ニューヨーク・シティ・バレエ団の特徴は?
本拠地はどこ?
ジョージ・バランシンとの関係は?
ニューヨーク・シティ・バレエ団は、世界中で高く評価されるアメリカの有名なバレエ団です。このページでは、初めてバレエに触れる方でも理解しやすいように、バレエ団をやさしく解説しています。
元劇団四季、テーマパークダンサー。舞台、特にバレエを観に行くのが大好きで、年間100公演観に行った記録があります。
※ 3分ほどで読み終わります。
アメリカを代表するバレエ団
ニューヨーク・シティ・バレエ団(NYCB)は、ニューヨークを拠点に活動する2大バレエ団の1つです。もう1つのバレエ団は、アメリカン・バレエ・シアター(ABT)です。
NYCBは年間予算が約100億円ほどあり、アメリカ国内で最も充実した資金力を誇るバレエ団です。特に、ジョージ・バランシンの全作品を上演するという独自の理念のもと、ダンサーたちは彼の振付を徹底的に習得するために厳しい訓練を積んでいます。
そのため、NYCBが披露するバランシン作品は、独自のエネルギーと魅力にあふれています。バランシンに関してはこちらで紹介しています。
ディヴィッド・H・コーク劇場
ニューヨークのマンハッタンにあるリンカーンセンター周辺は、大型劇場が立ち並ぶ文化の中心地です。ニューヨーク・シティ・バレエ団の本拠地であるディヴィッド・H・コーク劇場は、同センター内に位置しており、バランシン作品が上演される重要な拠点となっています。
左側に位置するディヴィッド・H・コーク劇場はNYCBの拠点として知られ、真ん中にあるメトロポリタン歌劇場はABTの公演拠点ですがメトロポリタン・オペラ・カンパニーが主に使用しています。
リンカーンセンターから少し南へ下る(上記画像だと右側へ)と、ミュージカルや商業演劇の劇場が多数集まり、ニューヨークの多様な舞台芸術の魅力を感じることができます。
ニューヨーク・シティ・バレエ団の歴史
ここでは、NYCBの歴史を、時系列に沿ってわかりやすくご紹介します。
1930年代:基盤の確立
- 1933年
リンカーン・カースティンに招かれ、ジョージ・バランシンがアメリカへ渡米。新天地での挑戦が始まります。 - 1934年
バレエ学校「スクール・オブ・アメリカン・バレエ」を創設。バランシンの独自のスタイルを体現するダンサーの育成に注力しました。 - 1935年
バレエ団「アメリカン・バレエ」が創設され、アメリカでのバレエ活動が本格化します。 - 1938年
「アメリカン・バレエ」が解散し、次のステップへと舵を切ります。
1940年代:戦時中の挑戦と再出発
- 1941年
戦時中、「アメリカン・バレエ・キャラバン」を発足。約6ヶ月間の南米ツアーを実施した後、解散します。 - 1946年
リンカーン・カースティンとジョージ・バランシンが「バレエ協会」を設立。会員制で公演を行い、芸術の発展を目指しました。 - 1948年
「バレエ協会」は、ニューヨーク・シティ・センター専属のバレエ団となり、名称が「ニューヨーク・シティ・バレエ団」に変更。ジョージ・バランシンが芸術監督に就任し、ジェローム・ロビンズが助監督として加わりました。ジェローム・ロビンズに関してはこちらで紹介しています。
1960年代~現代:進化と再編
- 1964年
本拠地をニューヨーク州立劇場へ移転。現在の「ディヴィッド・H・コーク劇場(2008年に改名)」として知られています。 - 1983年
ジョージ・バランシンの死後、ジェローム・ロビンスとピーター・マーティンスが共同で芸術監督に就任。 - 1990年
ジェローム・ロビンスの引退に伴い、ピーター・マーティンスが単独で芸術監督を務めるようになりました。 - 2018年
ピーター・マーティンスの急な引退により、暫定的な芸術監督チームが結成され、ジョナサン・スタッフォードをリーダーとし、ジャスティン・ペック、クレイグ・ホール、レベッカ・クローンが選出されました。 - 2019年
ジョナサン・スタッフォードが正式に芸術監督に就任し、ウェンディ・ウィランが副芸術監督に任命され、NYCBは新たな体制で次世代の挑戦を続けています。
バランシンのためのバレエ団:NYCBの魅力と特徴
ニューヨーク・シティ・バレエ団には、約95名のダンサーが在籍しており、そのほとんどが付属学校「スクール・オブ・アメリカン・バレエ」の出身です。この学校では、バランシンの振付を完璧に踊りこなすための厳しい訓練が行われ、6歳から18歳まで約1,000人の生徒が学んでいます。
入団と階級
NYCBには、毎年「スクール・オブ・アメリカン・バレエ」から5〜10人ほどが選抜され入団します。2023年時点で、付属学校出身ではないダンサーはわずか2名のみ。ダンサーの階級は以下の3つに分かれています。
- プリンシパル(最上位)
- ソリスト
- コール・ド・バレエ
バランシンの美学とスタイル
ジョージ・バランシンは、「8頭身好き」で知られており、NYCBの女性ダンサーは理想的な8頭身でスタイル抜群なダンサーが多いです。彼は、ロシアで学んだクラシック・バレエの伝統と、アメリカの観客が求めるダイナミックな表現を融合させ、新しいバレエスタイル「ネオクラシック」を確立しました。「ネオ」はギリシャ語で「新しい」という意味があり、バランシン作品はクラシックの基本を大切にしながらも、斬新な振付で現代のバレエに革新をもたらしています。
公演とレパートリー
NYCBは、豊富な公演数と多彩なレパートリーが特徴です。特に、15分から60分ほどの短い作品を3作品ほど上演する「トリプル・ビル」形式の公演が多く、観客に新鮮な体験を提供しています。レパートリーは、以下のような構成となっています。
- 50%:ジョージ・バランシン振付の作品
- 20%:『ウエスト・サイド物語』振付で有名なジェローム・ロビンズの作品
- 30%:ジャスティン・ペックなど現代振付家の作品
バランシンは、ロシアでバレエと音楽を学び、マリインスキー・バレエ団に入団した経験を活かし、伝統と革新を融合させた独自のスタイルを築きました。この2つのスタイルの融合により、NYCBは世界中で高い評価を受けるバレエ団となっています。
バランシン財団とNYCBの伝統
ジョージ・バランシンが亡くなってから約35年が経過しましたが、ニューヨーク・シティ・バレエ団のレパートリーの約50%は、いまだに彼の振付作品で構成されています。NYCBは、バランシンの芸術を忠実に守り伝えることを最優先に考えており、その理念の実現のために「バランシン財団」が設立されました。
バランシン財団の役割
バランシン財団は、リンカーンセンター内に所在し、バランシンの作品の著作権管理と保護を徹底しています。このため、財団が認定した指導者による指導がなければ、バランシン作品の上演は許可されません。厳格な審査基準により、長らくバランシンの作品は映像化されることが少なかったものの、最近では方針の変化もあり、映像作品として公開される例が増えています。
バランシンの魅力や芸術性が、小説のように読みやすくまとめられた本作は、彼の遺産とNYCBの伝統をより深く理解するための貴重な資料となっています。
NYCB:紹介動画
子供向けに作られたニューヨーク・シティ・バレエ団の紹介動画をご紹介します。動画はとても分かりやすいので楽しく理解するのに最適です。日本語訳も付けています。
ようこそニューヨーク・シティ・バレエ団( NYCB )へ。NYCBはアメリカで一番大きなバレエ団です。拠点はニューヨークにあります。
リンカーン・カースティンとジョージ・バランシンによって作られました。2人はアメリカに古典バレエを定着させたいと願いバレエ団を創設しました。
まず 2人はダンサーを育成させるために「スクール・オブ・アメリカン・バレエ」というバレエ学校をつくりました。速いステップの習得、音楽性、運動能力を高めていきます。これは NYCB の団員になるために必要な資質です。
団員は、朝に基礎レッスン、昼にリハーサル、夜に公演を毎日行っています。もちろん、月曜日に休みもありますよ。
ここが劇場で本拠地です。リンカーンセンター内にある「ディヴィッド・H・コーク劇場」です。白い銅像はティラノサウルスと同じ高さです。劇場内になるシャンデリアは宝石箱にあるダイアモンドのようです。
NYCB では様々な振付家の作品が上演されています。バランシン振付の『くるみ割り人形』。そして、毎年の新作を見るとさまざまな感情と出会えます。楽しい話、悲しい話、おとぎ話、物語がない作品もあります。私はこのジェローム・ロビンズの作品が好きです。
作品をつくっているのはダンサーだけではありません。さまざまな人がバレエ作品を支えています。衣装部は美しいだけでなく、動きやすさを重視しています。
靴の専門家。NYCB の女性ダンサーは毎年 12,000足を消費しています。
打楽器奏者、ティンパニー奏者。音楽家はステージ前方の地下「オーケストラピット」にいます。
作品を作り上げる振付家。リハーサルの責任者であるバレエマスター。制作部。理学療法士。経営管理。警備員。などなど。350人が働いています。
そして忘れてならないのが観客です。観客がいなければ公演は成立しません。毎年30万人の観客がNYCBの公演に訪れます。
バレエを見るとこんな気持になります。
壮大、特別、喜び、歓喜、刺激、優雅、驚き、疲れ、ハッピー、ハッピー、ハッピー。バレエがどんな気持ちにさせるって?
気持ちは言葉では言い尽くせません。
NYCB に関わる方法が知りたい?
ワークショップがおこなわれています。NYCB が学校に行きます。全国をツアーで周っています。さらに詳しくは、ウェブサイトへどうぞ。
【 豆知識 】
リンカーンセンターは、ダンス映画の舞台としても多く取り上げられています。たとえば、ナタリー・ポートマンの怪演が光る『ブラック・スワン』では、ディヴィッド・H・コーク劇場が重要な舞台として登場しています。元NYCBダンサーでナタリー・ポートマンの結婚相手でもあるバンジャマン・ミルピエが振付を手掛けています。
1,500円ほど。
映画『センターステージ』でも、NYCBの本拠地であるディヴィッド・H・コーク劇場が使用されています。なお、CGで建物が拡張されるなど、映画ならではの演出が施されています。
3,500円ほど。何度でも見たくなる作品です。
僕自身、大人になってからニューヨークに行った際、NYCBの公演を観に行きました。会場に入った瞬間、「映画で見た通りの劇場だ!」という感動があり、その後、留学中は学生券(約15ドル)で50公演以上も観に行くほど、NYCBに深くハマりました。
今回は、ニューヨーク・シティ・バレエ団の魅力と、ジョージ・バランシンの革新的な遺産についてでした。
バレエ作品についてはこちらでまとめていますので、ぜひご覧ください。
「座席選びで失敗したくない」「物語を深く理解したい」という方のためのバレエ鑑賞ガイドです。劇場の見え方から人気演目のあらすじ、独自の深読み解説まで徹底紹介。初めての方もファンの方も、この記事を読めば次の観劇がもっと楽しみになる情報を凝縮した決定版ページです。





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