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『スウィングしなけりゃ意味がない』のあらすじは?
評価サイトはどんな感じ?
印象に残ったシーンは?

第ニ次世界大戦中のドイツ、ハンブルク。ナチスに反抗したドイツの若者たちがいた…。

スウィングダンスを調べようと思って出会ったのが小説『スウィングしなけりゃ意味がない』です。当事者であるドイツ人ではなく、ほかの国の人だからこその視点が入っている作品です。

記事を書いているのは…

元劇団四季、テーマパークダンサー。社割で映画が1,000円で観られたときは毎週劇場へ行っていました。最近はネットで映画をたっぷり。

kazu

この記事は『スウィングしなけりゃ意味がない』のあらすじと感想、評価サイトの紹介です。

※3分ほどで読み終わる記事です。

スウィング・ダンスを調べたい

ダンスの歴史を調べていたとき、スウィング・ダンスについてどうしてもわからないことがありました。

Louis Prima – Sing,Sing,Sing (With a Swing)

いまのスウィング・ダンスは社交ダンスの一種であり、高度なテクニックが必要です。しかし、スウィング・ダンス誕生した当初の1920年代、スウィング・ダンスを誰もが踊っていました。高度なテクニックが必要なはずのスウィング・ダンスをなぜ全員が踊れるのだろうか…、と不思議に思っていました。

そんなとき、佐藤亜紀さんの「スウィングしなけりゃ意味がない」という小説に出会いました。

本を読んでわかったことがあります。1940年代のスウィング・ダンスは現在のようなカタチではなく、スウィング・ジャズに合わせて踊るダンスということでした。現在に例えると、クラブで音楽に合わせて身体を動かす、という感覚に近いです。当時はスウィング・ジャズに合わせてヘッドバンキングをしていた人もいました。

この本のおかげで当時のスウィング・ダンスについてかなり理解できました。

佐藤亜紀著「スウィングしなけりゃ意味がない」のあらすじ

スウィング・ユーゲント(ユーゲントは若さという意味)という、アメリカ文化にかぶれた金持ちの男の子たちが主人公です。

下の写真がスウィング・ユーゲントの少年です。この時代、ナチを支持する少年は短パンをはき、ボーイスカウトのような格好をしていました。それと真逆のスタイルがこちら。

スウィング・ユーゲント

「The national WWⅡ museum」より

ナチスを軽蔑し、とことん反抗していく主人公たち。刑務所に入れられることもあれば、ユダヤ人の親戚が連れて行かれてしまうこともあります。空爆されることもあれば、家族を失ってしまうこともありました。

それでも主人公たちのそばには必ずジャズ音楽がありました。

戦争が激しくなると悲劇の色も濃くなりますが、それでもたくましく反抗していきます。ジャズのレコードをラジオからコピーして売ったり、ジャズミュージックのパーティーを開くこともあります。生きていくためにはナチスに協力しなければいけないときもありました。

そんなときも主人公たちは常にナチスをどう出し抜くか考えています。そんなスウィング・ユーゲントたちの物語です。

『スウィングしなけりゃ意味がない』It Don’t Mean A Thing (If It Ain’t Got That Swing)

題名はジャズの名曲にちなんでいます。この本は各章の副題にジャズの名曲が名付けられていて、内容とリンクしていきます。

作者のジャズの知識の深く、文章からジャズの音楽が流れてくるようでした。こちらが『スウィングしなけりゃ意味がない』の映像です。当時最高のパフォーマンスであるデューク・エリントンとエラ・フィッツジェラルドによる貴重な映像です。

昔のジャズは今に比べて本当にテンポが速くて好きです!

感想

当たり前の話ですが、戦争中ナチスに抵抗するドイツ人がいました。そのことにハッとしてしまいました。当時はナチスを支持する人、十分わかった上で付き合っている人、反抗する人がいたと思います。

史実をもとに、作者はかなりリサーチをしています。細部までしっかり描写されていて、とてもリアルに感じます。

そして戦争中もジャズ音楽やダンスを求める人々。この本からは人間の根源的な欲望の強さ、芸術の必要性を思い出しました。とくに最近はコロナやオリンピック問題で、芸術やスポーツって必要なんだろうか、と思うことが多かったです。そんな気持ちをガラッと変えてくれました。

深く印象に残る文章

佐藤亜紀さんの文章はとても軽快で、重い話もジャズのようにおしゃれに響きます。現在にも通じるテーマで、戦争時代の話ですが内容にかなり惹き込まれました。そして印象に残るフレーズがいくつもありました。

ここからは少しネタバレしています。

「選ぶということ」

工場を経営する主人公のお父さん。空襲があっても工場が心配で疎開することができません。当然お母さんは逃げたいと思っていて、お父さんに工場より家族を選んでほしいと思っています。

そんなとき主人公はお母さんにこう話します。

「ぼくにも、母さんにも、ぼくや母さんの世界があるみたいに、父さんには、父さんの世界、ってのがあるんだよ。工場も、ぼくたちもその一部だ。どちらか選んでどちらか捨てることになったら、それは世界を半分に割ってどちらか捨てる、ってことになる。とんでもない悲劇だ。そんな選択をさせちゃ駄目だ。」

「お父さんの想い」

主人公はスウィング・パーティーを主催し、大騒動。そして警察に捕まってしまいます。しかも突き出したのは、実のお父さんです。

ツラい刑務所暮らしを送ります。刑期を終えたあとも主人公はナチスに抵抗をつづけます。主人公は自分を売った父親を軽蔑しているのですがふと気づきます。もともとアメリカかぶれになったのはお父さんの影響だったと…。お父さんはジャズが大好きで、アメリカ文化が大好きです。

お父さんが主人公の抵抗活動をとめないのは、実は同じ気持ちを持っているからかもしれない…。ただ、お父さんには経営者という立場があり、表立って応援することはできない。だからこそ、主人公の行動を黙認しているのではないか、と気づくのです。

このシーンはしびれました…。

『スウィングしなけりゃ意味がない』の評価

佐藤亜紀著「スウィングしなけりゃ意味がない」の評価、レビュー

hontoより

『スウィング・キッズ -引き裂かれた青春-』

同じテーマでロバート・ショーン・レナード、クリスチャン・ベイルによる1993年公開の映画があります。一番はじめに紹介した映像は『スウィング・キッズ -引き裂かれた青春-』からの映像です。

こちらの作品が本と同じテーマで、すごく気になっています。廃盤になっているみたいなので、探してみようと思います。

単行本で800円ほど。

kazu

今回は佐藤亜紀著『スウィングしなけりゃ意味がない』のご紹介でした。 ぜひぜひチェックしてみてください。
ありがとうございました。