ヨガの基本姿勢(呼吸):正しい姿勢をつくる方法【360°呼吸】
jazz

ヨガの基本姿勢とは?
呼吸とは?
チャイルドポーズとは?

ヨガ未経験者に教える際、一番大事にするのが「基本の姿勢づくり」です。

基本姿勢を覚えると、その後の成長スピードがアップします。

それだけでなく、ケガ予防にもなります。

今回紹介するのは、呼吸です。

おなかを引き締めたまま腹式呼吸ができるようになると、ポーズがかなり安定します。

ポイントは、360°おなかを使うことです。

記事を書いているのは…

元劇団四季、テーマパークダンサー。ヨガ歴 20年以上でRYT200取得済。

kazu

今回は「呼吸の基本:チャイルドポーズ」についてです。

※ 3分ほどで読み終わります。

ヨガの姿勢を作る

基本姿勢をつくる 3ステップ

ステップ 1:骨盤の調整
ステップ 2:胸椎(きょうつい)の調整
ステップ 3:360°呼吸

今回は、ステップ 3「 360°呼吸」の解説です。

ステップ 1に関してはこちらです。

ヨガの基本姿勢・正しい姿勢をつくる方法:タダ・アーサナ(山のポーズ)

ステップ 2 に関してはこちらです。

ヨガの基本姿勢(胸椎の調整)正しい姿勢をつくる方法:ベビーコブラのポーズ

呼吸の目標

目標は、横隔膜をフルに動かすことです。

横隔膜とは

360°呼吸における上から見た腹部の断面図

ポイント

・口呼吸はNG(鼻呼吸)
・横隔膜を十分に動かす

呼吸の役割

呼吸の役割は、空気中から酸素を取り入れ、余分な二酸化炭素を排出することです。

酸素は細胞内にあるミトコンドリアのエネルギー源(ATP:アデノシン3リン酸)となります。

鼻呼吸

口呼吸は鼻呼吸に比べ、呼吸量が多くなります。

呼吸が乱れたり、血管が収縮されるので、心臓に負担がかかりやすくなります。

鼻呼吸の効果

一方、鼻呼吸は口呼吸に比べ、50%ほど呼吸量が減ります。

呼吸のリズムが取りやすく、呼吸に関わる筋肉の負荷が軽減されます。

二酸化炭素

二酸化炭素の排出量が減り、血中の二酸化炭素濃度が適正に保たれます。

血液中の二酸化炭素濃度が低下すると、各臓器に酸素を補給する動脈が収縮し、細くなります。

すると、酸素の循環が悪くなります。

一酸化窒素(ちっそ)

鼻から空気を吸うと、鼻腔や副鼻腔から微量の一酸化窒素が生成され肺に運ばれます。

肺の血管が拡張し、酸素の吸収能力がアップ、代謝が良くなります。

口で息をしていると一酸化窒素は生成されません。

呼吸のコントロールと深呼吸

ストレスを感じているとき、疲れているとき、深呼吸にはリラックス効果があります。

呼吸をコントロールすることで自律神経の調整につながります。

自律神経は自分の意志で動かすことはできません。ですが、ある程度呼吸によってコントロールできます。

呼吸の特徴

通常の呼吸:活動的に(交感神経が優位)
吐く時間 > 吸う時間:リラックス(副交感神経が優位)

吐く時間を、吸う時間の何倍にも伸ばすと、副交感神経を優位にすることができます。

しかし、やりすぎには注意です。

体内の二酸化炭素濃度が低下したり、体内で分解される酸素から発生する活性酸素で細胞を傷つけてしまいます。

空気の最適化

鼻腔内には、温度や湿度を調節する構造があります。

体内に取り入れた空気を適切な温度や湿度に調整してから肺に送り込むことができます。

鼻毛や粘膜が、空気中の塵や花粉、細菌を取り除いて、清潔な空気を体内に取り入れることができます。

人間と動物の違い

犬が口を開けてハアハアする呼吸を「パンティング」と呼びます。

犬のパンディングは口呼吸ではない

体内の熱を逃がし、体温調節をしています。

口呼吸の一部ですが、人間の「口呼吸」とは役割が異なります。

実は人間以外の動物は基本的に鼻呼吸です。

人間は言葉を話すようになった為、口でも呼吸ができるようになったと言われます。

人間も動物と同様、鼻呼吸の方がメリットは多いです。

呼吸の筋肉

呼吸は主に 2つの筋肉「肋間ろっかん筋」「横隔膜」を使います。

肋間筋、横隔膜、腹腔とは

肋間筋を使い、胸郭きょうかくを前後左右に動かします。

すると横隔膜をフルで動かすことができます。

このとき腹腔をできるだけ小さくキープすると内臓が引き上がります。

3種類の呼吸

呼吸は大きく 3種類に分けることができます。

1:胸式呼吸(胸を膨らませる)
2:腹式呼吸(おなかを膨らませる)
3:完全呼吸(胸、おなか、鎖骨・肩周辺まで)

胸式呼吸:鍛える呼吸

力を使うポーズと相性が良いです。

胸式呼吸では胸郭を動かす

胸郭を広げて空気を吸い込む呼吸法で、手早く酸素を取り込むことができます。

交感神経が優位になり、身体が活発になります。

おなかを引き締めたまま胸郭を前後左右に広げると、体幹回りの筋肉を鍛えることができます。

腹式呼吸:深い呼吸

胸式呼吸に比べ、横隔膜が動きます。肺がより広がるので、酸素や栄養素の取り込みが深くなります。

腹式呼吸とは

横隔膜が動くと筋肉や器官が強化され、呼吸の質を高めることができます。

自律神経を整え、心拍数を安定させる効果があります。

座位や横になるポーズとの相性がいいです。

完全呼吸

胸式呼吸、腹式呼吸に加え、鎖骨まで範囲を広げる呼吸です。

完全呼吸とは

肺活量がかなり増えます。

方法:一息で行います

1:鼻から息を吸い、腹式呼吸でお腹を膨らます
2:胸式呼吸で胸を膨らませ肋骨を広げる
3:鎖骨を膨らませ胸を上げる

ポーズを取る前や、瞑想の前に行うと、集中力が高まり、心身がリラックスします。

360°呼吸:ここから本編

体幹部に力が入りやすくなるのが、腹式呼吸です。

ただ、腹式呼吸でおなかの前面だけを動かしてしまうと身体のバランスが崩れやすくなってしまいます。

それを解消するのが、360°呼吸です。

前面だけでなく、脇腹、腰まで空気を入れる方法です。

360°呼吸における上から見た腹部の断面図

このようにおなかを全方向に膨らませていきます。

体幹部に力を入れるには

姿勢を正しく安定させるために、体幹の筋肉を使います。

中でも重要なのが、この 4部位です。

多裂筋、腹横筋、横隔膜、骨盤底筋群でコルセット状態となり体幹が引き締まる

多裂筋  :背骨につくインナーマッスル
腹横筋  :深層にあり内臓全体を覆うインナーマッスル
横隔膜  :呼吸で上下する
骨盤底筋群:内臓を支える

同時に働くと、体幹を支えるコルセットのような働きをします。コルセットとは、胸の下から腰までを締めつけ、身体の線を細く見せる補正用下着のことです。

ぽっこりおなかの原因である内臓下垂。体幹を引き締めると、下腹部に落ちていた内臓が正しい位置に戻ります。

また、体幹が安定すると手足の自由度が増すため、ストレッチの効果が高まります。

方法

ここから 360°呼吸について具体的に解説していきます。

1:舌のポジションを整える
2:横隔膜を動かす
3:腹圧を入れる

STEP1:舌のポジションを整える

まずは舌のポジションの確認です。

舌のポジションを整える

・舌を上歯の内側、歯茎に楽にくっつける
・上の歯と下の歯はくっつけず、少し空間をあける
・歯を食いしばらない

STEP2:横隔膜を動かす

横隔膜を動かすためには腹腔を膨らませる必要があります。

肋間筋、横隔膜、腹腔とは

おなかの前面を動かす

まず、おなかの前面を動かす練習です。

鼻呼吸で行います。

腹式呼吸の練習方法

仰向けになり、おなかに手を置きます。

・息を吸うときに、おなかを膨らませる
・息を吐くときに、おなかをへこませる

背中で呼吸:バーラ・アーサナ(チャイルド・ポーズ)

続いて、脇腹・背中を動かす練習です。

ヨガのポーズ「チャイルド・ポーズ」を活用します。

チャイルドポーズとは。軽減ポーズとは

バーラ・アーサナ( Balasana:サンスクリット語 )

Bala:子供
asna:ポーズ
英語「 child’s pose 」:子供のポーズ
バーラーサナとも発音

ヨガでは休憩のときに行うポーズです。

・正座になり、足の親指を合わせ(重ねない)、ヒザは肩幅に
・胴体を股関節から前屈させ、おなかを太ももに載せる
・腕を前方に伸ばす(軽減ポーズ:足の横に腕を下ろす)
・おでこをマットにつけリラックス

チャイルド・ポーズはおなかを圧迫した状態で呼吸を行います。

結果、背中・脇腹に呼吸が入っていきます。

この状態で背中・脇腹を動かせるようになったら、立位の状態で 360°動かせるようにします。

360°呼吸における上から見た腹部の断面図

必ずできるようになるので、順を追って呼吸を確認していきましょう。

STEP3:体幹を入れたまま 360°膨らませる

最後のステップです。

骨盤周辺の下腹部を薄くキープすると、体幹に力を入れたまま腹式呼吸ができます。

薄くキープする部位を「丹田たんでん」と呼びます。

丹田周辺は薄いまま腹式呼吸をすると体幹に力が入る

丹田

へそから指4本(手の人差し指~小指)2.5〜5cmほど下の骨盤の中心

丹田の位置はおへそから指4本下

腰の前側に手を触れることができる骨の突起があります。ここが丹田の位置の目安です。

位置は個人差があるため、丹田を点として意識するのではなく、下腹部周辺として意識した方がわかりやすいです。

引き締めるコツ

腹筋を引き締めることで体幹が効果を発揮し正しい姿勢に

丹田に向かって腹斜筋ふくしゃきんを斜め下に引き締めます。

腹斜筋

横隔膜が十分に動いていれば、長い息にする必要はありません。

すべての息を吐く必要も、息を思いっきり吸う必要もありません。

力いっぱいではなく、引き締めていきます。

呼吸のトレーニング

長く息が続くようになると、呼吸をコントロールしやすくなります。

ヨガでは様々な呼吸法がありますが、クンバカ呼吸法についてです。

クンバカ呼吸法

息を「吸う」「止める」「吐く」という呼吸法

まずはそれぞれ 5秒間ずつです。

・5秒吸う
・5秒止める
・5秒吐く

繰り返します

慣れてきたら秒数を増やしていきます。

息を止めることで自律神経のバランスが整い、集中力が上がります。

舌のエクササイズ

口を閉じたままベロを一周させます。

舌先をできるだけ大きく一定のペースで回していきます。

右に10周
左に10周

最初はかなり疲れると思います。

ぜひ毎日やってみてください。

以上、呼吸に関してでした。

ヨガを楽しむ

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kazu

今回は「呼吸の基本:チャイルドポーズ」についてでした。
どうもありがとうございました。

ヨガの情報はこちらにまとめているので、ぜひご覧ください。