
この記事からわかる3つのポイント
・ダンスの完コピをするには?
・なぜ、流行りの曲だとうまくいかないのか?
・上達しやすい意外な練習曲とは?
・好きなアーティストのマネをしたいけど、なかなかうまく踊れない。
・同じ動きをしているはずなのに、なんかハマらない。
こんな悩みを持つダンサーは、完コピする曲の時代を少し前に戻すのがオススメです。
単に90年代が懐かしいから紹介するわけではありません。この時代のダンスには、現代のダンサーがさらにレベルアップするための「重要なヒント」が隠されています。
今回は、「懐かしのダンスの完コピで、ダンス力を底上げする方法」についてです。
元劇団四季、テーマパークダンサーで出演回数は5,000回以上。ダンス、ヨガ(RYT200取得)、ピラティス、ジムにも20年ほど通っています。
※ 3分ほどで読み終わります。
シンプルな動きは「リトマス試験紙」になる
現代の振付は、構成が複雑で、移動も多く、感情表現も豊かです。素晴らしいことですが、逆に言えば「雰囲気で乗り切れてしまう」側面もあります。
流行りのダンスをカッコよく踊りたいとき、多くの人がいきなりその振付から練習しがちです。しかし、ここに落とし穴があります。
流行りのダンスは「応用」の「応用」
流行りのダンス(K-POPやJ-POPのダンス)は、基本的にジャズダンスの基礎が元になっています。関係性を図にすると、このようになります。
見ての通り、流行りのダンスはジャズダンスの「応用」の、さらに「応用」です。とても複雑で、難易度が高いのです。
例えば、三代目 J SOUL BROTHERS の『Rat-tat-tat』。「ラタタダンス」として有名で、動き自体はコミカルに見えます。
センターで踊る小林直己さんのセンスの高さ……。
誰でも真似できそうですが、実際にやってみると「なんか違う」「カッコよくならない」と悩む人が続出しました。
これは、基礎という土台がないまま、応用の最先端をやろうとしているためです。基礎がない状態で形だけ真似ても、それはダンスではなく「ただ振付の形をなぞっているだけの、中身のない動き」に見えてしまいます。
基礎力の差が剥き出しになる
そこでオススメなのが、少し時計の針を戻して「90年代のダンス」を踊ることです。併せて、80年代後半や2000年代初頭のポップスもオススメです。
90年代のダンスは動きが非常にシンプルで、ステップ単体の難易度は、そこまで高くありません。しかし、そのせいで逆に「ごまかしが効かない」という現実があります。
「動きがシンプルであればあるほど、基礎力の差が剥き出しになる」のです。
体幹(コア)が抜け、リズムキープが甘い状態で踊ると、それはダンスではなく「気の抜けた動き」に見えてしまいます。
例えば、A★Teensのデビュー曲『Super Trouper』(1999年)。「大丈夫か……?」と思わせるようなダンスを踊るアイドルがいた時代です(※この後ちゃんと成長していくので安心してください)。
少し単純に感じたり、少しダサく思えることもあります。ですが、キャッチーな曲にポップな踊りで、とても楽しいダンスです。しかも、基礎的な動きを覚えることができます。
なにより、基礎やセンスがあると、この単純な動きから極上のグルーヴが生まれます。つまり、90年代のシンプルな振付は、自分のダンスの実力を測る「リトマス試験紙(踏み絵)」として機能するのです。
時代を問わない「普遍的なスキル」を磨く
なぜダサくなってしまうのか。それは「アイソレーション」と「リズム」が嚙み合っていないからです。
アイソレーションを準備運動で終わらせていませんか?
首や胸を単体で動かす練習は、誰もがやります。しかし、振付の中で、速いBPMに合わせて瞬時にそのパーツを動かせるでしょうか。準備運動では動くのに、踊りだすと全身が連動して固まってしまう。これは非常によくあるケースです。
また、「シンコペーション(裏拍)」の体感も重要です。これはHIPHOPだから、JAZZだから、というジャンルの話ではありません。僕が見てきた「上手いダンサー」は、時代やジャンルを問わず、例外なく裏拍の感じ方が敏感です。
これらを養うために、ビートの強い90年代の楽曲は最適な教材です。
実践:スパイス・ガールズ『STOP』
論より証拠。一つ動画を見てみましょう。泣く子も黙るポップ界のクイーン、スパイス・ガールズ『STOP』(1997年)。ダンスだけを撮影したバージョンの動画です。
非常にシンプルですが、めちゃくちゃカッコいい。この動画には、ジャズダンス上達に必要な3つのポイントが詰まっています。
① イントロの「立ち姿」と「リズム」
注目してほしいのは、ただその場でリズムを取っている姿です。かなり高いヒールを履いていますが、全員の体幹(コア)がブレずに安定しています。リズムとカッコよさが滲み出ています。
② 「点」と「線」の解像度
サビの「STOP」の手を開くポーズ。ここで手の動きがピタリと止まりつつ、身体はリズムをキープしています。最近のジャズダンスは流れるような「線」の動きが多いですが、90sのように「点(アクセント)」を意識することで、ダンスにメリハリと立体感が生まれます。
③ アイソレーションの実戦活用
手は「点」で止まっていますが、腰はずっとグルーヴ(揺れ)を続けています。上半身は固定し、下半身はリズムを刻む。この分離(アイソレーション)こそが、子供っぽく見えないコツです。
こちらは振付師による解説動画です。左右はあまり気にせずマネしてみてください。
バラバラなのに揃っている?「個性」の正体
この時代のダンスはステップが単純な分、表現力・演技力がポイントになってきます。
スパイス・ガールズの動画を見て、「全員が全く同じ動き」をしているように見えましたか?
実は、ダンスのレベルも、身体の使い方もバラバラです。手足の角度も完璧に揃っているわけではありません。
しかし、「グループとしての統一感」は損なわれていません。
・気持ちが合えば、ニュアンスは違っていい
ジャズダンスにおいて「揃える(ユニゾン)」ことは重要です。しかし、それは「ロボットのように角度を合わせる」ことだけが正解ではありません。
スパイス・ガールズのように、「曲に対するアプローチ(気持ち)」や「リズムの感じ方」さえ共有できていれば、それぞれのセンスやニュアンスの違いは、むしろ「味」になります。
・基礎があること
・音楽(リズム)を共有していること
この2つがあれば、個性がバラバラでも、極上のユニゾンが生まれます。彼女たちの中から自分の好きなタイプを見つけてマネしてみてください。
「自分ならどう踊るか」という個性が、あなたのダンスを一段階上へ引き上げてくれるはずです。
振付師の「世代」と「目的」の違い
少し専門的な話をすると、振付の目的が時代によって異なります。
・第1世代(90s頃):「歌いながら踊るスター」のための振付
歌うために体幹を安定させる必要があり、「ポーズの強さ」や「シルエット」が重視されます。
・第2世代(現在):「ダンススキルを見せる」ための振付
構成が複雑で、音取りも細かい「特化型」の振付です。
現代の振付(第2世代)は天才的ですが、基礎がないままここから入ると、土台となる「ポーズの強さ」が育ちにくくなってしまいます。第1世代の振付で「個」の強さを磨くことは、結果として現代のダンスを踊るための基礎体力になります。
見えない部分は自分で作ってみる
Music Video では全身をずっと映しているわけではなく、カット割りにより、全部のダンスを見られないことも多々あります。
そんなときは「自分の想像力」で振付を埋めてみましょう。「自分ならこう動くかな?」と考えること自体が、表現力を上げる最高のトレーニングになります。
レジェンド:マイケル・ジャクソンへの道
最後に、ダンスの神様、マイケル・ジャクソンについて触れておきます。
1982年に発売された『Thriller』。 年代で言えば80年代ですが、これは「基礎」ではありません。ジャズダンスの「応用の応用」、最高難易度のダンスです。
マイケルのダンスは間違いなくジャズダンスから派生していますが、本人のセンスが高すぎて、マネできてもそのニュアンス(点と線の融合)を出すのは至難の業です。
しかし、先ほど紹介したスパイス・ガールズのような「シンプルな動き」で、点(ストップ)やリズムを磨いていけば、いつかマイケルのような表現に近づけると信じています。
まとめ
・流行りのダンス: 複雑で難しい。基礎がないと形だけになる。
・90sポップス: シンプルだからこそ、基礎力が試される「リトマス試験紙」。
・練習のポイント: 「点(ポーズ)」と「線(流れ)」を意識して、スパイス・ガールズを踊ってみよう。
実は、スパイス・ガールズ以外にも、ダンス上達のヒントが詰まった「教科書のようなアーティスト」はまだまだ沢山います。
今後このブログでは、そんな「基礎力アップに効くおすすめのアーティスト」をシリーズとして順次紹介していく予定です。
懐かしい曲に合わせて楽しく踊るだけで、実は最強の基礎トレーニングになります。 ぜひ、日々の練習に取り入れてみてください。
また、ダンスをカッコよく踊るためには、ベースとなる身体作りも欠かせません。ダンサー体型を目指すトレーニング情報はこちらにまとめています。




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