オードリー・ヘプバーン初のミュージカル映画「パリの恋人」あらすじ・解説
jazz

『パリの恋人』(1957年)の内容は?
どんな特徴がある?
どこで見られる?

ミュージカル映画の王御所フレッド・アステアが「どうしてもオードリー・ヘプバーンと一緒に出たい」と何よりも優先させた作品です。

実際にパリで撮影された映画で、流行のファッションを着こなすオードリー・ヘプバーンが歌い踊る華やかな作品です。

記事を書いているのは…

元劇団四季、テーマパークダンサー。映画に夢中だった頃は、毎週映画館に行っていました。最近はネットで映画をたっぷり

kazu

今回は、『パリの恋人』(1957年)のあらすじ・感想・特徴についてです。

※ 3分ほどで読み終わります。

吹き替えなし

この時代のミュージカル(1960年代頃まで)は、制作陣が俳優の許可なく「歌を吹き替える」ということがありました。

歌の吹き替えは決して上手い下手が基準となっていたわけではありません。より良い選択肢として歌の吹き替えがされていました。

オードリー・ヘプバーンも同じ目にあっていて、代表作である『マイ・フェア・レディ』(1964年)ではオードリー・ヘップバーンの歌声はほとんど使用されていません。のちにオードリー・ヘプバーンは「自分の歌でないと知っていたら、この話を受けなかった」と語っています。

『パリの恋人』ではオードリー・ヘップバーンの歌声が使用されています。

『パリの恋人』のあらすじ

ニューヨークのモード界を支えるファッション雑誌「クオリティ」。「クオリティ」誌の編集長のマギー(ケイ・トンプソン)と、カメラマンのディック(フレッド・アステア)は知的な雰囲気を出すための撮影場所を探している。

小さいけれど味がある本屋を偶然発見。喜んだ「クオリティ」誌は勝手に撮影をはじめてしまう。本屋で働いているジョー(オードリー・ヘップバーン)はたじたじ。

編集部では、新しい時代のファッションモデルを発掘しようとしていた。本屋の撮影で写りこんでいたジョーに魅かれるディック。マギーを説得し、ジョーを新しいファッションモデルに推す。

「クオリティ」誌に大抜擢されるジョー。しかし、ジョーは哲学に興味があり、ファッションにはまったく興味がない。嫌がるジョーだが、フランスに行けることを知り仕事を引き受けることに。というのもジョーの尊敬する哲学者がフランスにいる。

ジョーはモデルの仕事を受けつつ、哲学者に会うためにパリへ。

編集長のマギーとカメラマンのディックと一緒に、パリの小旅行がはじまる。

評価

1957年公開の映画です。

「パリの恋人」の評価サイトでの評価

Yahoo!映画より

イケていない女の子がいきなりトップモデルになるというご都合的な内容にツッコミがたくさん入っています。とはいえ、メインキャスト3人であるオードリー・ヘプバーン、フレッド・アステア、ケイ・トンプソンの評価が高いです。

制作

監督:スタンリー・ドーネン
脚本:レナード・ガーシェ
音楽:ジョージ・ガーシュウィン、ロジャー・イーデンス
振付:フレッド・アステア

監督:スタンリー・ドーネン(経歴)

1949年:『踊る大紐育』(On the Town)
1952年:『雨に唄えば』(Singin’ in the Rain)
1957年:『パジャマゲーム』(The Pajama Game)
1958年:『くたばれ!ヤンキース』(Damn Yankees!)
1963年:『シャレード』(Charade)

役名:俳優(吹替版)

ジョー・ストックトン:オードリー・ヘプバーン(池田昌子)
ディック・エイブリー:フレッド・アステア(小川真司)
マギー・プレスコット:ケイ・トンプソン(谷育子)
エミール・フロストル教授:ミシェル・オークレール(石塚運昇)

パリでの撮影

ジョーは自分のことをモデルとは程遠い変な顔(funny face)と思っています。これが原題の『 funny face 』の由来です。

そのジョーが極楽鳥(bird of paradise)になるまでを描きます。

『パリの恋人』は実際にフランスで撮影されています。1950年代のフランスを感じることができ、有名スポットもたくさん登場。旅行に行った気分になれる作品です。

モード雑誌がテーマなので、オードリー・ヘプバーンのファッションが数多く登場します。のちに活躍するファッションデザイナーにも大きな影響を与えている作品です。

見どころ満載のダンスシーン

オードリー・ヘプバーンがバルコニーから広場を見下ろすシーンはとても有名です。

広場ではフレッド・アステアがひとりで踊ります。フレッド・アステアは自分でも振付をしているのでダンスシーンにこだわりを感じます。と同時に価値観の変化への対応も読み取れます。フレッド・アステアが大得意とするタップが控えめとなっています。

またオードリー・ヘプバーンがコンテンポラリーダンスを踊るシーンもかなり個性的です。「ダンスは解放。形式ではない。」というセリフもすごく印象に残ります。

また『 On How to Be Lovely 』ではオードリー・ヘプバーンとケイ・トンプソン2人が同じ振付を踊ります。同じはずなのにダンスの印象がまったく違います。どちらも自分の役柄を表現していて「演技によってこんなにも踊りが変わるのか」と感心してしまうシーンです。

そして最後のシーンではガーシュイン作曲の『ス・ワンダフル(’S Wonderful)』が使用されています。この曲は1951年に公開された『(巴里パリ)のアメリカ人』でも使われていた楽曲です。

DVD

1,000円ほどです。

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今回は『パリの恋人』についてでした。 ぜひぜひチェックしてみてください。
ありがとうございました。