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「オネーギン」はどんなストーリー?
どんな作品?
初心者でも楽しめる?

ロシアの文学作品である「オネーギン」。なんとなく難しそうに思うかもしれません。僕も、すごく難しそうな印象がありました。

ですが、初めて見た時、そんな気持ちが吹っ飛んでしまいました。50年以上前につくられた作品なのに、現在も上演されつづけている理由が理解できました。

記事を書いているのは…

元劇団四季、テーマパークダンサー。年間100公演の舞台鑑賞記録あり。

kazu

今回は初心者でも楽しめる「オネーギン」の作品解説です。

※5分ほどで読み終わる記事です。

クランコ版バレエ「オネーギン」あらすじと見どころを完全解説

女性ダンサーが踊りたい役

「オネーギン」は男性主役の名前です。ですが、「オネーギン」は女性主役のタチヤーナの視点で物語が進んでいきます。

タチヤーナの成長物語

主人公の「タチヤーナ」は、第1幕では恋に恋する少女、第2幕では恋のツラい部分を経験し、そして第3幕では分別ある大人の女性へと成長をとげます。

「オネーギン」は物語バレエとよばれ、演技力が必要とされる作品です。中でも、オネーギンとタチヤーナが一緒に踊る第1幕の「鏡のパ・ド・ドゥ」と第3幕の「手紙のパ・ド・ドゥ」は非常に有名です。ダンサーが人生をかけて演じるような役となっています。

演劇的で隙のない作品

「オネーギン」は飽きる部分がほとんどないと思います。スピード感があって、主役から群舞まで生き生きしています。

初演:1965年4月13日

ドイツ:シュツットガルト・バレエ団(シュトゥットガルト州立劇場)

原作:アレクサンドル・プーシキン
振付:ジョン・クランコ
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
編曲:クルト=ハインツ・シュトルツェ
装置・衣裳:ユルゲン・ローゼ

1967年に一度改定されていますが、それ以降、舞台装置、衣装、振付にいたるまで何も変わっていない作品です。今でも当時と同じ作品をそのまま見ることができます。

登場人物

主要なキャラクター

オネーギン:田舎をバカにする貴族
タチヤーナ:世間知らずの貴族の娘

レンスキー:オネーギンの友人
オリガ:タチヤーナの姉、レンスキーの恋人
ラーリナ夫人:未亡人、タチヤーナとオリガの母
グレーミン公爵:タチヤーナの夫

メインキャスト以外のダンサーも、オネーギンでは重要な登場人物です。オネーギンとタチヤーナの踊りと、群舞の踊りにメリハリがあって飽きにくい作りになっています。

上演時間

第1幕:45分
第2幕:25分
第3幕:25分

休憩をはさんでも2時間ほどのため、バレエとしてはコンパクトな作品です。短く内容がつまっているので、スピード感があり、あっという間の2時間だと思います。

あらすじ

1820年代のロシア。

都会育ちの洗練されたオネーギン。オネーギンは親友レンスキーとともに田舎にやってくる。この地にはレンスキーの恋人オリガが住んでいる。地主の娘であるオリガにはタチヤーナという本が大好きで内気な妹がいる。タチヤーナは洗練されたオネーギンを一目見ただけで恋に落ちてしまう。恋文をしたためオネーギンに渡すタチヤーナ。だが、恋になれているオネーギンにとってタチヤーナの恋心はとても幼く、うっとうしいものだった。

オネーギンはタチヤーナからもらった手紙を目の前で破り捨てる。そして退屈しのぎにオリガにちょっかいを出す。それに激怒するレンスキー。軽いケンカだったはずが決闘にまで発展してしまう。後に引けなくなったふたりは、銃でお互いを打ち合い、レンスキーが死んでしまう。オネーギンにとってもツラい体験で、失意のうちに去っていくのだった。

6年後、オネーギンが故郷のサンクトペテルブルクに戻ってくる。社交界から距離を置いていたが、久々にパーティーに参加することになる。そこで侯爵夫人となったタチヤーナと偶然再会する。洗練されたタチヤーナを見て、オネーギンの恋心が一気に燃え上がる。揺さぶられながらも人妻としての常識を失わないタチヤーナ。タチヤーナはかつてのオネーギンのように、オネーギンからの手紙をきっぱりと破り捨て去っていくのだった。


(シュツットガルト・バレエ団より。オネーギン:フリーデマン・フォーゲル、タチヤーナ:アリシア・アマトリアン)

レイフ・ファインズとリヴ・タイラーによる映画です。キャストがハマっているのでバレエ版の予習にぴったりです。

原作:プーシキン

ロシアを代表する文豪プーシキン(1799-1836)の代表作が『オネーギン』です。ロシアのシェイクスピアとも言われる作家です。中流貴族出身のプーシキンは首都サンクトペテルブルクで楽しく過ごしていました。しかし、リベラルな詩を書いたことで首都を追放されてしまいます。中部ロシアの寂しい村で数年過ごします。この時期に着想を得て、8年がかりで書かれた小説が『オネーギン』です。

首都から離れたことで、自分自身を再度見つめる時間をつくったプーシキン。生きるということについて深く考え、その考えが反映されたのが『オネーギン』です。プーシキン自身のことも反映されているのが『オネーギン』という作品です。

原作本も予習にオススメです。

ジョン・クランコの傑作

振付のジョン・クランコにインスピレーションを与えていたダンサーが、マリシア・ハイデです。「オネーギン」はマリシア・ハイデのために創られました。マリシア・ハイデは、ジョン・クランコの死後シュツットガルト・バレエ団の芸術監督を引き継ぎいでいます。

世界中のバレエ団が「オネーギン」の上演権を持っていて、日本では東京バレエ団が上演権を持っています。

 大人向けバレエ

僕は、十数年前に観た時は「オネーギン!なんてダメな男なんだ!」と思っていました。歳を重ね、何度も見るうちに、だいぶ理解できるようになりました。

kazu

そういう時もあるよね・・・。

さすがにオネーギンほど取り返しがつかなくなることはないですが、自分本位になってしまうのは、かなり理解できます。誰しもとががっている時期はあるし、後悔していることもあります。そして、忘れられない人。そんな苦い経験がある人ほど心に刺さるバレエです。

オネーギンのオススメDVD

先ほど紹介した映像のDVD版です。本家シュツットガルト・バレエ団による「オネーギン」。アリシア・アマトリアンとフリーデマン・フォーゲル主演です。ふたりとも何度も何度も踊っている役です。

さらに詳しい見どころポイントはこちらをどうぞ。

kazu

2時間の中で、ひとつの人生を語り切る「オネーギン」。素晴らしい作品なのでぜひチェックしてみてください。
ありがとうございました。