TOEFL の難易度:難しすぎて大学3年の 58%が留年に(TOEIC 比較)
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この記事からわかる3つのこと
・大学生の「58%が留年」したというTOEFLトフル のリアルな難易度がわかる
・TOEFL対策がつらいときに使える「TOEICで乗り切る戦略」
・TOEFLのしくみ(PBT・スコアの出し方・目安)についてスッキリ解説

留学を考えている人が、いつかぶつかる壁……。それが 「TOEFL(トフル)」です。実は、僕も留学準備中にこのTOEFLを経験し、かなりツラかった記憶があります。

今回は、「大学3年生の58%がTOEFLによって留年」の真相を、TOEFLの解説とともに紹介しています。

この記事を書いているのは……

アメリカのダンス学部に行くため TOEFL 80点を取得。帰国後は大学生向けの英語学校で TOEIC や留学向けの指導。TOEIC 905点。

※ 3分ほどで読み終わります。

TOEFLとは?

TOEFL(トフル)は、英語圏の大学・大学院で学ぶためのアカデミック英語力を測るテストです。大学受験英語よりも、講義・課題・ディスカッションに耐えうる総合力が問われます。

様々な受験形式がある中、世界で最も広く使われているのはPC受験のTOEFL iBT:Internet-Based Test(インターネット受験テスト)です。

受験料(2025年時点)

日本ではUS $195(約3万円前後)となっており、決して気軽に受けられる金額ではありません。

最新のテスト形式:TOEFL iBT

現在の iBT は約2時間で、4技能の構成と配点は次のとおり(合計0–120点)。

・Reading:35分/20問/0–30点
・Listening:36分/28問/0–30点
・Speaking:16分/4課題/0–30点
・Writing:29分/2課題/0–30点

近年のアップデート動向

・在宅受験(Home Edition)の改善が2025年5月から段階的に実施。

・2026年1月からは、出題の適応化(adaptive)が広く見直される計画です。

適応型テスト(Adaptive)とは

受験者の解答に合わせて出題の難度を調整し、短時間でも精度の高い測定を狙う方式です(リーディング/リスニングで段階適応〈マルチステージ〉を導入予定)。自分の実力に見合った問題が出やすくなるのがポイント。実装は2026年1月以降を予定。

必要スコアの目安(学部・大学院・MBA)

学校・専攻で差はありますが、留学に必要なスコア目安は次のとおりです。詳細は志望校の要件を必ず参照してください。

進学レベル 目安(iBT)
一般的な学部進学 61 – 80
多くの大学で安心 80 – 90
難関校・人気校 90 – 110+
MBA/競争率高い大学院 100 – 110前後

注意:MBAは100以上が一般的、ハーバードは109点、イエールは101点というスクールガイドも確認できます。

団体向けのTOEFL ITP(旧PBTの後継)

かつてのPBT(Paper-Based Test)は2017年に終了しています。その後継が、ITP(Institutional Testing Program:団体向けテスト)です。

TOEFL ITPは、大学や企業などで英語力を測定する団体向けのペーパーテストで、Listening・Grammar・Readingの3セクションから構成されています。

受験料

受験料は学校や企業によって異なりますが、おおよそ5,000円前後で受験できる手軽さが魅力です。

内容

内容はすべてアカデミックで、留学用のTOEFL iBTとは異なり、学内のクラス分けや研修選抜、英語力評価などに用いられます。

レベルは一般的にLevel 1(140問・約115分)が使用され、Level 2(95問・約70分)は短縮版です。

レベル 総問題数 試験時間 主な特徴
Level 1 140問 約115分 通常版。大学・企業で最も多く利用
Level 2 95問 約70分 短縮版。高校や初級者向け

【Level 1】合計:140問/約115分

・Listening Comprehension(50問):約35分
・Structure and Written Expression(40問):25分
・Reading Comprehension(50問):55分

【Level 2】合計:95問/約70分

・Listening Comprehension(30問):約22分
・Structure and Written Expression(25問):17分
・Reading Comprehension(40問):31分

【Level 1】のスコアは最低点310点、最高点が677点です。

スコア 内容
スコア範囲 310〜677点
満点 677点

各セクション31~68点(Readingのみ67点)が配点範囲となり、3セクションの平均値×10で算出されます。

各セクションのスコア範囲 内容
Listening 31〜68点
Structure & Written Expression 31〜68点
Reading 31〜67点
スコア算出式 (3セクションの合計点 ÷ 3) × 10 = 総合スコア

例:Listening 55点 + Structure 50点 + Reading 60点 = 165点
→ (165点 ÷ 3) × 10 = 550点

進級に立ちはだかったTOEFL

僕の大学は英語にとても力を入れていて、3年に進級するにはTOEFL PBTで最低500点というキツめの条件がありました。

進級要件

TOEFL PBT(リーディング・リスニングのみ):500点

入学直後に初めてTOEFLを受けたとき、あまりに難しくて「これマジ……?」と心が折れたのを今でも覚えています。リスニングのスピードは大学受験の2倍くらい早く感じ、内容は英語の講義みたいで訳が分からない。理系の話題だったり、文学や社会問題だったり多岐にわたります。語彙の幅が広く、リーディングでは全然歯が立たず……。高校英語のレベルとは明らかに格が違う。開始10分で心身ともにやられてしまいました。

リスニングテストはこのような問題です。

授業がハイレベル

大学に入ってすぐ、TOEFL基準に合わせた英語の授業がスタートしましたが、そのレベルの高さたるや……。クラス全体、みんな歯が立たず四苦八苦する状況でした。ただ、僕にとって救いだったのはリスニング。高校時代から好きだったこともあり、唯一そこだけは徐々に伸ばせました。

でも、リーディングの苦手意識から立ち直るのにかなり苦労しました。語彙力の壁は厚く、読解スピードが遅い。自分の文章理解力にイライラする日々が続きました。実際、TOEFLリーディングで苦手意識を抱えた学生の多くは、「語彙力不足」「時間不足」「読解戦略がない」という共通点が浮かび上がるという研究データもあるほどです。

僕もその典型で、夏休みには補講に通って必死に追いつこうと努力しました。補講を開いてくれるだけありがたかったのですが、苦戦は続きます。

進級できない生徒が多すぎてニュースになりました

僕の大学では、2年生から3年生に進級するには、TOEFLで500点を取ることが必須条件でした。これがもう、容赦ない。

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結果、半分以上が進級できず!!!!

進級率が低すぎたため、大学側は「仮進級制度」を急遽導入します。3年の前期中に500点に達すればOKという、希望の光とも思える特別措置でした。

しかし!

仮進級した生徒でも、500点に届かなかった生徒は容赦なく2年に戻りました。その結果、3年生の58%が、この仮進級を取り消されてしまいます……。

しかも、その時に取得した単位まで丸ごと消されるという展開。当時、こんなに留年する大学が他にあるのかという衝撃から、新聞・テレビで取り上げられていました。

救世主:TOEIC

僕もかなり焦りました。でも、最終的には何とか3年に進級できました。

そこには救世主がいました。

それが、「TOEIC」です。

TOEFL 500点と同等とされるTOEICスコアは、600点と言われています。これはETSの研究結果をもとにしていて、TOEFL iBTの約50点がTOEIC 550点あたり、80点台のiBTはTOEIC 785点あたりに相当する目安が示されています。

TOEIC・英検・TOEFL(PBT/iBT)換算表:目安

各試験のレベル感を把握するためのおおよその目安です。(PBTのスコアがITPのスコアの目安です)

TOEIC、英検、TOEFLのスコア換算表

大学では、TOEICを受けた際、スコアが600点以上なら受験料の補助が受けられるという制度がありました。どうにか学生を3年に進ませようと大学側も奔走していました。ですが、TOEFLは年2回であるものの受験料は無料です。しかも大学で受けることができます。一方、TOEICは補助があるものの受験料がかかり、自分で申し込みをしなくてはいけない。そして休日に受験する必要があり、かつTOEIC用の勉強をしなくてはいけない。

そのため、多くの学生がそもそも選択肢に入れていない状況でした。

僕が初めてTOEICを受けたのは2年生の春。1回目はほぼ対策をしていなかったので、600点を超えませんでしたが、550点ほどのスコアでした。そこに手ごたえを感じ、再度挑戦。たしか730点だったと思います。リスニングは400点を超え、英語に対する自信が一気に湧いて、勉強へのやる気が完全に回復しました。

そして、無事進級要件をクリアしました。

TOEICとTOEFL:求められる英語力の違い

僕の大学で求められていたのは、TOEFL PBT 500点、TOEICだと600点前後でした。

日本ではTOEICの存在感は大きいですが、英語圏の大学に行ったら「TOEICスコア?なにそれ」となることもあります。

TOEICはあくまで「ビジネス英語・日常英語の理解度を示す国内向けの基準」であり、リーディング・リスニング・スピーキング・ライティングを網羅するTOEFLとは、そもそも目的が違います。

項目 TOEIC TOEFL
対象スキル 主にビジネスに必要なリスニング・リーディング アカデミックな大学授業を理解・発表できる英語力 (4技能すべて)
難易度 比較的取りやすい(近年は難しくなっている) 語彙も表現もレベルが高く、対策に時間がかかる
信頼性 日本では有用だが、グローバル基準では弱い 世界中の大学で認められており、将来性も◎

TOEFLのスコアが高いと、留学先で授業やディスカッション、レポート実習に強気で挑める自信につながります。

TOEIC600点が取りやすい理由

TOEICはビジネス英語に特化しているため、覚える単語の幅が狭く、文法的な応用力や学術語彙よりずっと取り組みやすいです。リスニングはゆっくり目、文章量も少な目です。

とはいえ、TOEICは過大評価されている部分があるのも事実で、TOEFL500点がTOEIC600点とは思えないのですが、僕にとってはプラスでした。

「いきなりTOEFL」はダメ、絶対!→ 段階的なステップで勝ちにいこう

留学を目指すなら、TOEFLは必須です。でも、すぐにTOEFLの勉強を始めるのはオススメしません。

特に、英語力が中級未満の人は挫折のリスクが高いです。心がポキッと折れないためにも、丁寧なステップアップが必要です。

ステップアップするための勉強法はこちらにまとめています。

話す英語:最強勉強法まとめ(自信・プレゼン力・積極性を身につける)

TOEFLの王道:段階を踏んでTOEFLへ進むスタイル

TOEFLの準備ができたら実際の対策方法です。

準備:いきなりではなく段階的に

まずはTOEFLのテスト構造、時間配分、求められる解答のイメージをつかみましょう。

リーディング、リスニング、スピーキング、ライティングの4技能構成を理解することは、「何に向かって努力するかの戦略」です。

1:公式の学習ツールを活用

実は無料で学習ツールが公開されています。(英語による解説が基本)

  • TOEFL iBT Test Prep Planner「8週間プラン」で主な形式と対策を段階的に学ぶのがベスト。ページには各セクションの練習方法や例題もあります。

  • TOEFL TestReady™:公式の学習ポータルで、演習問題や模試、自分にあった学習メニューを選べます。

2:模試で弱点を発見

定期的に模擬試験を受け、自分の弱点(例:スピーキングの構成、リーディングのキーワード把握など)を客観的に把握しましょう。

3:セクション別戦略で「戦える力」を磨く

  • リーディング:問題の種類を把握し、キーワードに注目しながらタイマー付きで読む練習。

  • Listening/Speaking:ネイティブ講義やニュースを録音して真似する「シャドーイング」や、ノート取りの訓練が効果的です。

  • 総合戦略:公式模試以外にも、英語記事・論文・ポッドキャストに触れて語彙力とリズムを自然にアップするのも◎。

補足説明:CEFRとの対応(国際基準との比較)

CEFR(読み方:セファール)とは、 Common European Framework of Reference for Languages の略で、日本語では「ヨーロッパ言語共通参照枠」と呼ばれます。これは、ヨーロッパ発の言語運用能力を A1(基礎)〜C2(熟練)の6段階で評価する国際的な基準です。

簡単に言うと:

  • A1・A2(基礎的な日常表現が理解できるレベル)

  • B1・B2(ある程度自力で会話や読解ができる中級レベル)

  • C1・C2(高度な文章や議論もこなせる上級・熟達レベル)

ETS(TOEFLを作成している機関)の研究では、TOEFL iBT と CEFR の対応目安は下記のように整理されています。

  • B2 ≒ iBT 72点-94点(中上級)

  • C1 ≒ iBT 95点-113点(高度な大学・大学院レベル)

  • C2 ≒ iBT 114点-120点(ネイティブ上級者)

※ ETSは比較表をそのまま使わないでほしい、と注意喚起しています。最終判断は各大学の公式要件を確認しましょう。

オススメ英語学習法:効率的な「話す英語」習得の設計図

|学習時間の目安|

「話す英語」を目指すには、約200時間の学習が効果的です。特に最初の3ヶ月集中して取り組むと、以降の学習効率がグッと上がります。

効果的な学習配分

インプット:70%(リーディング・リスニング重視。文法は先に習得、単語学習は並行して)
アウトプット:30%(スピーキング・ライティングを徹底)

この比率は言語学習の理論でも推奨されており、理解と表現のバランスをとるうえで効果的です。

|一押し学習法|

最もオススメなのは、ChatGPTを活用した英会話学習法です。手軽に実践できるアウトプットの場をいつでも確保できるのが最大の強みです。詳しくは下記記事をどうぞ

英語上達方法【 Chat GPT で留学体験?】AI 先生の使い方徹底解説

以上、「TOEFLの難しさ」についてでした。どうもありがとうございました。

「話すための英語」に関する勉強法はこちらにまとめています。

話す英語:最強勉強法まとめ(自信・プレゼン力・積極性を身につける)