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「ジュエルズ」はストーリーがない?
楽しむためのコツは?
見どころは?

ジョージ・バランシンが振り付けたバレエ作品は具体的なあらすじがないものも多く、理解するのがなかなか難しいとされています。ですが、完全にストーリーがないというわけではありません。ニューヨーク・シティ・バレエ団が「ジュエルズ」を深堀りしているのでご紹介していきます。

記事を書いているのは…

元劇団四季、テーマパークダンサー。舞台、特にバレエを観に行くのが大好きで、年間100公演観に行った記録があります。

kazu

今回は「ジュエルズ」の作品解説です。

※5分ほどで読み終わる記事です。

「ジュエルズ」

1967年にバランシンがつくった「ジュエルズ」という作品は、宝石をテーマにしたきらびやかなバレエです。とても個性的な作品で、楽しむためにはコツがあります。バランシン版「ジュエルズ」についてはこちらで詳しく解説しています。

作品解説

さらに作品を深めたいという方のために、ニューヨーク・シティ・バレエ団のダンサーによる解説をご紹介します。エメラルドを踊るタイラー・ペック(P)、ルビーを踊るテレサ・ライクレン(R)、ダイアモンドを踊るサラ・マーンズ(M)のインタビューを意訳しています。

P:「ジュエルズ」といわれてまず思い浮かべるのが「自由」「興奮」…。(エメラルド)
R:「ジャズ」「法則に従わない」…。(ルビー)
M:「ロマンティック」「情熱」…。(ダイアモンド)

M:ジュエルズは「エメラルド」「ルビー」「ダイアモンド」の3つのパートから構成されています。
P:バランシンはバレリーナが音楽をダンスで表現できるよう具体的にエメラルド、ルビー、ダイアモンドをテーマに決めました。
R:驚くことに物語がないのにも関わらず、この作品だけでバレエの歴史をみることができます。

エメラルド(タイラー・ペック)

エメラスドは3つのパートの中でも、1番ロマンティックなパートです。音楽と衣装はまるでドガの絵画のように感じられます。

ソロのパートで難しいのは、上半身は自由に動き、下半身はしっかりコントロールされていなければいけないことです。ステップは音楽とシンクロし、手の動きには遊び心があり、次の方向へ行くときの頭の角度も独特で、発見の連続です。

エメラルドは繊細な動きに気を配る必要があり、大げさな動きは必要ありません。ひとつひとつのステップを正確に動くことで観客の印象に残ると思います。

ルビー(テレサ・ライクレン)

第2幕「ルビー」の幕が上がると観客の皆さんはハッとすると思います。第1幕「エメラルド」との違いをはっきり感じ、鋭く、エッジの効いたパートが始まると予感できるからです。

バランシン作品では背の高い女性ソロダンサーがよく登場します。どんな場所でも人目を引く魅力ある女性がいて、私はときどき意地悪なイケてる女性を大げさに演じることがあります。この性格は本来の私とは違うからこそ、ルビーを踊る一夜はふだんの自分とは違う自分でいることができ、とても楽しい経験です。

最初の踊りのパートが終わるころ、音楽がゆっくりになり舞台から下がります。舞台から下がる直前に、アラベスクパンシェのバランスがあります。体幹、体力、バランスを駆使し、できるだけ高く足をあげるよう挑戦しています。

ダイアモンド(サラ・マーンズ)

ダイアモンドは澄んだ空気の中にいるようで、一点の汚れもないような空気感があります。とても壮大で、品の良さがあります。静かな雰囲気の中にも情熱的な部分、ドラマティックな愛が入っています。

主役のカップルが登場するシーンで、ただパートナーに向かって歩くステップがあります。考えうる限り、舞台上のステップの中で一番シンプルです。だからこそ一番魅せるのが難しいステップで、神経をとても使います。

そして、男性から逃げるようなステップがあります。まるで猫とねずみの追っかけっこのようです。最後には女性が男性を抱きしめます。そこに張り詰めた空気はなく、音楽につつまれ、ふたりでひとつという空気になります。

最終パート

R:そして素晴らしいクライマックスがやってきます。舞台上の全員がうしろに下がると、音楽がゆっくりになり、全員で一緒のステップを踏みます。このシーンをみると毎回鳥肌がたってしまいます。

P:ジュエルズが特別なのは、観客のみなさんが衣装、音楽、バランシンの振付の美しさの虜になってしまうからです。

M:毎回ダイアモンドを踊るたび、どんなダンサーになりたいかという情熱が湧き上がってくるのを感じることができます。

映像作品は少ない

「ジュエルズ」は相当上演されていますが、映像作品はほとんどありません。

パリ・オペラ座バレエ団からDVDが発売されています。パリ流の「ジュエルズ」で、アニエス・ルテステュ、オーレリー・デュポン、マリ=アニエス・ジローがとにかく美しいです。そしてクリスチャン・ラクロワの衣装も見どころです。

kazu

ニューヨーク・シティ・バレエ団の代表作である「ジュエルズ」の紹介でした。
ありがとうございました。