『チアーズ!』(2000年)の内容は?
特徴は?
見どころは?
とにかく元気になる映画です。
能天気ムービーなのに泣けます。
元気がない時にみるとグッときます。
ダンサー目線で見ると、さまざまなジャンルのダンスの知識が入っていることに感動します。
元劇団四季、テーマパークダンサー。社割を使えたときは週2回 映画館へ行っていました。最近はネットで映画をたっぷり。
今回は、『チアーズ』( 2000年)の内容・感想・特徴についてです。
※ 3分ほどで読み終わります。
チアリーダーとは
アメリカの青春映画において、絶対的な権力を持つチアリーダー。
青春映画において「ヒエラルキーのトップ」「美人」「いじめっ子」というイメージで描かれます。
憧れでありつつ、時に悪役にもなる、華やかな存在です。
映画『チアーズ!』のオープニングでもチアリーダーはこんな風に紹介されています。
Hate us cause we’re beautiful. Well, we don’t like you, either!
「わたしたちがキレイだって理由で嫌い?(嫌いで結構、)わたしたちだってあんた達なんか嫌いよ!」
実際のオープニングの映像です。
『チアーズ!』に登場するチアリーダーは、従来のイメージと違います。
クローズアップされるのはチアリーディングのスポーツ的な側面です。
とはいえ青春映画のイメージ通りのキャラクターや、性格の悪い子もいて、スパイスが効いています。
超ハッピーな映画で、9.11 以前のハリウッド映画となっています。
あらすじ
高校のチアリーディング・チーム「トロス」は全国大会常勝チーム。
新キャプテンに選ばれたトーランスは、新チームを優勝させるべくフルパワー。しかし、すぐに中心メンバーがケガ……。
しかもトロスの振付にパクリ疑惑が……。
実は、前キャプテンが貧困地区の公立高校「クローヴァーズ」から盗作したものだった。
責任感あるトーランスは振付を作り直すことを決断。新たな振付を外部の振付師に頼む。
ここで大問題が……。
地区大会で同じ振付を踊る学校が続出。振付師が地区の学校に同じ振付を売り歩いていたことが判明。トロスは前回優勝校のため全国大会の出場権を獲得できるが、会場は総スカン。
トーランスは大挫折。チームキャプテン失格、とチームメイトからも責められる。
ここからトーランスの再起、トロスの復活、クローヴァーズの挑戦がはじまる。
原題『 Bring it on 』
bring it on:かかってこいよ!
実生活でそのまま使えます。
発音は「ブリギノン」という感じです( 「リ」はかなり短めにします) 。
評価
Yahoo!映画より
多様性
多様性という深い問題をライトな語り口で扱っている点がうまいな、と思います。
この映画では数々の対立構造があります。
金持ち VS 貧困
白人 VS 有色人種
イケてる VS ダサい
多種多様な人が理解し合う過程が簡潔に描かれます。
上演時間、1時間 38分とコンパクトです。
チアリーダーをバカにする人、応援する人、男がチアリーディングをやることに対する偏見といったものも登場します。気持ちを変えるまでには至らないものの、「放っておく」くらいまでの変化に留まっているのもリアルです。
制作
監督:ペイトン・リード
脚本:ジェシカ・ベンディンジャー
トーランス・シップマン:キルスティン・ダンスト(石塚理恵)
ミッシー:エリザ・ドゥシュク(松谷彼哉)
クリフ・パントーン:ジェシー・ブラッドフォード(浪川大輔)
アイシス:ガブリエル・ユニオン(本田貴子)
コートニー:クレア・クレーマー(伊藤美紀)
ホイットニー:ニコール・ビルダーバック(小林沙苗)
ジャン:ネイサン・ウェスト(大坂史子)
レス:ハントリー・リッター(杉山紀彰)
脚本がよくできているのでトーランスがツラい状況にいても、明るい気持ちで見ることができます。
アジア人としてはニコール・ビルダーバック演じるビッチなアジア人の登場がおもしろいです。ハリウッド映画だとアジア人は真面目なキャラクターとして登場しがちですが、ビッチなアジア人は当時かなり新しかったです。
主演:キルスティン・ダンスト
『スパイダーマン』で知っている方が多いかもしれません。子役時代は『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』に出演。
良作にたくさん出演していてキルスティン・ダンストの出演作にハズレ無しだと思っています。
『エターナル・サンシャイン』『エリザベスタウン』 。サヴェージ・ガーデン( Savage Garden )の「 I Knew I Loved You 」というPVに出演していた印象が強いです。このとき17歳。なつかしい。
『チアーズ!』は18歳のときの作品なので、等身大の役を演じています。アメリカのドラマや映画で高校生が高校生の役を演じているのはかなり珍しいんじゃないかと思います。
豪華な若手キャスト
エリザ・ドゥシュク、ガブリエル・ユニオン、TLC の妹分である HIP HOP 3人グループのブラック・アイヴォリー。
ブラック・アイヴォリーのリーダーだったナティーナ・リードは、2012年に交通事故で無くなってしまったのが本当に残念です。
エリザ・ドゥシュクとクレア・クレーマーは『バフィー~恋する十字架』でかなり重要な役を演じていたのでよく覚えています。
そしてトーランスの相手役クリフは、イケてるのかイケてないのかよくわからないヒゲの濃いジェシー・ブラッドフォードが演じています。
チアリーディングの決定版
『チアーズ!』は2000年に公開されました。相当好評だったので続編も作られました。


まあ、続編は……。
ちなみに続編にオリジナルキャストは登場しません。
2004年:Bring It On Again
2006年:Bring It On: All or Nothing
2007年:Bring It On: In It to Win It
2009年:Bring It On: Fight to the Finish
2017年:Bring It On: Worldwide Cheersmack
映像作品だけでなく、2011年にブロードウェイでミュージカル化もされています。
日本ではゴリエがチャートを席捲
日本にも大きな影響をあたえました。
2004年:ガレッジセールのゴリさんが、ゴリエとして『 Hey Mickey ! 』をリリース
オリコンチャートで 1位を獲得。知っている方も多いんじゃないかと思います。学生の間で大流行。文化祭でもかなり流行ってました。
ちなみに、この曲は、数々のアーティストがカバーしています。
『 Mickey 』の歴史
1979年:イギリスの音楽グループ「レイシー」の『キティ』が原曲
1982年:トニー・バジルがカバーし大ヒット。タイトルを『ミッキー』に変更。チアダンスをテーマにした PV から、大会の課題曲として使われることが多く、世界で最も有名なチアリーディングの曲になる。
1999年:イギリスのポップ歌手ロリーがカバー
2000年:B★WITCHEDが歌う『 Mickey 』が映画『チアーズ!』の主題歌に。このバージョンをゴリエがカバーしています。UKポップ全盛期に活躍していた B★WITCHED。アイルランド出身で、透き通った声、アイリッシュサウンドに特徴があります。ただし、『 Mickey 』はアイリッシュサウンドではありません。
エンドタイトルで使用されました。
こちらはネタバレしているのでご注意ください。本編と、エンディングが一緒になった映像です。
お茶目な演出で最後まで楽しいです。
その後も『Mickey』はカバーされ続けています。
豊かなダンスシーン
『チアーズ!』本編の踊りはスゴイです。
全然なんちゃってじゃなく、見ごたえ十分です。
映像ではクローズアップもありますが、全身を写すショットも多めです。
メインキャスト以外はプロのチアリーディングの人たちが周りを囲んでいます。
メインキャストの吹替は多めですが、配置のうまさや、スピード感によって、よくよく見ないとわからない作りになっています。
ポイントポイントの見せ場で登場するので、まるで全編踊っているように錯覚します。
練習期間たった9日間
メインキャストたちは 1日 10時間、9日間でチアリーディングの基本的なテクニックと映画の振付すべてを覚えたそうです。
短かすぎ……。
アメリカに留学していたときも思いましたが、「演技・歌・踊り」三拍子そろっている人がたくさんいて、アメリカの底力を感じていました。
ちなみに僕は最後のトロスのダンスがすごく好きです。
振り付けにジャズダンスの要素がふんだんに入っています。
フォッシーダンス
中でも印象に残るのが映画『スイート・チャリティ』からの引用です。
後半、振付のインスピレーションのひとつとして「The Rich Man’s Frug」の映像が一瞬流れます。
ジャズダンスの中の、フォッシーダンスというジャンルです。
フォッシーダンス:色気の香るスタイル。身体を固定し 1部分だけ動かしたり、緩急、柔剛を組み合わせた動きに特徴がある。
数秒しか流れないのですが、深く記憶に残ります。
かなり個性的で、信じられないほどオシャレです。
映画『チアーズ!』は、チアダンスだけでなく、ジャズダンス、ヒップホップも登場します。
トロス:ジャズダンス中心
クローヴァーズ:ヒップホップ中心
どちらも見どころです。
こうしたダンスにも注目してみてください。
DVD
3,000円ほど。



今回は『チアーズ!』についてでした。 ぜひぜひチェックしてみてください。
ありがとうございました。
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