軸足の膝がつま先より内側に倒れてしまいがちです。水中の浮力がある分、膝関節にかかる負担が減るため、膝のお皿とつま先の向きが綺麗に揃っているかをしっかり確認しながら行いましょう。
・ルルベで浮力を味方につける
後半のルルベでは、水中でかかとを押し上げる際に頭頂部が引き上がる感覚を意識します。水中でバランスを保つことで、足首の安定性と体幹の連動性が高まります。
⑤ ルルベパッセ
- 開始姿勢:5番ポジション(または3番ポジション)
- 支え方:手を離す(慣れるまでは片手バーまたは両手バー)
- キープ目安:左右各30秒〜1分
動作の手順:
- 軸足のかかとを押し上げてつま先立ち(ルルベ)になります。
- もう片方の足先を、軸足の膝の内側(または膝下)に引き寄せてパッセの形をつくります。
- 水中でバランスを保ちながら30秒〜1分キープします。反対側も同様に行います。
手のポジションとバランスの取り方:
- 手の位置:空中でバレエのポジション(アン・ナヴァンなど)にしても構いませんが、水中に手を入れると浮力と水の抵抗を利用しやすくなり、バランスを保ちやすくなります。
- 水中でバランスが崩れそうになったら、手で水をそっと掻くようにバタバタと動かしてバランスを修正してもまったく問題ありません。
【ポイント】
・下腹部を薄くしたまま呼吸を止めない
お腹を薄く引き締める(おへそを背骨へ近づける)ことで、体幹のインナーマッスルの力が自然に入ります。息を止めて身体を固めないよう注意しましょう。お腹の前面だけでなく、背中にも空気を入れる意識で360度立体的に呼吸を繰り返すと、体幹を保ったまま呼吸ができます。
・上半身を固めず、リラックスさせる
バランスを取ろうとして肩や首筋までガチガチに固めてしまうと倒れやすくなります。下腹部だけを安定させ、肩や胸まわりはリラックスさせておきます。
・親指の付け根(母指球)で床を踏む
動画の左側のようにルルベで立ち上がった際、足首が外側に倒れて小指側に体重が逃げてしまう(カマ足になる)ケースが初心者に多く見られます。
まずは親指の付け根(母指球)を特に意識して床をしっかり押すことに意識を向けてください。足首の軸がまっすぐ安定してきたら、本来の正しい押し方である、親指の付け根と小指の付け根を均等に使います。
⑥ 高いアラベスクキープ
- 開始姿勢:両手でプールの縁を持つ(両手バー)
- キープ目安:左右各30秒〜1分
「正しい形で高い位置をキープする感覚」を身体に覚えさせることが目的です。プールの縁を両手でしっかり支え、コントロールしながらキープしましょう。
動作の手順:
- プールの縁を両手でしっかりとつかみます。
- 軸足のかかとを押し上げてルルベ(つま先立ち)になり、もう片方の脚を後方へ高く持ち上げて水面近くでキープします。
- 水位と腰の高さが近い場合は、上げている脚全体を水面に浮かせるようにすると、浮力を最大限に活かすことができます。
- 反対側の脚も同様に行います。
【ポイント】
・軸足もターンアウト
上げている脚だけでなく、軸足もターンアウトさせます。軸足が内股になってしまうと、骨盤が歪んで後ろ脚を支えられません。ただし、無理に足先を横に向けようと180度開く必要はありません。膝のお皿とつま先の方向が自然に揃う、無理のない角度でルルベを行います。
・脚の位置は「5番ポジション(軸足のかかとの真後ろ)」の延長線上
アラベスクは後方へ脚を上げるため、自分の目で位置を確認しにくいポーズです。よくある失敗が、脚が外側(横)へ逃げてしまうことです。水中で両手をつかんでいれば身体が安定するため、振り返って自分の足を目視で確認できます。足先が「5番ポジションの延長線上(軸足のかかとの真後ろ)」に位置しているか確認してみましょう。
・腰を反らせず、下腹部を引き込んで胸を引き上げる
脚を高く上げようとして腰(背中の下部)にグッと力を入れて反らせてしまうと、腰を痛める原因になります。おへそを背骨へ引き寄せるように下腹部を薄く保ち、みぞおちから胸の上部を斜め前上へ引き伸ばす意識を持ちましょう。腰で反るのではなく、お尻の筋肉を使って脚を支えます。
⑦ アラベスクキープ(45°)
- 開始姿勢:5番ポジション(または3番ポジション)
- 支え方:手を離す(慣れるまでは片手バーまたは両手バー)
- キープ目安:左右各1分
先程のアラベスクよりも高さをあえて低くすることでバランスを取りやすくしています。
動作の手順:
- 軸足で床を踏みしめ、もう片方の脚を後方45度(斜め後ろの低い位置)へすっと伸ばして持ち上げます。
- 軸足のかかとを押し上げてルルベ(つま先立ち)になります。
- 姿勢が安定したらプールの縁から手を離し、水中でバランスを保ちながらキープします。
- 反対側の脚も同様に行います。
【ポイント:⑤ ⑥ と同様】
・手の位置
・軸足の無理のないターンアウト
・脚の位置は「5番ポジションの延長線上」
・下腹部を薄くして、腹式呼吸
⑧ 片足ルルベ(カーフレイズ)
- 開始姿勢:両足を揃えてつま先をまっすぐ正面に向けた6番ポジション(両手バー)
- 片足ルルベ(アップ&ダウン):左右各20回
- 両足ルルベ(仕上げ):20回
動作の手順:
- プールの縁を両手で軽く支え、両足を揃えて立ちます。
- 片方の足を床から離し、動かす足のつま先を軸足の足首あたりに軽く添えます(ク・ド・ピエ)。
- 軸足のかかとをしっかりと押し上げてつま先立ち(ルルベ)になり、ゆっくりとかかとを下ろします。これをリズミカルに20回繰り返します。
- 反対の足も同様に20回行い、最後に両足を揃えた状態で20回かかと上下を行って仕上げます。
【ポイント】
・親指の付け根(母指球)で床を押す(足首のねじれ防止)
⑤のルルベパッセと同様に、かかとを持ち上げる際、足首が外側へ逃げて小指側に体重が乗らないようにします。足首を痛めないためにも、親指の付け根(母指球)でまっすぐ水底を真下に押す意識を持ち続けましょう。
・浮力のサポートで「引き上がる感覚」を身体に刷り込む
水の浮力があるため、地上で行うよりも関節に過度な負担をかけず、身体がふわっと引き上がる感覚を掴みやすいです。力任せにふくらはぎを固めるのではなく、リラックスした状態で行います。
・日常の美脚(ヒールの姿勢)にも直結
足裏や足首の深層筋が安定すると、足首がキュッと引き締まるだけでなく、高いヒールを履いた際にもグラつかず、膝が曲がらない美しい立ち姿をキープできるようになります。ダンサーはもちろん、ボディメイクとしても効果が高いです。
おすすめの1冊:水中でも地上でも使える「身体のバイブル」
水中でのトレーニング効果を上げ、地上の動きへ繋げるためには、「正しいフォームと身体の使い方のイメージ」を頭の中に持っておくとプラスに働きます。
初心者から基礎を見直したい経験者までオススメの本がこちらです。
『Miyakoレッスン 吉田都のエッセンス・バレエ・クラス』(吉田都 著)
元英国ロイヤル・バレエ団のプリンシパルである吉田都さんが、バーレッスンの基本ポジションから身体の使い方まで解説しています。僕も所有しています。
難しい技の解説ではなく「力任せに固めず、いかに無駄な力を抜いて美しく立つか」「床をどう踏み、どう引き上げるか」という身体の本質が丁寧に言葉にされている点にあります。
水中トレーニングの前にパラパラと眺めて「今日意識するポジション」を頭にインプットする予習本としても、プールで掴んだ「力みが抜けた感覚」を地上の生活やダンスレッスンで再現するための復習本としても活用できます。
まとめ
8つのステップすべてを最初から完璧にこなす必要はありません。1種目だけでも、プールから上がったときの足の感覚を意識できるはずです。
水中で覚えた「関節に負担をかけず、奥の筋肉を使う感覚」は、地上のスタジオに戻ったときはもちろん、普段の歩き姿や立ち姿の美しさにもそのまま生きてきます。ぜひ、次にプールへ行く機会に試してみてください。
今回の記事は、地上のバーレッスンでおなじみの動きを水中で行うことで、余計な力みを解き放ち、自分の最大限のターンアウトや脚の引き締め効果を引き出すメニューをお届けしました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
効果的なトレーニングや、身体の軸を作るエクササイズなど、筋トレの基礎知識を下記のリンクにまとめています。さらにパフォーマンスを高めたい方は、ぜひ続けてチェックしてください。




.png)


安全に柔軟性をUPする方法.png)