ニューヨーク・シティ・バレエ団ってどんなバレエ団?
どこで観ることができる?
ジョージ・バランシンとの関係は?
アメリカを代表するバレエ団である「ニューヨーク・シティ・バレエ団」
ジョージ・バランシンがつくったバレエ団です。
元劇団四季、テーマパークダンサー。舞台、特にバレエを観に行くのが大好きで、年間100公演観に行った記録があります
今回は「ニューヨーク・シティ・バレエ団の歴史とジョージ・バランシンの関係」についてです。
※3分ほどで読み終わります。
アメリカを代表するバレエ団
「ニューヨーク・シティ・バレエ団(NYCB)」はニューヨークにある2大バレエ団のひとつです。もうひとつのバレエ団は「アメリカン・バレエ・シアター(ABT)」です。
NYCBは年間予算が100億円ほどあり、アメリカで1番の予算規模のバレエ団です。NYCBはジョージ・バランシンのすべての作品を上演するバレエ団で、バランシンが振付した作品を踊るよう徹底的に訓練されています。
だからこそ、NYCBが踊るバランシン作品はひと味もふた味も違います。
テンポ
バランシン作品は世界中のバレエ団で上演されています。ですが、NYCBが踊るバランシン作品はひと味違います。
中でも大きなポイントがテンポです。バレエ公演ではダンサーが踊りやすいようテンポを調整してしまうこともありますが、NYCBは基本的に調整をしません。
そのためスピードがかなり速い!
速いテンポでも音に乗り遅れずにステップを踏み切ります。
現代はダンサーのテクニックが上達しています。ピルエットの回転数が増え、ジャンプが高くなり、バランスを長くとれるようになりました。すると音楽のテンポがどんどんゆっくりになっていきます。
「白鳥の湖」は初演時に比べ、30分~1時間長くなっているとも言われます。これはテンポがゆっくりになったためです。
NYCBの紹介動画
子供向けにつくられたニューヨーク・シティ・バレエ団の紹介動画がとてもわかりやすいので紹介します。訳も載せています。
ようこそニューヨーク・シティ・バレエ団(NYCB)へ。NYCBはアメリカで一番大きなバレエ団です。拠点はニューヨークにあります。
リンカーン・カースティンとジョージ・バランシンによって作られました。2人はアメリカに古典バレエを定着させたいと願いバレエ団を創設しました。
まず2人はダンサーを育成させるために「スクール・オブ・アメリカン・バレエ」というバレエ学校をつくりました。速いステップの習得、音楽性、運動能力を高めていきます。これはNYCBの団員になるために必要な資質です。
団員は、朝に基礎レッスン、昼にリハーサル、夜に公演を毎日行っています。もちろん、休みもあって月曜日です。
ここが劇場で本拠地です。リンカーンセンター内にある「ディヴィッド・H・コーク劇場」です。白い銅像はティラノサウルスと同じ高さです。劇場内になるシャンデリアは宝石箱にあるダイアモンドのようです。
NYCBでは様々な振付家の作品が上演されています。バランシン振付の「くるみ割り人形」、毎年の新作を見るとさまざまな感情と出会えます。楽しい話、悲しい話、おとぎ話、物語がない作品もあります。私はこのジェローム・ロビンズの作品が好きです。
作品をつくっているのはダンサーだけではありません。さまざまな人がバレエ作品を支えています。衣装部は美しいだけでなく、動きやすさを重視しています。
靴の専門家。NYCBの女性ダンサーは毎年12,000足を消費しています。
打楽器奏者、ティンパニー奏者。音楽家はステージ前方の地下「オーケストラピット」にいます。
作品を作り上げる振付家。リハーサルの責任者であるバレエマスター。制作部。理学療法士。経営管理。警備員。などなど。350人が働いています。
そして忘れてならないのが観客です。観客がいなければ公演は成立しません。毎年30万人の観客がNYCBの公演に訪れます。
バレエを見るとこんな気持になります。
壮大、特別、喜び、歓喜、刺激、優雅、驚き、疲れ、ハッピー、ハッピー、ハッピー。バレエがどんな気持ちにさせるって?気持ちは言葉では表せない。
NYCBにかかわる方法が知りたい?ワークショップがおこなわれています。NYCBが学校に行きます。全国をツアーで周っています。さらにくわしくはウェブサイトへどうぞ。
ディヴィッド・H・コーク劇場
ニューヨークのマンハッタン、大型劇場が集まるリンカーンセンター。NYCBはディヴィッド・H・コーク劇場を本拠地としています。
左側が「ディヴィッド・H・コーク劇場」、真ん中の「メトロポリタン歌劇場」はABTの本拠地です。ただ、「メトロポリタン歌劇場」をメインに使っているのはメトロポリタン・オペラ・カンパニーです。上の写真から左に90°回した地図です。
歴史
ここからはニューヨーク・シティ・バレエ団の歴史をご紹介します。
1933年
アメリカでバレエ団創設を目指すリンカーン・カースティンに招かれ、ジョージ・バランシンが渡米。
抽象バレエをつくりだし、音楽をダンスで表現したのがバランシンです。バランシンの経歴、振付の特徴を紹介しています。
1934年
バレエ学校「スクール・オブ・アメリカン・バレエ」創設。
1935年
バレエ団「アメリカン・バレエ」創設。
1938年
「アメリカン・バレエ」が解散。
1941年
戦時中に「アメリカン・バレエ・キャラバン」を発足し6ヶ月南米ツアー、その後解散。
1946年
リンカーン・カースティンとジョージ・バランシンが「バレエ協会」を設立。会員制でバレエ公演をおこなう。
1948年
「バレエ協会」がニューヨーク・シティ・センター専属バレエ団に。そして、この時「バレエ協会」の名称が「ニューヨーク・シティ・バレエ団」に変更される。
ジョージ・バランシンが芸術監督になり、ジェローム・ロビンズ(「ウエスト・サイド物語」の振付)が助監督に就任。
「ウエスト・サイド・ストーリー」でトニー賞を受賞したジェローム・ロビンズ。経歴や振付の特徴、人物像などを紹介しています。
1964年
ニューヨーク州立劇場へ移転。(現在は「ディヴィッド・H・コーク劇場」という名称)
1983年
バランシンの死後、ジェローム・ロビンスとピーター・マーティンスが芸術監督に。
1990年
ジェローム・ロビンスが引退。ピーター・マーティンスが単独で芸術監督に。
2018年
ピーター・マーティンスの急な引退にともない、
2019年
ジョナサン・スタッフォードが正式に芸術監督に就任し、ウェンディ・ウィランが副芸術監督に。
バランシンのためのバレエ団
NYCBには95名ほどのダンサーが在籍しています。
ダンサーのほとんどが、NYCBの付属学校である「スクール・オブ・アメリカン・バレエ」の出身者です。「スクール・オブ・アメリカン・バレエ」ではジョージ・バランシンの振付を踊りこなせるよう訓練しています。
現在ニューヨーク・シティ・バレエ団の団員の中で、スクール・オブ・アメリカン・バレエ出身ではないダンサーはたった2名です。
「スクール・オブ・アメリカン・バレエ」には6歳~18歳まで約1,000人が在籍しています。ちなみにニューヨーク・シティ・バレエ団に入れるのは、この「スクール・オブ・アメリカンバレエ」から毎年5人~10人ほどとかなり狭き門です。
階級は3つに分かれています。
上から、
・プリンシパル
・ソリスト
・コール・ド・バレエ
スタイル
ジョージ・バランシンは「8頭身好き」ということもあり、NYCBの女性ダンサーは8頭身でスタイル抜群なダンサーが多いです。
公演数、レパートリーの多さも特徴で、特に15分~60分ほどの小さな作品が多いです。1公演で3作品を上演する「トリプル・ビル」という形式の公演が多いです。
50%:ジョージ・バランシン振付の作品
20%:「ウエスト・サイド物語」の振付で有名なジェローム・ロビンズの作品
30%:ジャスティン・ペックをはじめとする現代の振付家の作品
バランシンはロシアでバレエと音楽を学び、マリインスキー・バレエ団に入団します。自分が学んだロシアのクラシック・バレエと、アメリカの観客が好むダイナミックさを合わせたスタイルが特徴です。
2つのスタイルの融合で新しいバレエが生まれ、クラシックの基本を大事にしながらも斬新な振付をどんどん発表していきました。そのためバランシン作品は「ネオクラシック」と呼ばれます。ネオはギリシャ語の接頭語で「新しい」という意味があります。
バランシン財団
バランシンが亡くなってから35年ほどたちますが、NYCBのレパートリーはバランシン作品が50%を占めています。
NYCBは、バランシンの作品を忠実に守っていくことを第1に考えているバレエ団です。そのため、バランシンの振付を忠実に守るために「バランシン財団」というものがあります。この財団はリンカーンセンター内にあります。
バランシン財団は著作権管理にとてもうるさく、バランシン財団が認めた指導者の指導がない限りバランシン作品は上演できません。
このように審査が厳しいので、バランシンの作品は映像化されることもあまりありませんでした。ですが、最近方針が変わったのか、映像化される作品が増えているように思います。
2,500円ほど。バランシンが魅力的に描かれていて、小説のようなつくりで一気に読める作品です。
大好きなバレエ団
最後に個人的な感想です。
僕は先ほど紹介した「センターステージ」というバレエ映画が大好きです。この映画のおかげでダンサーという夢が現実的になったと思っています。
この舞台となったのがニューヨーク・シティ・バレエ団が本拠地とするディヴィッド・H・コーク劇場です。
映画にはニューヨーク・シティ・バレエ団のダンサーたちもたくさん登場しています。
一人でニューヨークに行ったとき、ニューヨーク・シティ・バレエ団の公演を観に行きました。会場に入った時の「映画で見た通りの劇場だ!!!」という感動は忘れられません。
その後、留学中毎日のようにニューヨーク・シティ・バレエ団の公演に通っていました。
このときニューヨーク・シティ・バレエ団では学生券というものがあって、全公演15ドルほどで見ることができました。
この1年で50公演以上観に行ったと思います。
そして大好きなバレエ団になりました。
【豆知識】
リンカーンセンターはダンス映画で舞台になることがあります。
「ブラック・スワン」の舞台
ナタリー・ポートマンの怪演が光る「ブラック・スワン」。この舞台になっているのがディヴィッド・H・コーク劇場です。
振付のバンジャマン・ミルピエは元NYCBのダンサーです。ナタリー・ポートマンの結婚相手でパリ・オペラ座バレエ団の芸術監督でもありました。
映画「センターステージ」の舞台
映画「センターステージ」。
NYCBの劇場である「ディヴィッド・H・コーク劇場」が使われています。リンカーンセンター内にある「Avery Fisher Hall」がバレエ・スクールという設定です。建物をCGで増築しています。
アマンダ・シュル、イーサン・スティーフェル、ジュリー・ケント、ゾーイ・サルダナ出演のバレエ学校を描いたサクセスストーリーです。スーザン・ストローマン振付で、マイケル・ジャクソン、ジャミロクワイ、レッドホットチリペッパーズの曲も登場します。
何度でも見たくなる作品です。

「ニューヨーク・シティ・バレエ団の歴史とジョージ・バランシンとの関係」でした。
ありがとうございました。
ニューヨーク・シティ・バレエ団に関してはこちらにまとめていますので、ぜひご覧ください。
舞台鑑賞好きの僕が劇場に行くときに知っておくとちょっと得する話をのせています。バレエを中心に紹介しています。