ジャズダンスとは| 定義と進化:歴史と現代ダンスシーンの基礎知識
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ジャズダンスとは?
特徴は?
ダンスが上手くなる?

ジャズダンスは、一つの固定されたスタイルではなく、時代ごとの流行や文化、そして多種多様なダンス要素が融合し発展した、ダイナミックで自由な表現形式です。

今回は、ジャズダンスの誕生やその進化、現代のエンターテインメントシーンへの影響、さらに「なぜ今ジャズダンスなのか?」について詳しく解説します。

記事を書いているのは……

元劇団四季、テーマパークダンサーで出演回数は5,000回以上。ダンス、ヨガ(RYT200取得)、ピラティス、ジムにも20年ほど通っています。

※ 3分ほどで読み終わります。

ジャズダンスの誕生|1830年代〜1917年

ジャズという言葉が初めて登場したのは1830年代とされ、当初は「Jass」とつづられていました。足のリズム、手のリズム、歌のリズムという3つの要素を特徴とし、アメリカの多様な音楽文化の中で徐々に形を成していきました。1917年、オリジナル・ディキシーランド・ジャズ・バンドが「Jazz」という表記を使い始めたことで、ジャズダンスも正式なジャンルとして認知されるようになりました。

  • ジャズダンスの3要素:足のリズム・手のリズム・音のリズム

ジャズダンスのイメージ

タキシードを着たパリっとしたスタイル。ジュディ・ガーランド主演の『雲流るるはてに/雲晴れるまで』(1946年)を紹介します。

クラシックなジャズダンスです。この完成されたスタイルがジャズダンスのイメージとして長年親しまれています。ですが、ジャズダンスの定義はこれだけでは収まりません。

多様なダンス要素の吸収

ジャズダンスは、その時代に流行したダンスやパフォーマンスの要素を取り入れて進化しています。

  • 時代の変化に柔軟に対応:
    新たに人気となったダンスがジャズダンスの枠に組み込まれます。時にジャズダンスの枠から外れると新たなジャンルへ変化します。
  • 表現の自由:
    ジャズダンスは、ダンサーが自分の感性や個性を自由に表現でき、定義にとらわれない柔軟なスタイルです。

ヒップホップとの関係

実は、ヒップホップはもともとジャズダンスの中に含まれていたと考えられていて、僕もこの説を支持しています。ヒップホップとして独自のスタイルが確立されるにつれ、ジャズダンスの枠組みからハミ出てしまいます。

  • ジャズヒップホップ:
    一方で、ジャズダンスの流れをみつつもヒップホップのエッセンスを取り入れたスタイルは「ジャズヒップホップ」と呼ばれ、逆にヒップホップの要素が強い場合は「ヒップホップジャズ」と表現されます。

現代のダンスシーンとジャズダンス

さらに、現代のエンターテインメントシーンにおいてもジャズダンスが影響しています。

  • 日本のアイドルダンス:
    女性アイドルだけでなく、男性アイドルのパフォーマンスにも、ジャズダンスの自由な表現や動きが取り入れられています。
  • K-POP・LDH:
    世界的に人気のK-POPや、LDHなどの日本のダンスシーンで見られるパフォーマンスも、ジャズダンスの原理に基づいています。
  • ミュージックビデオのダンス:
    よく目にするミュージックビデオのダンスも、ジャンルの垣根を超えてジャズダンスの影響を受け、自由な表現と創造性が光ります。

なぜ今、ジャズダンスなのか?

現代のダンスシーンをたどると、その根底にジャズダンスのエッセンスが色濃く残っていることがわかります。

  • 進化系としてのジャズダンス:
    単なる基本形のジャズダンスではなく、ジャズダンスを学んだ人々がさらに発展させた進化系の動きが、現代の多彩なダンススタイルに受け継がれています。
  • 学ぶことで踊りが向上:
    ジャズダンスの基本を少し学ぶだけで、リズム感や表現力が飛躍的に向上し、どんなジャンルのダンスにも応用できる土台が築けます。
  • 時代とともに進化する自由な表現:
    ジャズダンスは常に新しい要素を取り入れながら進化し続けるため、現代の流行に敏感なダンサーにとって、学ぶ価値が非常に高いです。

ジャズダンス上達の秘訣:技術力と表現力のバランス

ジャズダンスの上達には、技術力表現力の2点が不可欠です。

ミュージカルドラマ『Glee』シーズン4 第1話|ケイト・ハドソンによるLady Gaga “Americano”と、Jennifer Lopez Feat. Pitbull “Dance Again”のマッシュアップです。

オススメです。

続いて映画『バーレスク』|「Show Me How You Birlesque」。

こちらもオススメです。

どちらもダンスを見るだけでなんとなく内容が伝わると思います。ジャズダンスを学ぶことは、どんなダンスジャンルにおいても基盤となる「技術力」と「表現力」を磨く絶好の機会となります。

  • 技術力
    ヒップホップが細分化していった背景には、個々のテクニックを極めるという側面があります。しかし、ジャズダンスの場合、技術だけではありません。それが表現力です。
  • 表現力
    ストーリーや音楽の歌詞を表現できるかが重視なポイントです。踊りが得意でない俳優でも、表現力が高ければ技術力を超えて素晴らしいダンスと評価されることが多いです。演劇との相性がかなり良いダンスです。
  • 実例:
    アイドルダンスは技術力よりも表現力が重視され、日々「自分をどう可愛く魅せるか」「曲に合わせてどれだけ魅力的に見えるか」を研究しています。先ほどのケイト・ハドソンもダンスの訓練を受けているものの演技力の強いダンスを披露し、魅せ方の上手さが際立っています。一方、LDHグループのように、ボーカルとダンスを分け、ダンサーが技術力を極めるパターンも存在します。これらの2つのアプローチを融合したのが、今や世界を席巻しているK-popの魅力です。K-popの人気の背景には、技術と表現の両面を高いレベルで追求している点があると考えられます。

ジャズダンスの定義

ジャズダンスは、固定された定義にとらわれるものではなく、時代の流れや文化の交錯を反映する生きた表現です。

  • 多様性の受容:
    ダンサー自身がその時々の感情や個性を存分に表現できる自由なジャンルです。
  • 境界線の曖昧さ:
    「ジャズダンス」と「ヒップホップダンス」をはじめとする他ジャンルのダンスの境界は必ずしも明確ではなく、どちらも相互に影響しあいながら進化しています。
  • 創造的な融合:
    古典的なジャズのリズムとエネルギーをベースにしながら、現代のストリートダンス、アイドルダンス、コンテンポラリーダンスなどの要素も吸収し、進化し続けています。

まとめ

ジャズダンスは、1830年代に「Jass」としてそのルーツを持ち、1917年に正式なジャンルとして確立されました。その後、アフリカンダンスやジッグダンス、ヒップホップ、そして現代の日本のアイドルダンス、K-pop、LDHのダンス、ミュージックビデオのダンスなど、多様な表現と融合を経て進化してきました。

この自由な表現と多様性こそが、ジャズダンスの大きな魅力であり、今後も新たな可能性を切り拓く原動力となるでしょう。定義に固執せず、あなた自身の感性で自由に踊り、新しい表現を追求してみてください。

さらに詳しい【ジャズダンスの歴史】については、こちらのページもご覧ください。

ジャズダンスの歴史:深堀り徹底解説