漫画『ワンダンス』ダンス上達のヒント|キャラ別分析&練習のコツ
jazz

この記事からわかる3つのポイント
・漫画『ワンダンス』について
・各キャラクターの特徴について
・キャラ別の動きを分析し、ダンス上達のコツがわかる

静止画で「踊り」を伝えることはできるのか……。

『ワンダンス』はこの難題に真正面から挑み、見事に成功しているダンス漫画です。

今回は、ダンス習得を目指す人にとっても情報の宝庫である漫画『ワンダンス』の魅力を紹介します。特に、「ダンス上達に役立つ観点」を深掘りしています。

記事を書いているのは……

元劇団四季、テーマパークダンサーで出演回数は5,000回以上。ダンス、ヨガ(RYT200取得)、ピラティス、ジムにも20年ほど通っています。

※ 3分ほどで読み終わります。

あらすじ

『ワンダンス』の主人公である小谷花木(こたに かぼく/通称カボ)。中学時代、体育の授業でダンスに苦手意識を持ってしまった青年です。吃音症(きつおんしょう)を抱えており、言葉で自分をうまく表現することに戸惑いがあります。

一凛高校に入学してすぐ、校内でダンスを踊っている湾田光莉(わんだ ひかり/ワンダ)の姿を偶然見かけ、強く惹かれます。ワンダも人前で話すことが得意でない分、ダンスによって自己表現することに価値を見出しています。

カボはしゃべるのではなく、音楽を身体で表現することに魅力を感じ、ダンス部に入部。未経験のカボですが、音を感じるセンスと、リズムを理解しようとする意志など、潜在的な素質を持っています。ダンス部の部長・宮尾恩(みやお おん/おんちゃん)や厳島伊折(いつくしま いおり)ら先輩の指導、ライバルとのバトル、コンテスト出場などを経て、大きく成長していきます。

部活動・コンテストの準備・本番・ライバルとのダンスバトル・技術・表現への気付き……。

カボ自身がダンスを「言葉以外の言葉」として使う術を見つけていきます。

800円ほど。

原作者 珈琲(こーひー)の経歴・背景

作者は、珈琲(こーひー)さん。本人もストリートダンス(ハウスやブレイクなど)経験があるため、リアルな説得力があります。

主な経歴:
・2014年:「good!アフタヌーン」にて漫画家デビュー
・過去に手がけた作品:『のぼる小寺さん』(全4巻)、『しったかブリリア』(全2巻)など
・『ワンダンス』は2019年3月号より「アフタヌーン(Kodansha)」で連載中、2025年9月22日時点で14巻が刊行

インタビューでこう語っています。
・「ダンスから生じる神秘的な部分」「身体が音楽をどう受けとめて動くか」に強い関心がある
・踊りをやめた時期があったものの漫画でダンス体験を表現したい思いがある

こうしたバックグラウンドから、ダンスの知識、テクニック、身体の構造、音楽などが豊かに描き込まれています。丁寧に、具体的に描かれている点が大きな特徴です。

キャラクター別に学びたい動き/表現集

『ワンダンス』の主要キャラクターから「この動きや表現を学びたい」という視点で整理しました。

自分のスタイルを探す参考にしてください。

キャラクター 得意ジャンル・スタイル
小谷花木
(カボ)
未経験スタート → HIP HOP/HOUSE 中心。バトル志向も見える。話すことが苦手。吃音症の背景あり
湾田光莉
(ワンダ)
フリースタイル重視。習った経験がなくともセンスが高く、自分の身体感覚で踊ることを大切にしている
宮尾恩
(恩ちゃん)
オールラウンダー。複数ジャンルを習熟。振付・プレゼンテーション・チーム的な動きにも長けている。部長としての統率力も◎
厳島伊折
(いおり)
ハウスを得意ジャンルとする。ダンススキルが高く、即興性に強い。実力ある幽霊部員
壁谷楽
(かべや がく)
ブレイクダンス中心、技巧派 B-BOY。アクロバティックな技・パワームーブ・攻撃的なバトル志向

小谷花木(カボ)

一凛高校ダンス部1年の主人公。吃音症を抱えていて、人前で言葉を発することに抵抗がある。ダンスを通じて自己表現を見つけていく。「未経験者 → 成長」のプロセスが見せ場。

学びたい動き・表現のポイント
・音楽の「間」への感覚が鋭く、HIP HOP や HOUSE での音楽の表現、特に意図的な止めどころは秀逸
・動きのスタートとフィニッシュにメリハリを持たせる。例えば、ゆっくり入って加速 → 頂点 → 一気に静止、など
見せることを恐れないキメの静止とライン作り(顔・肩・手先まで)

湾田光莉(ワンダ)

ダンス部1年。ダンス教育を受けていないものの、抜群の感性と身体の柔らかさ、自由さを持っている。存在感を放つ、華のあるダンサー。

学びたい動き・表現のポイント
・予備動作の自然さ:踊る前・振りに入る前の身体の使い方、呼吸の変化、重心の準備などのセンスが高い
・「呼吸 → 間 → アクセント」を身体の流れとしてごくごく自然に感じて踊る。自由なフリースタイル感はここから来る
・感情や個性を動きに込める力:「なぜか惹きつけられる」雰囲気を作るための緩急・動きの抑揚

宮尾恩(恩ちゃん)

ダンス部3年で部長。部員たちの憧れ。ジャンルを問わず踊れる力量を持つ。練習への姿勢だけでなく、演出において見せ場の作り方が達者で、周りから信頼されている。

学びたい動き・表現のポイント
・基礎の安定性:アイソレーション・姿勢・重心移動など、動きが滑らかで魅せるラインが美しい
・チームや大人数で揃える動きの意識:同期や先輩後輩と動きを揃える際のタイミングや空間の使い方
・表現の幅と魅せる緩急:静の部分と動の激しい部分のバランス感覚、振付・即興どちらの見せどころも作る

厳島伊折(いおり)

ダンス部2年。ハウスを得意とする。幽霊部員で、内向的・観察者的な側面あり。だが、ダンスの実力は高い。

学びたい動き・表現のポイント
・音に敏感であること:ハウスの細かいビート・リズムのパターンやベースラインを聴き取って動きで反応する能力。スネア・ハイハットなど音の粒を意識
・ステップの流れを滑らかにする力:足のステップの切り替えの速さ・足運びの軽さ・重心移動のスムーズさ
・即興性:状況(曲の中間部・観客の空気など)に応じてダンスを変化させる柔軟さ

壁谷楽(かべや がく)

ブレイキン至上主義の技巧派 B-BOY。アクロバティックな技・フリーズ・パワームーブを得意とし、バトルで攻撃的な動きを見せる。

学びたい動き・表現のポイント
・パワームーブ・フリーズ・床技など:身体の使い方(バネ・反発・回転力・バランス)
・動きと動きの間の空気感をつくる:高速技だけでなく、技と技の余韻・緩急を意識して見せる力
・観客へ衝撃を与える見せ場の構築:バトルで印象を残す強さ・スピード感・身体のライン・空間の使い方

ダンス上達の学び|6選

静止画しかない漫画なのに……、音も聞こえないのに……、動きはポーズだけなのに……、見える気がする

これが『ワンダンス』の最大の魅力で、ダンス習得を目指す人にとってヒントがたくさんあります。

1:リズム感・音の意識

カボ君の耳がいいという描写が何度も出てきます。音への反応力、音圧の強弱の取り入れ方、リズムの「間」への意識といった表現が出てきます。たとえば、音の取り方で他人との差を感じたり、バトルでの小さな音ズレが勝敗に影響します。

上達へのヒント:
・耳を鍛える練習をする。いろんなジャンル・音量・音質で音楽を聴いて、「どこに強弱があるか」「どこで一瞬音が抜けるか」「音の余韻」などを感じ取る
・音に合わせて身体を動かす。手拍子、足踏み、体の一部の動きから。カボ君のように「感じて・反応する」クセをつける

2:基礎とジャンルの知識

ストリートダンスを題材にしていて、HIP HOP・HOUSE・BREAK・WAACKなど複数ジャンルが登場します。先輩たちの練習風景・課題・オーディション準備など、基礎動作・表現・ムーヴ(動きのひとかたまり)・フットワーク・体重の乗せ方・アイソレーションなど、いわゆる「振り付け」だけでなく、身体の使い方のディテールが何度も描写されます。

上達へのヒント:
・自分の好きなジャンルを選ぶ:そのジャンルの基礎動作を丁寧に行う。リズムトレーニング・姿勢・重心移動など
・ストレッチ・柔軟性・体幹・基礎体力を重視:動きをシャープにするため、筋肉・可動域などの基礎知識をつける

3:多彩なダンス

「カボ ⇔ ワンダ ⇔ 伊折 ⇔ 恩ちゃん」中心に、レベルやダンススタイルの異なる人たちを比較しながら楽しむことができます。さらに、自分と比較することも可能です。「いま自分はどこにいるか」「どこを伸ばせばいいのか」が見えてきます。

たとえば、ワンダは表現力・個性重視、伊折は即興性と観客の反応重視、恩ちゃんはジャンルの幅と基礎の強さ……。こうした違いをカボ君が自覚することで、カボ君自身の弱点・強みが浮き上がり上達していきます。この過程が読者にとっても大きなヒントになります。

上達へのヒント:
・自分の「ダンスのゴール」をはっきりさせる:目指すスタイルは? 観客を意識するか自己表現か、バトルかステージか
・自分と違うスタイルの人を観察する:YouTubeなどで動画を見て、動き・音とのシンクロ・強弱・スピードの使い方などの違いを分析し、自分の練習に取り入れる

4:メンタル強化

カボ君の吃音症というコンプレックスや、周囲の目を気にして自己表現に尻込みする姿勢は、多くのダンサーが経験する表に出ることへの恐怖と重なります。話せない・うまく伝えられないという状態から、踊ることで「言葉以外の表現」を得ていく過程には、心理的なヒントが多くあります。

上達へのヒント:
・恥ずかしさ・怖さを乗り越える小さなステップを設ける:最初は鏡の前で、一人で踊る。録画してみる。見せる相手を少人数にする
・自分の動きや感情を記録:感じたことを書き出し、踊った後の感触をメモすることで、自分の表現の変化が見える

5:想像力を鍛える

「このコマではこういう動き」と想像させるダンスが描かれています。ポーズ、コマ割り、動線(線で動きの流れを示す)から、静止したコマでも動き・リズムを感じさせます。

上達へのヒント:
・自分の踊りを録画し、静止画で見てみる:キメのポーズやタイミングを意識する
・動きを分解して考える:漫画のコマを追うように、自分のステップやムーヴをひとかたまりずつ見て、どこで動きが流れているか、どこで止まっているかを意図的に作る

6:本番のヒリヒリ感

物語には大会・コンテスト・バトルが登場、「準備 → 予選 → 敗北 → 敗者復活 → 本線 → 決勝」といった試合形式の緊張感が描かれます。ダンス上達に必要な「試す場」「フィードバック」「メンタルコントロール」につながります。

上達へのヒント:
・自分なりの「ミニ大会」を作る:動画を友達に共有したり、友人とのバトルなど、小さなプレッシャーの中で練習成果を試す
・リハーサル:自分の振りを外で試すため、人前で踊るシチュエーションを作り、緊張や集中力を養う

練習メニュー

続いて、取り入れられる具体的な練習内容です。

メニュー 内容
リズムトレーニング いろんなジャンル・テンポの音楽を聴き、キック・スネア・ハイハット・ベースなどの音のレイヤーを意識。メトロノームを使って一定のテンポで体を動かす動作(手拍子・足踏みなど)。
フットワーク・ステップ
基礎練習
ジャンルごとの基本ステップ(HIP HOP/HOUSE/BREAKなど)をゆっくり正確に繰り返す。フォーム・重心移動・足の置き方・足首・膝の使い方をチェックする。
キメポーズ・
静止表現ワーク
動きの中で静止するキメを意図的に作る練習。振付・即興の中から、このタイミングで止める/体のラインを作る/表情を決める。
即興バトル テーマを決めて自由に踊る。即興で動きを組み立てて表現する。仲間と交互に踊るサイファー形式、録画して後で見返す。
感情表現・
ストーリーテリング練習
曲を選び、自分のストーリーや気持ちを動きで伝えるように振付、または即興で表現する。静かな部分・強く盛り上げる部分を意識して構成する。
強化トレーニング
(体力・柔軟性・筋力)
ストレッチは毎日。柔軟運動、体幹トレーニング、筋力トレーニング(脚・コア)、ジャンプ系/バネを使う動き。怪我予防のためのウォームアップ&クールダウン。
発表・録画レビュー 自分の踊りを動画で録画し、それを見返して改善点をメモ。キャラクターの動きと比較したり、仲間・先生などからフィードバックをもらう。簡単な発表・ミニショーケースなど機会があればなお素晴らしい。

それぞれ解説を加えます。

リズムトレーニング

狙い(効果):楽曲の「間」や「強弱」を感じ取る能力が高まり、カボ君のように音の合間を活かす踊りができるようになる。音と動きがズレず、安定感・表現力の幅が拡がる。

ジャンルやテンポの異なる曲を聴いて、音の構成(キック・スネア・ハイハット・ベースなど)を聞き分けます。メトロノームアプリなどを使い、一定テンポで足踏み・手拍子をして遅れずに入る練習をします。曲の間(無音部分や静かな部分)を意識しましょう。

フットワーク・ステップ基礎練習

狙い(効果):足や足首・膝の動きが滑らかになることで、動き全体が軽く見えるようになる。壁谷楽のようなスピード・技巧的な動きにつながる土台ができる。ステップの切り替えが早くなり、即興や振付で迷いが減る。

各ジャンルの基本ステップをゆっくりから練習します。動きを鏡で確認し、膝・足首・軸足・重心移動が正しいかチェックします。スピードを少しずつ上げていきましょう。

キメポーズ・静止表現ワーク

狙い(効果):見せ場の印象が強くなる。観客の目に印象を残す瞬間を作ることで、ダンス全体のドラマ性が増す。恩ちゃんのような「魅せる振付」を意識した表現力が磨かれる。

内容:音楽の中で「止めたい」タイミングを選び、動きから静止への流れを練る。身体のライン(腕・肩・腰・脚)、表情、重心を意識して止まった時に「絵になる」ポーズを取る。動画で撮影してチェックしましょう。

即興バトル

狙い(効果):即興力・創造性が伸びる。ワンダのような「感じた通りに踊る」スタイルに近づける。短時間で反応できる身体になり、本番やバトルで動揺しにくくなる。

自由なテーマ(たとえば「重さ vs 軽さ」「速さ vs 遅さ」「方向」「顔の表情」など)に沿って短い即興ムーヴを数パターン踊る。サイファー形式(数人で順番に踊る)で練習してみます。仲間と集まる機会があればなお良いです。録画して、テーマ感が出ていたか、表現に強みや弱みがあったか分析しましょう。

感情表現・ストーリーテリング練習

狙い(効果):言葉を使わずとも観客に伝わる「感情」を動きで表現できるようになる。ワンダの持つ「観る者を惹きつける個性」を自分のものにする力が強まる。表現力が向上し、ダンスにストーリー性や、人の心に触れる力が生まれる。

自分の「ストーリー」(過去の経験・今の気持ち・願いなど)をテーマに選びます。音楽を選び、そのストーリーに合う振付を作ったり、即興で表現してみます。静かな部分・強く盛り上げたい部分を意図的に作り、動きの大きさ・速度・表情も併せて工夫します。

強化トレーニング(体力・柔軟性・筋力)

狙い(効果):技巧的な動きやアクロバティックな技を安全に行える身体のベースができる。身体が動きに対して反応しやすくなり、動きの線・速度・キレが増す。壁谷楽のようなムーブを練習するための丈夫な体を作ること。

ストレッチで可動域を広げます。体幹トレーニング(プランク、サイドプランクなど)、脚の筋力(スクワット・ランジ等)、ジャンプ系・バウンス系の運動です。柔軟性を保つためのストレッチは毎日がオススメです。疲労が溜まっている部位はケアしましょう。

発表・録画レビュー

狙い(効果):自分の成長が見えるようになる。フィードバックを得ることで、客観的な改善点が分かる。見せ方・動きのメリハリ・表現力をより意識できるようになる。

自分が練習した動き・振付・即興ダンスを録画します。自分の癖を発見するために見返し、改善点をリストアップします。見せる場(友人・クラス・オンラインなど)でパフォーマンスをする。仲間や先生に見せる機会をつくる。

「動きが見えない漫画」というハンデを逆手に取る表現力

漫画には動画や音声がありません。しかし、だからこそダンスの本質を伝えている『ワンダンス』。

ぜひ楽しみながら、ダンス上達に活用してください。

以上、『ワンダンス』とダンス上達についてでした。ありがとうございました。

ダンサー体型を目指すトレーニング情報はこちらにまとめています。

ダンサーのための筋肉トレーニング・体幹トレーニング