海外ドラマ『ケインとアベル』第5話:最後の闘い(内容・感想)
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海外ドラマ『ケインとアベル』|第5話の内容は?
見どころは?
どんな魅力がある?

これまで積み重ねられた因縁と復讐、そして隠された真実が凝縮されたシリーズの最終章です。ウィリアム・ケインとヴワデグ(後のアベル・ロスノフスキ)の壮絶な対立は、長年にわたる争いと、互いに抱く複雑な感情を浮き彫りにします。

今回は、ジェフリー・アーチャーの名作をドラマ化した『ケインとアベル』の第5話「最後の闘い」に関し、あらすじと共に解説します。

記事を書いているのは…

元劇団四季、テーマパークダンサー。年間100公演ほど舞台を観に行ったことのある劇場フリーク。映画に夢中だった頃は、毎週映画館に行っていました。最近はネットで映画をたっぷり。

※ 3分ほどで読み終わります。

『ケインとアベル』とは

海外ドラマ『ケインとアベル』は、ジェフリー・アーチャーの原作をもとに、ウィリアム・ケインとヴワデグ(後のアベル・ロスノフスキ)の激しい対立と復讐、そして愛憎劇を描いた大河ドラマです。両者の人生は、ホテル業界、金融界、家族、そして戦争といった様々な要素が複雑に絡み合い、運命が劇的に変化していく様子が鮮やかに表現されています。

海外ドラマ版|エビソードリスト:各エピソードの解説は以下の記事でまとめています。

原作小説: 原作小説についての解説は、以下の記事をご参照ください。

ジェフリー・アーチャー著『ケインとアベル』(1979年出版)あらすじ・感想

第5話:最後の闘い

最終話は45分です。ケインの息子リチャードとアベルの娘フロレンティナが、新たな人生を求めロサンゼルスへと逃亡する中で、家族の宿命が次第に明らかになります。

「ケインとアベル」【第5話:最後の闘い】

第5話|主な登場人物

ケイン側の登場人物:

  • ウィリアム・ケイン:ケイン・アンド・ギャボット銀行の次期頭取。
  • リチャード・ケイン:ウィリアムの息子。
  • アラン・ロイド:ウィリアムの後見人であり、銀行家としても支える存在。
  • トーマス・コーエン:法律事務所の弁護士。
  • ヘンリー・オズボーン:ウィリアムの亡き母アンの再婚相手。

アベル側の登場人物:

  • ヴワデグ・コスキエヴィッチ(アベル・ロスノフスキ):東ポーランド出身の野心家。
  • フロレンティナ・ロスノフスキ:アベルの娘。

    エピソード解説

    • 激突と和解

      • 長年の争いの末、ケインとアベルはロサンゼルスで偶然再会。衝突することはなく、2人は帽子のツバに手を添え、紳士的に挨拶を交わしてその場を去る。
    • 驚愕の真実

      • ケインの死後、アベルのもとに届いた手紙で、アベルに密かに融資を行っていたのがケインと明かされる。

    ケインの息子リチャードと、アベルの娘フロレンティナは、新たな人生を求め2人でロサンゼルスへと逃亡します。フロレンティナはそこで自らのブティックをオープン。売上は好調で、噂はあっという間にケインとアベルの耳に届きます。

    前回、アベルに大打撃を受けたケインは、己のプライドと復讐心を燃やし、アベルへの仕返しを開始。弁護士サディアス・コーエンは、ケインの策略に乗り、かつてケインの母を追い詰めた義父オズボーンの情報を入手。今は政界を去り、落ちぶれた生活を送るオズボーンに接触。アベルの使いになりすまし、誤解させ、大金と引き換えに秘密の情報を引き出します。1960年、ケインはついにアベルの不正を暴露。裁判が開かれる中、オズボーンは重要な証言者として登場するものの、情報の提供相手がケインであったことが判明すると自責の念に駆られ自ら命を絶ってしまいます。この悲劇により、アベルに下される刑罰は予想外に軽くなる一方、スキャンダルでポーランド大使就任の話が打ち砕かれてしまいます。怒りと屈辱に燃えるアベルは、今度は水面下で暗躍。ケインが頭取を務める銀行の株式を着々と買い集め、必要な株数を手に入れると緊急取締役会を召集。こうして、ケインはその座を追われることになります。

    両者が大切なものを失い、互いに深い傷を負った状態で、物語はクライマックスへと向かいます。

    最後の対面|衝撃の真実

    1962年、ニューヨーク。フロレンティナのブティックで華やかなオープニング・パーティーが開催される。思わずフロレンティナの店の前に足を運んだケインとアベルは、偶然再会します。通りで目が合い激しい口論が始まるかと思いきや、2人は帽子のツバに手を添え、まるで紳士同士のように挨拶を交わし、中に入ることなくその場を去ります。

    その後、オープニング・パーティーが終わったウィリアム・ケインの自宅にフロレンティナが招かれます。ついに親子の和解が実現します。しかし、ケインは既に静かに息を引き取っていました。

    ウィリアム・ケインの死後、アベル宛にある手紙が届きます。弁護士のトーマス・コーエンから、実はウィリアム自身がアベルに対し密かに融資を行っていたという驚愕の事実が明かされます。

    詳しくは第2話をご覧ください。

    海外ドラマ『ケインとアベル』第2話:成功への階段(内容・感想)

    ケインの死により匿名条件が消滅し、この真実が露見します。ずっと2人の誤解を知っていたトーマス・コーエンがどうしても伝えたかった真実です。

    アベルは深い後悔と悲しみに沈むのです。こうして、静かに第5話の幕が閉じ、ケインとアベルの複雑な因縁と互いに抱く矛盾する感情が鮮烈な印象を残すのでした。

    原作との比較:ドラマならではの魅力

    対面シーンの描写において、原作では敵対心を超えて互いへの尊敬と理解が感じられるのに対し、テレビドラマ版ではアベルの憎悪の表情が描かれています。

    また、ケインが密かにアベルを助けるために融資を行っていたという事実についても、原作では、ケインの融資仲介に関わった弁護士が、ケインが先に亡くなった場合と逆の場合に備えて2通の手紙を用意していることが詳述。さらに第二次世界大戦中にアベルがケインを救ったというエピソードも存在します。しかし、ドラマ版ではこれらの部分の描写がやや不足している印象です。

    互いに誤解と復讐心の中で傷つけ合いながらも、同時に互いを救っていた2人。その心の奥底には、実は非常に似通った情熱が流れており、もし別の状況であれば、大親友になれたかもしれません。

    最後、2人のすれ違いは、複雑な感情が交錯する切なくも印象的な瞬間として描かれています。

    制作・キャスト情報

    • 監督:バズ・キューリック
    • 脚本:ロバート・W・レンスキー
    • 原作:ジェフリー・アーチャー

    撮影現場では、バズ・キューリック監督がロサンゼルスの実際の街並みを忠実に再現するため、徹底したロケ地選定にこだわっています。監督は、歴史的な建物が立ち並ぶエリア、現代的な都市風景が混在する地区を丹念に下見し、物語の雰囲気にぴったりのロケーションを厳選。これにより、視聴者は画面越しに本物のロサンゼルスの息吹を感じ取ることができ、物語の重厚な世界観が一層際立っています。

    • アベル・ロスノフスキ:ピーター・ストラウス(平幹二朗)
    • ウィリアム・ケイン:サム・ニール(山本圭)
    • フロレンティナ・ケイン:ケイト・マクニール(水沢アキ)
    • リチャード・ケイン:トーマス・バード(田中秀幸)

    ピーター・ストラウスとサム・ニールの共演シーンでは、感情の微妙なニュアンスを捉えるために、長回しの撮影が何度も行われました。撮影中、監督が求める完璧な瞬間を捉えるために、厳しいリハーサルと集中した演技を繰り返しました。現場のクルーは、長時間にわたる連続撮影に情熱とプロ意識を持って取り組んでいた、というエピソードが残されています。監督と俳優たちの情熱、そして現場スタッフの努力が融合した結果であり、最終話「最後の闘い」におけるドラマの深みをさらに引き立てています。

    小説版&関連作品

    それぞれ 1,000円ほどです。

    『ケインとアベル』の物語はここで完結するわけではなく、原作にはアベルの娘フロレンティナを主人公にした続編『ロスノフスキ家の娘』が存在します。ドラマ版でいうと第3話から第5話までの内容をフロレンティナの視点で再構築しており、新たな側面が垣間見える仕上がりとなっています。もし本作に心を奪われたなら、続編もオススメです。新たな視点から描かれる物語を体験してみてください。なお、特に上巻がおすすめです。さらに、ケインが亡くなった後の展開も描かれます。

    『ケインとアベル』、『ロスノフスキ家の娘』の時系列の比較

     

    上巻が『ケインとアベル』下巻の時間軸と重なるため、別の視点で物語を体験できます。

    ロスノフスキ家の娘』(1982年)上巻の内容・感想:女性の自立

    以上、シリーズ全体の魅力と複雑なドラマが融合した海外ドラマ『ケインとアベル』の紹介でした。

    エンタメ作品に関してはこちらで紹介しています。ぜひご覧ください。