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海外ドラマ『ケインとアベル』|第1話の内容は?
見どころは?
どんな魅力がある?
ジェフリー・アーチャー著『ケインとアベル』の壮大な世界観が、1985年に海外ドラマ版として登場しました。日本ではテレビ朝日系列にて1986年9月28日より5日連続で放送されました。その後NHK-BSやテレビ東京でも放送され高い評価を獲得しています。
今回は、第1話「運命の二人」のあらすじ、見どころ、原作との違い、そしてキャストの魅力について解説します。
元劇団四季、テーマパークダンサー。年間100公演ほど舞台を観に行ったことのある劇場フリーク。映画に夢中だった頃は、毎週映画館に行っていました。最近はネットで映画をたっぷり。
※ 3分ほどで読み終わります。
『ケインとアベル』とは
ジェフリー・アーチャー著、大河小説『ケインとアベル』は、ロシアからアメリカまでを舞台にした壮大な物語です。
海外ドラマ『ケインとアベル』日本版
原作小説が壮大なため、すべてを再現していませんが、かなりの力作です。
- 放送形式
- 【日本版】全312分を5分割で放送
- 第1話:90分
- 第2~5話:各45分
- 【海外版】全3話(各約90分)
- 【日本版】全312分を5分割で放送
原作小説: 原作小説についての解説は、以下の記事をご参照ください。
海外ドラマ版|エビソードリスト:各エピソードの解説は以下の記事でまとめています。
- 第1話:運命の二人(本記事)
- 第2話:成功への階段
- 第3話:果てしなき対決
- 第4話:許されざる恋
- 第5話:最後の闘い
第1話「運命の二人」内容解説(ネタバレあり)
物語は、ボストンの裕福な銀行家の息子ウィリアム・ケインと、東ポーランドで男爵の私生児として生まれたヴワデグ(後のアベル・ロスノフスキ)が、運命的にニューヨークで出会うまでを描いています。
「ケインとアベル」【第1話:運命の二人】( youtube のリンク)
ここからはネタバレしているので注意してください。
ウィリアム・ケインの軌跡 ~悲劇から銀行家への成長物語~
ウィリアム・ケインは、ボストンの名門銀行家であるケイン・アンド・キャボット家に生まれ、何不自由なく恵まれた環境で育ちます。しかし、幼少期にタイタニック号の沈没事故で父親を失うという大きな悲劇が暗い影を落としています。
主要登場人物
- ウィリアム・ケイン
ボストンの名門銀行家の息子。主人公。 - リチャード
ケイン・アンド・キャボット銀行の頭取。ウィリアムの父。 - アン
ウィリアムの母。 - アラン・ロイド
ウィリアムの後見人として彼の成長を支える存在。 - ミリー・プレストン
ウィリアムのもう一人の後見人。母アンの友人。 - ヘンリー・オズボーン
母アンの再婚相手。家族に及ぼす影響が物語の重要な要素となる。 - マシュー・レスター
ウィリアムの親友。 - トーマス・コーエン
ウィリアムの弁護士。
【幼少期】
- 父の喪失と試練:
幼いウィリアムは、タイタニック号の沈没により父親という存在を一瞬にして失います。それにもかかわらず、彼は内に秘めた強い意志と才能で、次第に銀行家としての素質を開花させていきます。 - 母アンと再婚の影響:
ウィリアムの母・アンは、金銭目当てで近づいてきたヘンリー・オズボーンと結婚します。冷静沈着なウィリアムは、オズボーンとの関係に違和感を覚えつつも、母への思いからその結婚を受け入れざるを得ません。しかし、オズボーンの浪費癖や家族内の不和が、後のウィリアムの人生に大きな影響を及ぼすことに。
【成長と転機】
- 学業と才能の発揮:
学校では常に成績優秀で、幼少期の悲劇をバネに銀行業界での才能を磨いていくウィリアム。将来、父親の跡を継ぐべく、数々の才能を開花させていく。 - ニューヨークへの旅立ち:
高校卒業の際、ウィリアムはニューヨークのプラザホテルで卒業祝いをします。ここでアベルと出会います。
アベル・ロスノフスキの運命 ~孤児から大逆転、運命の再起~
アベル・ロスノフスキ(本名:ヴワデグ・コスキエヴィッチ)は、東ポーランドの貧困の中で孤児として生まれ育ちます。厳しい環境下でも、彼は学業に秀で、運命を大きく変える出会いと出来事に導かれていきます。
主要登場人物
- ヴワデグ・コスキエヴィッチ(アベル・ロスノフスキ)
東ポーランド出身の孤児として育つ。もう一人の主人公。 - フロレンティナ
ヴワデグの姉。過酷な運命がアベルに影を落とす。 - ロスノフスキ男爵、レオン、家庭教師たち
東ポーランド時代にヴワデグを取り巻く人物たち。 - イェジー・ノヴァク、ザフィア、デーヴィス・リロイ
ニューヨークで新たに出会う仲間。
【過酷な幼少期と運命の啓示】
- 孤児としての苦闘:
貧しい家庭で育ったヴワデグ。勉学に秀でていたため、ロスノフスキ男爵の城へと召し出されることに。ここで特別な待遇を受け、運命を覆す大きなチャンスを手に入れます。 - ロスノフスキ男爵との衝撃的な事実:
ヴワデグはロスノフスキ男爵の一人息子であるレオンの勉強仲間として働きます。しかし、第一次世界大戦の勃発と共に、東ポーランドはドイツ軍によって侵攻され、男爵一家は地下牢に幽閉されてしまいます。レオンがヴワデグをかばって命を落とし、さらにはロスノフスキ男爵自身も衰弱の末、亡くなります。最後に男爵がヴワデグに自らの服をめくり乳首を見せます(乳首が一つしかないという事実から、実はヴワデクが男爵の私生児であったことがわかる)。これにより、ヴワデグは自らの存在意義と家族の真実に直面します。
【逃亡と再生、新たな人生の始まり】
- 苦難の連続と脱出劇:
4年間の幽閉生活を経たヴワデグは、ドイツ軍が撤退した隙に外の世界へと解放されます。しかし、次にソ連軍が侵攻、さらなる試練が待っていました。大事な姉フロレンティナが強姦され、そのまま亡くなってしまう残酷な状況の中、ソ連の東端まで送られます。そんな中、フランス人医師の助けを借り、トルコへと逃げ出すことに成功します。 - ニューヨークでの再出発:
故郷である東ポーランドには帰れず、ヴワデグは新たな人生を求めてニューヨークへ向かいます。アメリカに上陸する際、彼は男爵の名前を借り「アベル・ロスノフスキ」と名前を改め、運命を自ら切り開く覚悟を決めます。1923年、ニューヨークのプラザホテルで給仕として働く中、ホテル王デーヴィス・リロイとの出会いを果たし、その能力を高く評価されることで、シカゴのホテルで副支配人としてオファーされます。物語の終盤、卒業祝いの席でウィリアム・ケインと出会い、二人の人生がいよいよ交差していきます。
力強い物語
ウィリアム・ケインは幼少期の悲劇を乗り越えたエリート銀行家として、家族の複雑な事情に翻弄されながらも成長を遂げ、ニューヨークで新たな未来へと踏み出します。一方、アベル・ロスノフスキは厳しい運命の中で自らの真実と向き合い、脱出と再生を経て、アメリカで成功を掴む逆転劇を繰り広げます。
原作との違い|注目ポイント
- 年齢設定の調整
ドラマ版では主演役者の都合上、第一次世界大戦の際、約3歳年齢がズレて表現されています。 - プラザホテルでの出会い
ドラマ版独自の演出として、ウィリアムとアベルがプラザホテルで直接対話を交わすシーンが挿入されています。 - 逃走劇のカット
ヴワデグがシベリアから逃れるスリリングな描写は、原作では大きな盛り上がりを見せる場面ですが、ドラマ版では大幅にカットされ、物足りなさを感じる部分です。
キャスト&スタッフの魅力
主要キャスト
- アベル・ロスノフスキ:ピーター・ストラウス(日本語吹替:平幹二朗)
- ウィリアム・ケイン:サム・ニール(日本語吹替:山本圭)
- ヘンリー・オズボーン:デヴィッド・デュークス(日本語吹替:羽佐間道夫)
- デーヴィス・リロイ:クリストファー・カザノフ(日本語吹替:久米明)
- マシュー・レスター:リード・バーニー(日本語吹替:古川登志夫)
監督のバズ・キューリック、脚本のロバート・W・レンスキー、そして原作のジェフリー・アーチャーの手腕が融合。原作の魅力を伝えています。
ピーター・ストラウスがゴリ押しで15歳を演じています(15歳には見えず……)。原作では12歳。先ほど紹介した年齢設定が変更された理由、と推測しています。
日本語吹替版では、平幹二朗さんと山本圭さんの熱演が国内ファンの支持を集めています。
小説版&関連作品
原作小説はかなり読み応えがあります。
それぞれ 1,000円ほどです。
- ジェフリー・アーチャー著『ケインとアベル』あらすじ・感想はこちら
- 続編『ロスノフスキ家の娘』もおすすめ(各約1,000円)
上巻が『ケインとアベル』下巻の時間軸と重なるため、別の視点で物語を体験できます。
海外ドラマ版|第2話「成功への階段」についてはこちらで紹介しています。ぜひご覧ください!
海外ドラマ『ケインとアベル』|第1話「運命の二人」は、壮大な原作世界を忠実に映像化しつつ、独自の演出で新たな魅力を引き出しています。ウィリアム・ケインとアベル・ロスノフスキ、それぞれの悲劇的な運命と運命的な出会いが、視聴者に強烈な印象を与える本作は、原作ファン、ドラマファンともに必見です。ぜひじっくりとその世界観に浸ってみてください!
エンタメ作品に関してはこちらで紹介しています。ぜひご覧ください。
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